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【Road to UFC S04 Ep04】韓国のサンウクと対戦、神谷大智「自分がやるべきことをやれば形になる」

【写真】昨年10月に豪州のEternal MMAで勝利している神谷。あの経験はRTUに向けて大きな財産になるはずだ(C)TAKUMI NAKAMURA

2025年5月23日(金・現地時間)に中華人民共和国は上海のUFC PI上海において、Road to UFC S04 がスタートする。
text by Takumi Nakamura

22日と23日の両日に行われる4階級、2日目のEP04で韓国のキム・サンウクと対戦するのが神谷大智だ。プロデビューからパンクラスを主戦場に戦い、昨年10月には豪州のEternal MMAに参戦してレイマート・キンタナに一本勝ちしている神谷。今年はEternalでの試合が予定されている、Eternalでの王座奪取からUFCへの道を目指していたが、Eternalでの試合がキャンセル→Road to UFC出場のチャンスが巡ってきた。

対戦相手のサンウクは一昨年のRTUで準決勝まで勝ち進んでいるが、神谷はセコンドとして原口伸に帯同していた際、実際にその目でサンウクの戦いぶりを現地で見ているという。また同トーナメントにエントリーしたジャック・ベッカーとドン・マーファンはEternalで対戦を予定していた相手でもあり、神谷にとっては縁のある選手たちが集まった戦いになる。


──昨年10月のEternal MMAでレイマート・キンタナに一本勝ちして以来の試合がRoad to UFC(RTU)で決まりました。出場が決まった時はどんな心境でしたか。

「もともと3月にEternalでドン・マーファンと試合が決まっていて、自分としてはEternalでベルトを獲ってからUFCを目指そうと思っていたんですね。その3月の試合がキャンセルになって、次どうしようかと思っていたタイミングでRTUから話があって、急に来た話だったので驚きもありましたが、本当にいいチャンスが来たと思います」

──神谷選手にとってはサプライズ選出だったんですね。

「はい。自分の最終目標はUFCなので、どんなルートでもUFCに行きたいと思っていたのですが、RTUは枠が限られていて、自分がそこに入るのは難しいと思っていたんですね。だからその貴重な一枠を取れたことは素直に嬉しいです」

──とはいえ、前回のEternalは神谷選手にとって初の海外遠征であり、そこで一本勝ちできたことは得るものも大きかったと思います。あの試合を振り返っていただけますか。

「初めて海外で試合をして緊張もありましたが、勝ち方も含めて自信になりました。あの時は3週間前に対戦相手がジャック・ベッカーからキンタナに変わって、2週間前に74kg契約に変更してくれと言われたんですよ。でもキンタナは急遽試合が決まったわけではなくて、もともと同じ大会にライト級で試合が決まっていたから、それで体重が落ちないから契約体重にしてくれというのはおかしな話じゃないですか(苦笑)。そういう海外遠征ならではの洗礼を浴びつつ、試合できるならいいよという感じでOKしました」

──試合は神谷選手がシングルレッグからテイクダウンして、グラウンドでトップキープして試合を進める展開でした。最初からテイクダウンは狙っていましたか。

「相手は結構飛び込んでくる選手だったので、最初の1分くらいは相手の動きを見ながら自分の得意な組みに持っていこうと思っていました。タイプ的には相手が打撃で自分が組みという試合で、自分の強み=組みで勝負しようと思っていて、思っている以上に冷静に戦えたかなと思います」

──初の海外遠征で相手の勢いに飲まれる選手もいると思うのですが、神谷選手は慌てることはなかったんですね。

「そうですね。普段から伝統派空手出身の野村(駿太)さんや南友之輔と練習していて、ああいう距離感やスタイルに慣れていた部分もあったのかなと思います。練習であの2人の踏み込みと打撃を体感しているので、試合でも冷静に戦えました」

──神谷選手は組みを武器にしていて、打撃で打ち合う必要はなくても、相手の打撃を見て対応することは必要です。そういった部分で試合や練習を重ねて、組むまでの動きの精度が上がっていますか。

「はい。周りも神谷は組みの選手という印象が強いと思いますが、いきなり打撃の選手になることは不可能だと思うし、組みにつながる距離感や打撃は徹底して作っているので、それが出た試合だったのかなと思います」

