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【Road to UFC S04 Ep04】豪州のマーファンと対戦、エフェヴィガ雄志「RTUは自分の実力の証明」

【写真】デビューから北米・海外での戦いを見据えてやってきたことがRTUで実を結ぶか(C)TAKUMI NAKAMURA

2025年5月23日(金・現地時間)に中華人民共和国は上海のUFC PI上海において、Road to UFC S04 がスタートする。
text by Takumi Nakamura

22日と23日の両日に行われる4階級、2日目=EP04でのライト級には神谷大智と並んで日本からエフェヴィガ雄志が登場する。エフェヴィガは2023年からキルクリフFCでの長期合宿を重ね、早い時期から北米での戦いを意識してキャリアを積んできた。

昨年は8月にTTF CHALLENGE10で元Bellatorファイターのエマニュエル・サンチェスをKOし、11月に修斗環太平洋ライト級王座を戴冠。年が明けてからはキルクリフで練習を続けながら、米国でのローカルショーへの出場を模索する中でRTU出場が決まった。

一回戦で豪州のドン・マーファンとの対戦を控えるエフェヴィガだが「ギリギリ勝ってトーナメントを勝ち進むんじゃなくて『俺はUFCで戦っていける選手なんだよ』ということを分かってもらう試合をしたい」と断言し、RTUを「自分の実力の証明の手段」と位置付けている。


――今年本格的に海外進出を視野に入れていたエフェヴィガ選手ですが、RTUへの出場が決まりました。出場が決まった時は率直にどんな心境でしたか。

「実はそこまで考えてなかったというか、今年はRTUではなくてアメリカのローカルイベントで試合するつもりだったんですよ。それで2月の後半から渡米してキルクリフFCで練習しながら試合のチャンスを探していたら、UFCから長南(亮)さんのところに連絡が入って。そんなチャンスをもらえるんだったら出ようということで出場を決めました。MMAファイターとしてUFCから声をかけてもらえるというのは本当に光栄なことなので」

――昨年インタビューさせていただいた時、夏頃にDWCSのオファーがあったんですね。

「あれは自分のことをDWCSに売り込んだ人がいて、それがきっかけで話が来たんですよ。ただ先にTTF CHALLENGEの試合が決まっていたし、長南さんとも相談して今は出るタイミングじゃないと判断して見送りました。ただUFC的には自分がそういう選手(RTUやDWCSの候補選手)のリストに入っていたんじゃないかなと思います」

――いずれにせよ昨年夏以降は海外で試合することを具体的に考えていたんですね。

「そうですね。昨年末に豪州で試合する話もあったですが、それも現実的には決まらなくて。ただ長南さんと話をして2024年は準備の一年で、2025年からはどんどんチャンスを掴みに行こうと話をしていたんで、結果的にきれいな流れが出来ている気がします。RTUはUFCに直結する大会なので、とっかかりとしては、これ以上ないものだと思っています」

――RTU出場関係なくキルクリフには練習に行こうと考えていたのですか。

「そうですね。去年修斗でタイトルを獲った時に年明けに防衛戦をやることになっていたので、それが終わったらすぐキルクリフに行って、アメリカで試合を探すつもりでいました」

――キルクリフではどのくらいの期間練習されたのですか。

「2月末から5月の頭までいたので約2カ月間です。初めて行った時が約3カ月で、去年と今年は2カ月なので、毎年このくらいの期間はキルクリフで練習しています」

――キルクリフ合宿中にエフェヴィガ選手がSNSで「石油を掘り当てたぐらいの発見があった」と投稿していましたよね。あれは練習で何か気づきがあったのですか。

「はい。今回は気づきがすごい多かったというか。キルクリフで練習するのは今年で3回目で、毎回収穫はあるんですけど、過去2回よりもどでかいものに当たった感覚があります」

――練習のそのものがすごくガラリと変わったわけではなく、キルクリフでの練習を継続していく中で気づけたものが大きかったという感じですか。

「練習内容もちょっとずつ変わってはいますが、大きく変わったことはないです。だから自分自身が気付いたことが多いという感じですね。きっと今までも気づくチャンスはあったと思うんですけど、自分がそれを見逃し続けてきたんですよ。で、今になって『ええ?こういうこと?』みたいに気づいたというか。『ここにあった!こんな裏道があったんだ!』ということに気づけた感覚です。だからこの発見にはめちゃくちゃ興奮しています」

――練習しているジムは違いますが、ATTで練習している元谷友貴選手が「アメリカに行く回数を重ねると練習内容の理解度が上がる」と言っていました。それと似たような感覚なのでしょうか。

