【PFL2025#01】心機一転、新装開店PFLワールドTに挑む菊入正行「自分の中ではUFCと変わらないレベル」
【写真】北米でもしっかりと倒せている。そんな菊入が勝負の1年、いや半年、一戦に挑む(C)PFL
3日(木・現地時間)にフロリダ州オークランドのユニバーサル・スタジオで開催されるPFL World Tournament 2025#01。ウェルター級トーナメント1回戦で菊入正行がヨナス・バカルと対戦する。
Text Takumi Nakamura
昨年までのリーグ戦からトーナメント形式に変更となり、新たなチャプターに入ったPFL。Bellator経由でPFLに戦いの場を移すことになった菊入はウェルター級トーナメントのメンバーに抜擢された。
一回戦の対戦相手はTUF32キャストでCage Warriors ウェルター級王者の肩書を持つヨナス・バカル。菊入はこの試合に向けてタイに渡り、バンタオMMAとタイガ―ムエタイでトレーニングを積んだ。渡米直前の菊入にバカル戦、そしてPFLでの戦いに向けた心境を訊いた。
この試合に向けて、まずトレーニングキャンプについて話を聞かせていただけますか。
「今回は2週間ぐらいタイに行って、バンタオMMAとタイガームエタイで練習してきました。試合の1カ月前ぐらいに日本に戻ってきて、GENで重量級の選手たちと練習してきた感じですね。それが主なファイトキャンプの内容です」
――タイには定期的に練習に行っているのですか。
「タイガームエタイは今回が2回目で、バンタオMMAは今回が初めてです」
――タイガームエタイとバンタオMMAで練習内容に違いはありましたか。
「MMAのクラスそのものの内容はほとんど変わらずで、あとはそれぞれスパーの本数を決めてやるっていう感じです。だからクラスの内容というよりも(スパーリング相手として)誰がいるか、ですね。ちょうど僕がタイに行っていた期間、タイガームエタイには大きい選手があまりいなかったんです。だからスパーリングそのものはバンタオMMAでやることが多くて、ACAに出ている若いロシア系の選手とよくスパーリングしました。あとちょうどたまたま次の相手のヨナスにTUFで勝った選手(ロバート・バレンティン)もいたんですよ。階級的には一つ上なんですけど、その選手と組ませてもらったりしました」
――やはり試合前にフィジカルが強い選手と肌を合わせておきたいと思ったのですか。
「やっぱり僕はフィジカルが最近の課題というか、MMAをやる上でフィジカルが大事だと思っているんですね。特にウェルター級以上は。どうしてもフィジカル的なところで日本人が負けるイメージが強かったので、そこはちゃんとやっておこうという感じです。と言ってもGENに行くとデカい人ばっかりで自分は小さい方なんですけどね(笑)」
――ウェルター級の選手が日本で練習環境を整えるのは難しいと思っていたのですが、決してそうではなさそうですね。
「そうですね。もし国内で試合をやるんだったら、GENとかに練習に行くと試合する可能性がある選手もいるのですが、今自分は海外で試合をしていて、絶対にPFLのトーナメントは勝ち抜きたいと思っているので、そこはもう行くしかないと思って、岡見(勇信)さんに連絡させてもらいました」
――そしてNEVER QUITのプロ練にもライト級~ウェルター級で選手が揃っていますよね。
「出稽古に来ている阿部大治くんとか天弥くんもすごく強いんで、そういう人たちと普段から組めているのは、すごくいい練習になりますね」
――前回のハーマン・テラド戦も振り返っていただきたいのですが、3Rに左ミドルでのKO勝ちでした。あの試合はいかがでしたか。
「試合中は1R・2Rとも自分が取っている感覚だったんですけど、試合動画を見てみるとパワーとか勢いで持っていかれていた部分もあったのかなと。だからそこはやっぱりフィジカルですよね。僕が上手くいなしている感じの雰囲気は出していても、それをフィジカルで持っていかれちゃうわけだから、余計にフィジカルが大事だと思わされました」
