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Overlooked【BRAVE CF95】注目のフライ級はエレンガイポフがTDで、腹攻めトーレスに競り勝つも……

スケジュールの都合により速報できなかった試合をお伝えする──帳尻合わせ試合レポート。30日(金・現地時間)にスペインはカナリア諸島、テネリフェ島サンタ・クルス・デ・テネリフェのパベヨン・インスラル・サンティアゴ・マルティンで開催されたBRAVE CF95より。フライ級の注目一番、ホゼ・トーレス✕ジアス・エレンガイポフの模様をお届けしたい。
Text by Manabu Takashima

福田龍彌に勝ったエレンガイポフと、神龍誠を下しているトーレス。トーレスは勝てば、ムハマド・モカエフとのフライ級王座決定戦を要求している。そんな日本のファンからも注目を集めている一戦の行方は。

<フライ級/5分3R>
ジアス・エレンガイポフ(カザフスタン)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ホセ・トーレス(米国)

57.1キロで計量をパスしたエレンガイポフと、56.9キロだったトーレス。戻し幅では、トーレスが上回っているか。試合はまずトーレスが、サウスポーのエレンガイポフに右ミドルを蹴る。エレンガイポフは左インロー、トーレスが左リードフックをテンプルに入れ、右ミドルをもう一度蹴る。ミドルを多用するトーレスは右ジャブを打たれても、またミドルセクションを蹴る。続いてインローを蹴ったトーレスだが、シングルレッグで簡単にテイクダウンを取られる。

左足を抜いたエレンガイポフがハーフで抑え、ここもイージーにパスガードを決める。ボディにヒザを入れるエレンガイポフは、トーレスのハーフからレッスルアップをがぶるが、肩に抱え上げられ後方へ投げられる。両者はそのままスクランブル、スタンドに戻った。打撃の間合いとなりエレンガイポフの左オーバーハンドをかわしたトーレスは、続くシングルレッグに足を抜きつつも、バックを許す。前転からスクランブルで立ち上がったトーレスは、胸を合わせて離れ右ミドル。エレンガイポフが右リードフックも、右ストレートを打たれる。テイクダウンのフェイクで右を決めたエレンガイポフはリードフックから、左を当てる。さらにトーレスのテンカオに右フックを合わせたエレンガイポフが初回をリードした。

2R、トーレスの右ストレートにダブルレッグを合わせたエレンガイポフは、スクランブルでバックに。正対したトーレスにシングルレッグを仕掛けると、担ぎ上げてスラム気味にテイクダウン。即立ち上がったトーレスは正対し、ケージに押し込まれる。右フックをボディに打って離れたエレンガイポフに対し、トーレスが右ハイ。続いて右ミドルを決める。続くダブルレッグをスプロールしたトーレスは左フックから右ストレートを当てる。次の右フックにエレンガイポフがダブルレッグを合わせドライブも、テイクダウンを奪えない。

トーレスはここで右ボディを入れる。腹を殴られたエレンガイポフがマウスピースを吐き出し、再装着した直後に深くダブルレッグを仕掛ける。ここもスプロールしたトーレスがスタンドに戻って右ミドルを決める。腹への蹴りを続けられ、エレンガイポフが下がる。口を開けているエレンガイポフは右ストレートを被弾後に、ショートの右フックからアッパーを決める。テイクダウンを切られるようになったエレンガイポフだが、打撃戦でも互角の戦いを続ける。残り45秒、再びダブルレッグを切られたエレンガイポフがケージに押し込むが、回って離れたトーレスがスピニングバックフィストをかわし、右ミドルを3連打した。

インターバル中に座り込んだエレンガイポフは、最終回が始まるとすぐにケージを背負う。そしてシングルレッグを仕掛けると、後方にバックフリップもトーレスがバックを取りかける。試合はスタンドに戻り、いよいよ息が荒くなっているエレンガイポフはダブルを切られ、右ミドルを蹴られる。ガードを固めボクシングの距離に持ち込んだトーレスはジャブ、左ミドル、パンチはガードする。左ボディフック、左フック、そして右ミドルを入れたトーレスが圧を高める。

エレンガイポフはテイクダウンが決まらず、前蹴りを腹に受ける。それでもショートのワンツーで前に出たが、右ミドルを蹴られ続け、テイクダウンを切られる際にもパンチを連続で打たれてしまう。倒すパンチではないが、削るパンチのトーレスがスピニングバックフィストをブロックして、ジャブ、リードフックをヒットさせる。エレンガイポフは右ミドルを蹴られて間合いを外すが、詰めたトーレスが今度は左ミドルを蹴り込む。スピニングバックキック、バックハンドブローのエレンガイポフが左フック、左フックを合わせたトーレスが右ハイ。エレンガイポフも左ハイを返したところで、タイムアップに。

初回はエレンガイポフ、2Rは打撃は互角ながら腹で動きを止めた感のあったエレンガイポフ。序盤のテイクダウンがどのように判断されるか。3Rはテイクダウンを切って拳と蹴りで腹を攻めたトーレスのラウンドだが、果たして──。

結果はジャッジ3者とも29-28でエレンガイポフを支持した。「スペイン、テネリフェ。皆、ありがとう。ショーティー・トーレスは僕のキャリアのなかで、最もタフな相手で自分を試すテストになった。この勝利で自分は世界へ、大きな一歩を示すことができる。次は誰が相手でもタイトル戦が戦いたい。俺がBRAVEのベルトを巻く」と話したエレンガイポフに対し、リングアナが敢えてモカエフに言及する。と、エレンガイポフは「モカエフ? ヤツはバンタム級に階級を上げると思う」と返答し、「このままフライ級で戦うならタイトル戦をやろう。俺は準備はできている。モカエフでも、誰でも戦う。タイトル戦を戦わせてくれ」と残念なマイクを締めた。


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