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【KNOCK OUT56】ルーキー中村悠磨とのUNLIMITEDで対戦、カルロス・モタ「この試合にコミットしている」

【写真】体調は凄く良さそうだったモタ。目指すUNLIMITEDのベルト、MMAでは1階級上の倉本が王者だ(C)MMAPLANET

29日(金)、東京都文京区の後楽園ホールでKNOCK OUT56「NEW BEGINNING」が開催される。今大会は初めて八角形のリングが後楽園で使用される。そして、序盤戦から中盤戦までUNLIMITEDルールの試合が5試合組まれている。
text by Manabu Takashima

そのUNLIMITEDルールに出場するMMAファイターで松嶋こよみと並び、経験値が高くバリューがあるのがカルロス・モタだ。昨年12月の栗秋祥梧戦でUNLIMITEDを初めて戦った元UFCファイターでLFAフライ級王者が、プロMMAを戦ったことがないMMAファイターの中村悠磨と戦う。

6月にキックでKO負けを喫したモタは、過去最高にハングリーになって日本に戻ってきた。MMAでなく、UNLIMITEDをマイ・ルールと呼ぶモタ。RIZINフライ級Tに出場していても全くおかしくない猛者に、究極の打撃格闘技2戦目に挑む心境を尋ねた。


自分にとって慣れたルール……マイ・ルールで再び戦えるから、楽しみだ

――今週金曜日に中村悠磨選手とUNLIMITEDルールで対戦します。今の調子はいかがですか(※取材は26日に行われた)。

「体調は凄く良いよ。自分にとって慣れたルール……マイ・ルールで再び戦えるから、楽しみだ。減量もMMAのフライ級よりバンタム級に近いから気持ちも楽だし。リミットが60キロだったから、逆に筋量も増やしてきた。過去にフェザー級で試合をしたこともあるし、この体重でも問題ない」

――ブラジルから日本。本当に長い飛行機の旅かと思いますが、3度目の来日で慣れた部分はありますか。

「そうだね。確かに長い。そして疲れる。でも3度目だし、慣れてきたよ。金曜日が試合で、日曜日に来日させてもらっているしね。大丈夫だ。まだ時差ボケはあるけど、昨日から睡眠時間も取れてきたから、しっかりと整えることができるだろう」

――2カ月前にキックルールで戦い古木誠也選手にKO負けを喫しました。僅か2カ月のインタバール、休養も必要だったと思いますが満足いくファイトキャンプは過ごせましたか。

「帰国して1週間後に練習を再開したよ。キックボクシング・ルールで戦うために必死にトレーニングしたのに、その成果を見せられなくて残念だった。まぁ、勝負は時の運だ。あの日は僕の日じゃなかった。でも敗北から這い上がり、さらに強くなる。人生と同じだよ。今回のキャンプでは、いつもよりスパーリングを増やしたよ」

――MMAとも違うUNLIMITEDルールですが、カルロスは慣れたルールと言われていましたね。

「MMAに近いからね。UNLIMITEDはパンチでも、蹴りでも前に出る選手のためのルールだ。僕はアグレッシブなところが長所なので、このUNLIMITEDが合っている。MMAと同様にUNLIMITEDでも毎試合、KOを狙って戦うよ。その結果、皆に喜んでもらえる試合になるだろう。そうUNLIMITEDルールはファンが楽しめるルールだよ」

――昨年末に戦った時と比較して、ブレイクはさらに早くなっています。その辺りはどのように捉えていますか。

「対戦相手の試合をチェックした時に、そう思ったよ。今のチャンピオン(倉本一真)とクリアキ(栗秋祥梧)の試合もチェックした。

もちろん寝技が長い方が良い(笑)。でも試合は臨機応援に戦う必要がある。寝技が必要なら、ブレイクが短くてもグラウンドで戦う。スタンドでは相手をぶっ飛ばすような攻撃を続ける。とにかく冷静に、怒りを内包して戦おうと思っている」

僕にとって全ての試合が、UFCのベルトが掛かっているのと同じぐらい大切なんだ

――では中村選手の印象を教えてもらえますか。

「しっかりとした技術を持っている。アマチュアのMMAも経験があるそうだし、凄く良い選手だ。右が強くて、クロスのタイミングも良い。そこは警戒しないといけないね」

――リーチの差は気にならないですか。

「リーチの差は確かにある。ただキャンプで188センチある選手とも調整を続けてきた。戦いやすいことはないけど、彼にとっても僕のような背の低い相手と戦うことは簡単ではないはずだ。どちらが、自分が戦いたい試合をできるかだね」

