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【RIZIN OTOKOMATSURI】クレベルに挑戦、シェイドゥラエフ「殴るだけでなくサブミッションを狙う」

【写真】攻撃力の高さは十分に見せてきた。防御力が今回の対戦はキーとなる(C)RIZIN FF

4日(日)に東京都文京区の東京ドームで開催されるRIZIN男祭りでRIZINフェザー級王者クレベル・コイケに挑戦するラジャブアリ・シェイドゥラエフ。
text by Manabu Takashima

昨年6月の初来日から、強さしか見せていないシェイドゥラエフがRIZIN初参戦から僅か11カ月でフェザー級の頂点に挑む。圧倒的なレスリング&グラップリング能力を見せてきたシェイドゥラエフは、大晦日の久保優太戦では序盤は敢えて打撃で戦うなど実戦でアップグレードを果たしてきた。

とはいえクレベルのような極めが強く、そこまでの繋ぎがMMAの王道ではないファイターとの対戦経験はない。それでもラマダーンという我々が経験することがない1カ月を終え、フルで調整に入ったシェイドゥラエフはクレベルの上手さを認めたうえで、「恐怖は全くない」と断言した。


ラマダーンが始まったばかりで、トレーニングは1日に1回しかできていなかった

──ラジャブアリ、もう2週間弱でRIZINフェザー級王座挑戦を迎えます。今の体調、フィーリングはいかがですか(※取材は4月25日に行われた)。

「全般的に良い感じで調整はできている。今も朝のトレーニングを終えたばかりだよ。残り僅かになってきたけど、しっかりと準備はできている」

──2月にインタビューをさせてもらった時に「まだクレベル戦は決まっていないけど、もう戦うつもりで練習をしている」と言われていました。実際、タイトル挑戦が決まったのはいつ頃なのでしょうか。

「確か3月15日ぐらいだったと思う(※公式発表が3月7日だったため、シェイドゥラエフの勘違いということも考えられる)。ただ、その時はラマダーン(イスラム教の断食。1カ月間、日の出からに日の入りまで飲食ができない)が始まったばかりで、トレーニングは1日に1回しかできていなかった。ただラマダーンが明けると1日に2度、練習を増やして順調にこなしてきたよ」

──オファーをもらった時の気持ちは?

「タイトルマッチが決まったことは、凄く嬉しかった。本当に嬉しかった。MMAを戦ううえで自分の夢はチャンピオンになることだったので。これでベルトを巻くという夢が現実になる」

──ラジャブアリならローカル団体のベルトは、簡単に巻くことができると思います。そこで今回、懸かっているのはRIZINのベルトです。

「確かに小さな大会やローカルプロモーションでも、チャンピオンにはなれる。でも自分にとってRIZINは、世界中で知られているとても大切な大会だ。そのRIZINのチャンピオンになれることは、光栄以外のなにものでもない」

──ラマダーンの話がありましたが、それゆえにムスリムのファイターは3月と4月の試合を避ける傾向もあります。6月以降、7月などにタイトル戦を延期してほしいと思うことはなかったですか。

「正直ラマダーン中に戦わなければならないというのであれば、断っていたかもしれない。ただ5月4日なら、ラマダーンが終わってから1カ月少しある。なら、十分に準備はできると確信できた。実際ラマダーンが明けてからは、より集中してトレーニングしてきたよ」

──ラマダーンの間は、日没中しか食事を摂らないわけですが、ラマダーンが明けてすぐに本来の調子に戻るものなのですか。

「さっきもいったけど、ラマダーン中も自分達は練習をしてきた。ラマダーンが終われば、すぐにコンディションも元通りになる」

──解放されて、食事量が増えたりなどは?