――個人的には丁寧に戦うことを意識しているように思ったのですが、ジャッジによってはポイントを失いかねない展開だったと。
「どうしても丁寧に戦う分、色々と落ちる部分もあると思うんですよ。相手のことを見すぎて手数が減ったり、1・2Rが後手になっちゃったり。だから今回はガッと前に出て詰めるところは詰める。そういう試合をしたいですね。テラド戦のように、後手に回っていても最後はKOする試合が毎回できればいいですけど、そういうわけにもいかないじゃないですか。やっぱりちゃんとラウンドを取りながら戦うことは大事なので、そこを目的にした練習をやってきました」
――菊入選手はBellatorと契約していて、PFLがBellatorを買収したことでPFLのトーナメントに出場することになりました。トーナメント出場が決まるまで不安はなかったですか。
「試合の話があったのは去年12月の終わりくらいだったんですけど、めちゃくちゃ不安でした(苦笑)。しかも運営母体の話なので、言い方は難しいですけど、僕たち選手はどうしようもない。待つしかなかったですよね。しかもBellatorで戦っていた選手がどんどん切られるような感じになって、枠を削られている印象があったじゃないですか。だから正式に試合が決まるまでは本当に不安でした」
――ではトーナメントの話が来た時はホッとしましたか。
「ただここを勝ち抜いていかないと先は見えてこないし、それこそ一つ負けたら切られる可能性もあると思うんで。そういう意味でもこのトーナメントは何が何でも勝ち上がらないといけないです」
――対戦相手としてヨナス・バカルにはどんな印象を持っていますか。
「もろ打撃の選手っていう感じですね。オーソドックスなキックボクサーみたいな、荒さのあるキックボクサーという感じかなと思います」
――実際YouTubeで動画を検索するとキックルールの試合映像もありました。
「自分はMMAの試合しか見ていなくて、それも少し古い動画だったんで、今どうなっているのかなっていうのは、ちょっとまだ微妙なところです」
――それこそ先ほど話したように上手く戦っていても、圧力や勢いでポイントを持っていかれかねない相手ですよね。
「戦績的にはKOも多いので、自分に距離になるとすごく強いタイプだと思います。だから相手の距離に付き合わない、自分の距離を作る。そこは意識して戦おうと思います」
――自分が勝つイメージやパターンは出来上がっていますか。
「幾つかあります。これができなかったらこっちをやろうみたいな感じのことは用意していますね」
――今回のトーナメントは菊入選手のキャリアにおいても大きなチャレンジになると思います。どんな戦いを見せたいですか。
「PFLに出ているメンバーは正直自分の中ではUFCと変わらないレベルのメンツだと思うんですよ。自分がPFLのトーナメントに選ばれた以上、ずっとここにい続けることを意識してやっていきたいです」
――トーナメントの出場メンバーには元Bellator世界ウェルター級王者のアンドレイ・コレシュコフとジェイソン・ジャクソン、同暫定王者のローガン・ストーリー、PFLウェルター級2024シーズン準優勝のマゴメド・ウマラトフが名を連ねていて、このトーナメントを勝ち上がることは本当に価値があることだと思います。
「ここで優勝できたら自信にしかならないですよね。あとはもっとPFLのことを知ってほしいという気持ちがありますね。今は格闘技をやっている人や詳しい人しかPFLに出ている選手のすごさが分からないと思うんですよ。もっとPFLがすごい舞台なんだということを知ってもらいたいです」
――それでは最後に日本のファンにメッセージをいただけますか。
「UFC・RIZINだけじゃなくてPFLもめちゃくちゃレベルが高いんで、一人でも多くの人に見てもらいたいです。4月4日金曜日の朝、U-NEXTで生中継されるので是非よろしくお願いします!」
■視聴方法(予定)
4月4日(金)
午前8時45分~U-NEXT