――アドバンテージはどこにあると思っていますか。

「シンプルに経験の差、パワー。それと駆け引きかな」

――なるほどです。ところでカルロスの言われたように中村選手はキックボクサーではなく、アマMMAファイターです。MMAだと元UFCファイターでLFAフライ級王者だったカルロスとの対戦はありえないです。ただし、UNLIMITEDルールはMMAよりも番狂わせが起こりやすい。リスキーな相手だとは思いませんでしたか。

「MMAとは違うルールだけど、僕は8歳の時からテコンドー、柔術、ムエタイと戦い続けてきた。経験に基づいた、色々な引き出しを持っている。MMAでもスタンド、グラウンドのどちらでも戦える。ワンディメンションなファイターじゃないから、この試合に関してリスクを感じることはないよ」

――今回はケージでなく、四角いリングでもない。八角形のリングが使用されます。この辺りを想定して準備してきましたか。

「八角形だから、そこはオクタゴンで経験しているし動きは頭に入っているよ。動きやすいし、面白い試合になるだろう。とにかくパワー、勝利を欲する気持ちが相手とは違う。ナカムラは立ち技が上手いけど、そうやってスタンドで僕に向かってきた相手は皆、KOしてきた。今回もそうなれば、良いなと思っている」

――さきほどUNLIMITEDのチャンピオンに関して、言及されていました。MMAが本業のカルロスですが、この試合後はどのように考えていますか。

「とにかく今は、ナカムラとの試合に集中している。ただ、もうクリアキという違うルールのチャンピオンと戦って勝った。僕はUNLIMITEDのベルトを狙いたいし、取れるだろう。でも、そういうことはナカムラ戦が終わってから考えるよ」

――日本人MMAファイターはUNLIMITEDルールは、MMAレコードが残らないから勝っても負けても最高の経験になる。よって公式戦というよりも、真剣勝負の練習試合という感覚で戦うこともあります。

「う~ん、それは日本にいて日本で戦っているから言えることだよ。僕はブラジルから来ている。練習試合だとか、良い経験になるなんてとんでもない。僕にとって全ての試合が、UFCのベルトが掛かっているのと同じぐらい大切なんだ。この試合にしっかりとコミット(※責任を持って、全力を尽くす)している」

UNLIMITEDはブラジルでも絶対に受けるよ

――押忍。UNLIMITEDルールは現状、KNOCK OUT独自の試合形式です。これを戦ってみて、ブラジルのキックの大会やMMAの大会で組むと観客の受けはどうでしょうか。

「UNLIMITEDはアグレッシブに戦う選手にとって、有利なルールだ。KOも多い。MMAでもコントロールばかりの試合だと、ファンも気持ちが乗らない。Unlimitedはブラジルでも絶対に受けるよ」

――ではノカウチ(※ポルトガル語でKNOCK OUTの発音)の山口代表にブラジルのプロモーターを紹介してあげてください(笑)。

「もちろん、彼をブラジルのプロモーターに引き合わせるよ」

――では最後にファンに一言お願いします。

「まずインタビューをしてくれた君に、通訳をしてくれたヴィクトーに、僕のために時間を使ってくれて感謝している。29日には、最高の試合をするからファンの皆には楽しみにしてほしい」

■視聴方法(予定)
8月29日(金)
午後5時15分~U-NEXT

■KNOCK OUT56対戦カード

<KNOCK OUT-RED59キロ契約/3分3R>
軍司泰斗(中国)
ゲーオガンワーン・ソー.アムヌワイデッー(タイ)

<KNOCK OUT-REDライト級(62.5キロ)/3分3R>
下地奏人(日本)
ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ)

<KNOCK OUT-REDライト級(62.5キロ)/3分3R>
古村匡平(日本)
プンルアン・バーンランバー(タイ)

<KNOCK OUT-BLACK女子ライトフライ級(49キロ)/3分3R>
ぱんちゃん璃奈(日本)
アム・ザ・ロケット(タイ)

<KNOCK OUT-UNLIMITED 68キロ契約/3分3R>
松嶋こよみ(日本)
ジャン・チャオ(中国)

<KNOCK OUT-UNLIMITEDスーパーフェザー級(60キロ)/3分3R>
カルロス・モタ(ブラジル)
中村悠磨(日本)

<KNOCK OUT-REDフェザー級(57.5キロ)/3分3R>
祐輝(日本)
勇成(日本)

<KNOCK OUT-UNLIMITED 68キロ契約/3分3R>
高塩竜司(日本)
石田協(日本)

<KNOCK OUT-UNLIMITEDスーパーライト級(65キロ)/3分3R>
木村亮彦(日本)
ふくやーまん(日本)

<KNOCK OUT-UNLIMITED58キロ契約/2分3R>
松本飛雅(日本)
西村虎次郎(日本)

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