「それも分かりますね。ただ一昨年から去年はシンプルに解像度や理解度が上がった感じがしたんですけど、今年は自分の内側の感じ方が変わったような感覚です。理解の解像度というよりは理解の質が変わりました」

――それはキルクリフでの練習回数が増えただけでなく、TTFでエマニュエル・サンチェスに勝利したり、エフェヴィガ選手の試合での経験値が増えたことも影響しているでしょうね。

「それは絶対にあると思います。前回キルクリフで練習した時から色々な経験をしたんで。特に今年1月の試合は相手が計量失敗して前日に対戦相手が変わって、しかも2階級下の選手で。試合前日の時点で『俺、試合やんの?』みたいな状況でしたからね(苦笑)」

――極端な話、試合当日を迎えるまではどうなるか分からなかったですよね。

「あの時は代わりの相手を提案されて『一度持ち帰って考えます』と言って、長南さんと話したんですよ。そこで長南さんから『自分で決めていいよ』と言われて、だったらやるかみたいな感じで決めました。それまでとは全く違う試合の入り方で、変な難しさというか、普通じゃない難しさはありましたね」

――そういった普通はできない経験も含めて、ここまでのキャリアで積み重ねてきたものが、今年はRTUという舞台で花開く時期かもしれませんね。

「まだ試合前なんで分からないことはありますが、自分の中でそうなりそうな感覚はありますね。ちょうど帰国直前に先輩の佐藤天さんと(鈴木)崇矢くんの試合があったんですけど、それを見て勉強させてもらったこともあって、すごく刺激になりました。長南さんもキルクリフまで来てくれましたし、キルクリフに元々いる選手はもちろん、新しい選手や人たちと出会う機会もあったので色んな刺激がありました」

――さてRTU一回戦では豪州のドン・マーファンと対戦することになりました。

「頑張るグラップラーというイメージですね。気合い系の選手だと思います」

――ポジション的にはEternalMMAでタイトルを狙えるような位置にいる選手ですが、トーナメントということを考えるときっちり勝ち進まなければいけない試合です。

「試合としては実力差を見せたいですね。一回戦もそうですけど、ギリギリ勝ってトーナメントを勝ち進むんじゃなくて『俺はUFCで戦っていける選手なんだよ』ということを分かってもらう試合をしたいですね」

――なるほど。エフェヴィガ選手としてRTUはチャレンジというよりも自分がやってきたことを証明するための場という捉え方なんですね。

「そうですね。トーナメントは3試合あるんで、そこを勝ち進むことはいい経験になると思うんですけど、僕はRTUは自分の実力の証明の手段だと思います」

――日本から応援しているファンの皆さんには自分のどんな姿を見せたいですか。

「今年からRTUの規模が少し大きくなって、オーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地区も含まれるようになったじゃないですか。それがあったから今年のRTUでライト級が採用されたと思うんですよ。ちょうど僕はこの一年間海外で勝つための準備をしていて、いざ本格的に海外にチャレンジしようと思っていたので、そこRTUに出るチャンスが来たというのは凄いタイミングですよね」

――こうしてお話を聞いているとエフェヴィガ選手の格闘技人生は色んなタイミングや出会いに恵まれていますよね。

「なんか自分いつもラッキーなんですよ、それこそ最初TRIBEに入った時も、MMAのこともTRIBEのことも一切知らずに、Google Mapでジムを調べて一番近かったのがTRIBEだったからなんで。もし自分の調べ方が違って別のジムに入っていたら、こんな格闘技人生にはなっていなかったと思います。だからなんかいいタイミングで、いいところに自然に手がかかって、そこを手がかりに山を登っているみたいな感覚です。そういうラッキーさを自分は持っていると思うし、今回のRTUは完全に自分のための流れができているなと思います。皆さんも一緒にその流れに乗ってもらいたいですね」

■視聴方法(予定)
5月23日(金)
午後10時00分~UFC Fight Pass
午後10時00分~U-NEXT(Ep03から続き)

■ROAD TO UFC S04 Ep04対戦カード

<Road to UFC S03フェザー級決勝/5分3R>
チュウ・カンチエ(中国)
シェ・ビン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
エフェヴィガ雄志(日本)
ドン・マーファン(豪州)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
チャン・シンクゥ(中国)
ローレンス・ルイ(ニュージーランド)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・サンウク(韓国)
神谷大智(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
井村塁(日本)
ヴァン・イ・ギエム(ベトナム)

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