──試合展開としては一度キンタナに上を取られて立ち上がられたものの、再びテイクダウンを奪ってキンタナの腕十字をディフェンス→バックからツイスターという流れでした。フィニッシュになったモディファイド・ツイスターは得意技なのですか。

「一般的な首を抱えて極めるツイスターは練習でやるんですけど、試合になると相手もギリギリまで我慢するじゃないですか。脇に抱えて極める形は映像で見て形を知っているくらいで、練習でやったことはほとんどなかったのですが、キンタナがなかなかタップしなかったのでいざ本番になってやってみた感じですね」

――そうだったんですね。

「ただダメージや精神的にもキンタナを追いつめている感覚はあったし、左脇にキンタナの頭を抱えて極めに行けばタップを取らるだろうなと思って、最後も冷静に極めることができました」

──さてRTU一回戦で対戦するキム・サンウクにはどんな印象を持っていますか。

「相手はウェルラウンダー気味ではありますけど、組み主体の選手かなと思います。ただ僕の組みを警戒して打撃を多めにやってくることも考えているし、僕的にはキツイ戦いになることも想定しています。トータル的に見て相性は悪くないのかなと思います」

──サンウクは一昨年のRTUにも出ていて、準決勝まで勝ち進んでいる選手です。

「一昨年のRTUでは一回戦で丸山数馬選手に勝って、準決勝で優勝したロン・チュウに負けてるんですけど、一回戦は丸山選手にミスがあったと思うんですよ。むしろそこまでは丸山選手の方が試合を作っていたと思うので、経験値ではサンウクの方があるかもしれませんが、そこに関係なく倒しに行けるかなっていう感じです」

──冷静にサンウクのことを分析できているようですね。

「僕は試合前の分析はすごく大事だと思っていて、相手に勝っている部分を幾つか見つけて、同時に負けている部分を探して穴をなくす。その作業を続けていけば確実に勝てると思っています」

──明確のこのトーナメントを優勝すればUFCと契約できるというところまで来ました。そういった戦いに挑む心境はいかがですか。

「あと3回勝てばUFC。数で言っちゃえば3回なので、今までに比べたら簡単かもしれませんが、内容的には今まで以上に厳しい戦いになると思います。ここで天狗にならず、自分がやるべきことをやれば形になると信じているので、今まで以上に気合いも入っていますし、今まで以上に自分の成長も感じているので、あとは自分の戦いぶりを見ていただければと思います」

──今年のRTUからオセアニア地区も対象となり、その影響でライト級が実施されることになったと思います。Eternal参戦を経てRTUが決まるというのは神谷選手にとってもいい流れですよね。

「それこそベッカーとマーファンはどちらもEternalで戦う予定の相手だったし、一昨年のRTUで(原口伸の)セコンドについた時にサンウクとパク・ジェヒョンの試合も現場で見てるんですよ。そうやって何かしら自分と縁のある選手が集まっているトーナメントなので、ある意味自分のためのトーナメントなんじゃないのかなと思いますね」

──またお互い勝ち上がっていけば決勝でエフェヴィガ雄志選手との日本人対決が実現する可能性もあります。

「僕は決勝が日本人対決になるのが理想かなと思っています。彼も強い選手ですし、僕も失礼のないように自分を成長させて最高の形で決勝で戦えたらいいなと思います」

──まさに今回のRTUはアジア・オセアニアでUFCを目指すライバルたちが集まったトーナメントですね。

「そういうメンバーになったと思います。日本ではRIZINを目指している選手も多いと思いますが、僕はずっとUFCを目指してやってきたし、そのために格闘技をやってきたので、このトーナメントで優勝して胸を張って『俺はUFCファイターだ!』と言える選手になろうと思います」

■視聴方法(予定)
5月23日(金)
午後10時00分~UFC Fight Pass
午後10時00分~U-NEXT(Ep03から続き)

■ROAD TO UFC S04 Ep04対戦カード

<Road to UFC S03フェザー級決勝/5分3R>
チュウ・カンチエ(中国)
シェ・ビン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
エフェヴィガ雄志(日本)
ドン・マーファン(豪州)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
チャン・シンクゥ(中国)
ローレンス・ルイ(ニュージーランド)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・サンウク(韓国)
神谷大智(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
井村塁(日本)
ヴァン・イ・ギエム(ベトナム)

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