「昼に食べなくても、夜に食べることができるから。そんな風にはならないよ。ラマダーンは食事面だけでなく、自分を律する良い機会になる。ラマダーン期間中に栄養が足りないだとか、ラマダーンを終えると暴食するとかはない」

──さきほど自分達という表現をしていましたが、練習仲間もラジャブアリに合わせてハードな練習にこなしてきたのですか。

「自分の仲間は皆がムスリムなので一緒にラマダーンをして、練習をしてきたよ」

──つまりは今回もプーケットではなく、キルギスで試合の準備をしているということですね。

「BRAVE CFフェザー級王者ニマット・アブドラシトフ。ACAフェザー級5位のアリマルダン・アブディカロフ。Road to UFCで試合をするアディレット・ヌルマトフ(5月22日にアジス・カイダロフとワンマッチで対戦。フェザー級、13勝2敗のファイター)。それからオクタゴン・リーグMMAバンタム級チャンピオンのルスラン・カシマリ・ウルー。優れたファイターである仲間たち、コーチと一緒にしっかりと試合に向けて準備をしている」

ヒョードル✕ノゲイラと比較されることは心の底から光栄

──肩書だけでも、震えがくるようなメンバーですね。打撃ができて極めもあるファイターたちですが、トップから攻めるタイプで、クレベルとは相当に違うスタイルの持ち主かと思います。

「確かに彼らはクレベルのような戦い方はしないので、打撃のスパーをしている。それに他の柔術家たちとも練習をしているんだ。次の試合を想定して自分がトップで、柔術家が下から仕掛けてくる。そういう練習をしている」

──打撃で殴って、組ませない。それがベストシナリオかと思いますが、トップの練習をするということは寝技でもクレベルとやり合うつもりですか。

「自分のスタイルは今言ってもらったように、打撃を当ててテイクダウン。そしてトップから攻めて、サブミッションを狙うというもの。ただし、クレベルは下からの三角絞めが上手い。そこはしっかりと警戒して、変わらずトップから試合を支配するつもりだ」

──この試合、ラジャブアリがパウンドアウト。もしくはクレベルが三角絞めを極めるかという風に見られています。

「とにかくクレベルはトライアングルが上手い。だから、そういう風に予想されることは分かる。ただ自分もずっとグラップリングをやってきたので、殴るだけでなくサブミッションを狙おうと思っている。クレベルは柔術が強いとか言われているけど、全く気にしていない。

彼が上手いことは分かっている。だからといって恐怖心を抱いたり、リスクが高い戦いになるとは思っていない。クレベルの下からの仕掛けを怖がって、自分の戦いができなくなるようなことはない」

──日本では現代のミノタウロ・ノゲイラ✕ヒョードルという期待のされ方もしています。

「20年前の両者の試合に例えられることは、本当に嬉しい。自分はRIZINのような大きな舞台で戦うことが夢だった。同じ日本の大舞台で戦ったヒョードル✕ノゲイラと比較されることは心の底から光栄だ。彼らのような試合をしたいと思っているから、5月4日は東京ドームに来てほしい。皆に最高の試合を見てもらうために、しっかりと練習をしているので。また、日本で皆に会えることを楽しみにしているよ」

カルシャガがフェザー級のベルトが欲しくて、戦おうというなら自分は断らない

──もう締めコメまでいただいて(笑)。そんななかもう一点、お願いします。3月にカルシャガ・ダウトベックをインタビューしたときに、この試合の予想をしてもらいました。ダウトベックは「ブラザーのシェイドゥラエフに勝ってほしい」と言っていました。

「カルシャガが、そう言ってくれることは分かるよ。キルギスとカザフは兄弟民族なんだ。言葉もほとんど一緒で、国としてのつながりも強い。それ以上に自分とカルシャガは同じように日本で戦って、滞在中には一緒に減量をして、一緒に体も動かしている。彼も言っているように本当にブラザーなんだ」

──目標がベルトなら、ブラザーと王座を争うことになると話を続けると、「シェイドゥラエフがチャンピオンになったら、自分はバンタム級に落とす」という返答が聞かれました。

「彼がそう言うことも理解できる。僕らの関係だから。ただカルシャガがフェザー級のベルトが欲しくて、戦おうというなら自分は断らない。ブラザーであり、本当に尊敬しているファイターだ。でも、そういう仲でも試合をすることはある。自分はカルシャガでなくても、他の誰とでも組まれた試合を戦うつもりだから

同時に彼がバンタム級でチャンピオンを目指すというなら応援する。そしてカルシャガならバンタム級のチャンピオンになれる」

──押忍。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「まず、インタビューをしてくれてありがとう。日本のファンの皆から、インスタに物凄く多くの応援のメッセージをもらっている。皆の期待が伝わってくるので、その期待に応えて最高の試合をしたい。5月4日に新チャンピオンが誕生することを楽しみにしてほしい」


■視聴方法(予定)
5月4日(日)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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