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【RIZIN OTOKOMATSURI】ヒロヤ戦後の篠塚辰樹「落ち込むのは終わり。よりMMAが好きになった」

【写真】試合当日落ち着いた表情でインタビュースペースに現れた篠塚。すぐに大塚隆史らと共に今後の方向性について話し合ったという(C)MMAPLANET

4日(日)に東京都文京区の東京ドームで開催されたRIZIN男祭りにて、MMAデビューを果たした篠塚辰樹。試合はヒロヤ相手にTKO負けという結果に終わった。
Text by Takumi Nakamura

試合前から激しい舌戦を繰り広げたヒロヤとの因縁のMMAデビュー戦。篠塚は得意の打撃を当てることが出来ず、テイクダウンを許してからはヒロヤのパウンドを浴び続け、篠塚のセコンドからバトンが投入される形で試合が終わった。

大会後に公開されたバックステージ映像では、悔し泣きして控室に戻る姿もあった篠塚だが、当日の夜にはチーム全体で次に向けた話し合いの場を設けたという。あの戦いから約3週間後、篠塚にヒロヤ戦を振り返ってもらった。


──試合後のSNSを拝見させてもらって、右肩を手術されていたんですよね。

「そうですね。手術も無事に終わって抜糸もして、肩の状態はいい感じです。可動域が制限されていて、まだフルでは練習できないですけど、出来ることはやりつつ、しっかり治していきたいと思います」

──肩の怪我は長年の蓄積なのですか。

「去年の年末に自分と蓮がずっと(ジャーボンテイ・)デービスのパンチの打ち方を真似していたんですよ。そしたら2人とも肩を壊したんです(苦笑)。骨と骨がぶつかって骨が変形しちゃうみたいな。蓮は試合が決まりそうだったから、そのまま練習を続けていたら、骨だけじゃなくて筋肉までいっちゃって。自分はそこまでいかなかったんですけど手術しないと治らないという状態でした」

――試合そのものは出来る状況だったのですか。

「はい。ドクターが2人ついてくれて、治療とリハビリをやっていたので、試合の時は万全でした」

――ヒロヤ選手との一戦は1RTKO負けという残念な結果でしたが、改めて試合の感想を聞かせてもらえますか。

「何回も試合映像を見ましたけど、やっぱり悔しいですね。やってきたことが全然出せなかったんで。試合そのものは一瞬で終わった感じがして、試合直後は頭のなかが真っ白でしたね」

──試合当日インタビュースペースに来た時にはかなり落ち着いている印象でしたが、バックステージ動画では試合直後に悔しさを爆発させている篠塚選手の姿が印象的でした。

「なんか試合したことの現実味がなくて、夢みたいな感じだったんですよ。それであんな感じになっていたら、岩﨑(達也)先生には『泣くな!』と怒られて、『はい』と言ってそのままインタビューに行きました。気持ちが落ち着いてからはすぐに大塚(隆史)さんと何がよくなかったかを話し合って、どこを修正しなきゃいけないかを話しました」

──試合後なのに試合をしていないような不思議な感覚だったのですか。

「不思議でしたね。試合後もこれは現実じゃないと思って、控室に戻ってきてもホントに現実なの?って。そんな感覚が続いたんですけど、自分が負けたことは現実でしたね」

──試合展開としてはヒロヤ選手にパンチに合わせて組まれてテイクダウンを許して、そこからサイドポジションで抑え込まれて殴られ続けてTKO負けでした。ダメージはどうだったのですか。

「なんもないです。スタンドのパンチと違って、グラウンドの打撃って(両手を上下に少し広げて)この距離で打つじゃないですか。あの時もそんなに距離がないところで殴られてただけだから効いてないんですよ。ただ試合映像を見直すと俺が一方的に殴られたんで、あれは止められて当然だなと思います」

――練習ではない実戦の場でパウンドを受ける感覚は初めてだったと思います。それで戸惑った部分はありましたか。

「どうですかね……そんなに(効かない)でしたね。ヒロヤもパンチ力があるわけじゃないし、ヒジも置いてくるような打ち方だったんで、痛いとかダメージがあるというより、コツコツ殴られてうぜぇなと思っていました」

――ダメージよりも止められてほしくないと思っていましたか。

「ずっとそう思っていました。これだと効いてないのに止められちゃうよって(苦笑)。自分としては細かいパンチがうざくて右腕をヒロヤの首を巻いちゃったんですけど、首に巻かずに首の前に置いておいた方がよかったし、ヒロヤの足に挟まれていた左腕も絶対に抜くチャンスはあったんですよ。普通に考えたら分かることなんですけど、あの時は頭が真っ白でしたね。そういう意味で経験が足りなかったです」

──テイクダウンされて上から殴られるという展開は想定していたと思うのですが、想定と違うところはありましたか。

「別にヒロヤが想像以上に力が強かったわけでもなかったし、あの攻防はめちゃくちゃ練習していたんですけど、一瞬でこかされちゃいましたね(苦笑)。とにかく入場から試合が始まるまで変な感じだったんですよ」

──MMAデビュー戦が東京ドーム。しかもあの試合は会場の雰囲気も異様な特別な雰囲気だったので、どうしても普段の試合とは違う部分があったと思います。

「それで言うと自分はいつもオリジナルの入場曲を用意していて、リングインするタイミングとか全部曲と合わせるんです。でも今回はそれが全く合わなかったんですよ。俺(入場の)タイミング違げえじゃん、みたいな。しかも俺の入場なのにビジョンにヒロヤの映像が流れていて(苦笑)、なんかいろいろズレてました」

──試合直後は現実味がなかったり、悔しさを感じたりする一方、冷静になってからはすぐに試合内容を反省できたのですか。

「はい。一度(チームは)解散して、夜もう一回みんなで集まって、そこでも色々と話し合いました。負けた結果は変わらないし、次の試合に向けてやることをやって強くなって、必ずアイツにはやり返します」

──具体的にどういった部分を強化していこうと思っていますか。

「レスリングに関してはテイクダウンディフェンスばっかりやっていて、自分から攻める練習はほとんどやらなかったので、そこは変えようと思います。寝技に関しても基本をやらずに対処法だけやっていたんで、もっとレスリングと寝技の練習を増やそうと思います。MMAの練習だけじゃなくて、組みだけ・寝技だけの練習の時間を作らないといけないですね」

──今回は試合が決まってから試合までの期間、試合で勝つために最低限やらなければいけないことをやるという状況だったと思いますが、もっと一からMMAを学びたいという気持ちですか。

「そうですね。今回は時間的に今自分ができることをやっただけで、全体的にはやれてなかったんです。ここからは全体的にレベルアップする練習をしたいです。“組みに対応して殴る”だけじゃ、MMAでは勝てないので。自分からテイクダウンする・寝技で動く、そういう練習をしていきたいです。試合でやらなくても、レスリングや寝技の基礎や理屈を覚えればディフェンス能力も上がると思うし、今はその表面しか分かっていない段階だと思うんですよ。目の前の試験に合格するためにテスト対策するんじゃなくて、ちゃんと勉強します」

――怪我の回復状況もあると思いますが、いつ頃に復帰を考えていますか。

「できるだけ試合はしたいんですけど、大塚さんとも話をして1回作り直そうと思います。俺ももう27(歳)なんで、時間はないと思うんですよ。そこも考えながら復帰を目指したいです」

──試合前のインタビューで篠塚選手は「打撃では他の選手には見えない世界が見えている」と話していました。それは今も変わらないですか。

「変わらないです。俺がフライ級で一番打撃が強い自信はあるんで。他を強くして全員ぶっ飛ばします。まずはヒロヤです」

──立ち技からMMAに転向した選手がすべて最初から成功していたわけではないですし、ある程度の時間と経験も必要です。

「結果的に俺がヒロヤをぶっ飛ばせば、このストーリーは俺の勝ちなんで。いいっすよ、最初負けただけなんで。試合後にも言いましたけど、俺は負けたけど負けてないです」

──あの言葉には色んな意見があるかもしれませんが、個人的には次やったら俺の方が強いという気持ちを持つことは必要で、無条件にすんなり負けを認めるだけの選手は強くなれないと思います。

「俺もそう思いますね。だから(負けは)認めてないですよ。絶対に次やり返すんで、俺の勝ちです」

――実際に拳を交えて、よりヒロヤ選手に勝ちたいという気持ちは強くなりましたか。

「はい。アイツはいいヤツなんだろうなと思いましたけど、必ずぶっ飛ばします。残酷にぶっ飛ばします」

──ヒロヤ戦を終えてよりMMAという競技が好きになりましたか。

「好きになりました。早く練習したいです。練習しているみんなを見て、早く俺も動きてえ!と思ってるんで」

――試合直後の様子を見たり怪我のこともあったりしたので、篠塚選手の元気な姿を見ることができてよかったです。

「落ち込むのは試合後だけ。落ち込むのはもう終わりました。気持ちも切り替えてるし、めちゃくちゃ元気ですよ」

──分かりました。それでは最後に篠塚選手の復活を舞っているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「しっかり練習して這い上がって、ヒロヤをボッコボコにするんで応援よろしくお願いします!」

■RIZIN WS KORE視聴方法(予定)
5月31日(日)
午後2時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN WS01対戦カード

<ライト/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
佐藤将光(日本)

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
ジョニー・ケース(米国)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
シン・ユリ(韓国)
ケイト・ロータス(日本)

<ライト級/5分3R>
キム・シウォン(韓国)
宇佐美正パトリック(日本)

<バンタム級/5分3R>
ヤン・ジヨン(韓国)
金太郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
ジ・ヒョクミン(韓国)
武田光司(日本)

<フェザー級/5分3R>
ソン・ヨンジェ(韓国)
中原由貴(日本)

<63キロ契約/5分3R>
クォン・ヨンチョル(韓国)
三浦孝太(日本)

<キック67.5キロ契約/3分3R>
ジョ・サンへ(韓国)
宇佐美秀メイソン(日本)

<キック62キロ契約/3分3R>
カン・ボムジュン(韓国)
井上聖矢(日本)

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