【UFN255】ドスサントス戦へ、ロナー・カヴァナ「散打の試合に出るだけでなくウシュウの型も学んでいた」
【写真】漢民族には見えないが、やはりアジアの血が流れている顔立ちのカヴァナだ(C)MMAPLANET
22日(土・現地時間)、英国はロンドンのO2アリーナでUFN255:UFN on ESPN+113「Edwards vs Brady」が開催される。
Text by Manabu Takashima
13試合中9試合に英国人ファイターが出場する今大会。そのなかの1人、フィリッピ・ドスサントスと戦うロナー・カヴァナは中国人ファイターとして紹介されることも多い。
中国を連想させることはない名前だが、彼の体には中国人の血が流れていた。ロンドンで、中国の伝統と価値観を身に着けたカヴァナに初インタビューを試みた。
「僕の母のファミリーは中国から香港に移り住み、香港で母は生まれた。そして、ロンドンにやってきたんだ。僕自身はロンドンで生まれたけど、中国文化のなかで育った。中国の文化は、僕の根幹をなしている。UFCとサインし、母の伝統や価値観とともに戦おうと思った。中国の旗の下で戦うことを嬉しく思っている」
──その中国文化の中に格闘技も含まれていたのでしょうか。
「もちろん、僕は8歳の時に武術(ウシュウ)散打を始めた。それが僕にとって初めてのマーシャルアーツの経験だった。散打の試合に出るだけでなく、ウシュウのフォーム(型)も学んでいたよ」
──型が何かに生きることはありましたか。
「アプローチ……う~ん、でもあんまり覚えていないのが本当のところだよ(笑)。ただ型を学んだことで規律が身に付き、集中力を養うことができたのは絶対だ。とにかく、覚えるのが大変だったからね。一つ一つの動き、流れが大切で。色々な動きが含まれていて、捻りやジャンプをすることで本健康な体を持つことができた。そういう部分で、型は今の僕にも役立っている」
──ところで英国で散打はポピュラーだったのでしょうか。
「ノー。練習する場所を探すのも大変だよ。ただ大会は人気があって、多くの人が出場していた。テイクダウンも打撃もあるアグレッシブなコンバットスポーツだから、やっておいて良かったよ。
僕自身は散打だけでなくテコンドーも習うようになり、それからキックボクシングを始めた。WKUではキッズ時代に5度の世界チャンピオンになっている。ただプロのキックで戦うことはなかった。キックのコーチ2人がMMAの指導もしていて、13歳の時からMMAの練習をするようになったから。14歳の時に、初めてアマチュアMMAを戦ったよ」
──立ち技よりMMAの方が興味があったのですか。
「ノー。MMAはほとんど知らなかった。ただ、1度だけMMAの試合を見たことがあったぐらいで。それがロイ・ネルソンのファイトだったんだ。UFCの試合を見た思い出は、太ったファイターが勝って、ケージに駆け上がったぐらいで。他のことは余り覚えていなかった。いうとロイ・ネルソンが僕をMMAに導いてくれたのかもしれないね(笑)。
ただアマチュアの試合に出て、ずっとMMAを続けたいと思うようになったんだ。ちょっとバイオレンスなスポーツが、凄く自分に合っていた。それから本当に多くのことを学ばないとけなかったけどね。そうやってファイトを続けていると、人として成長できた。ならアマチュアだけでなく、プロになってMMAで生きていこうと思うようになった。母も凄く応援してくれたしね。19歳からプロの試合に出るようになり、今、ここにいる(微笑)」
──デビューの翌年にパンデミックが起こり、2年以上試合機会がなかったですが、Cage Warriorsからコンテンダーシリーズと勝ち続けました。このステップアップ方法は、計画通りだったのでしょうか。
「そういうプランが、あったことは確かだよ。フルタイムのMMAファイターになりたかったから。好きなことを続けるためにも自分のやるべきことをやり、ステップアップする。そこでも自分のやるべきことをやり、結果を残して先を目指していた」
──7連勝でUFCと契約。ついに昨年11月にUFCデビューを果たしました。しかも特別行政区とはいえマカオ、中国で。
「会場の雰囲気は最高だったね。僕は中国にも香港にも、マカオにも住んだことはないし、訪れたのも初めてだった。でも会場中から声援が聞こえた。あんなに中国のファンが僕を応援してくれるとは思ってもいなかった。感動したよ。ケージの中に入ってしまえば、いつもと同じことをやるだけだったけどね。それでも本当にエキサイトしたし、ハッピーだった」
──今週末はロンドンというホームタウンで戦います。
「凄くワクワクしている。そしてマカオで戦った時と同じように、ロンドンで戦える自分を幸せに思う」
──では対戦相手フィリッピ・ドスサントスの印象を教えてください。
「良い対戦相手だよ。打撃が良いね。でも、僕はベストを目指している。ベストになるために、やるべきことをやる。打撃でも寝技でも、倒すことができると思っている。なるべく良い一発を入れるために、スタンドで戦いたい。レスリングも立ち技で戦うために使いたい。ただ、どの局面になっても集中力を保つこと。そこが一番大切になってくるはずだ。そうすればKOできるだろう。UFCで戦い続け、ランキングを駆け上がる力があることを証明したい」
──UFCフライ級には3人の日本人ファイターがいます。
「う~ん、実はあんまり彼らのことを知らないんだ。UFCもあまり視ないから(笑)。戦うことがあれば、打撃を使った良い試合をしたいと思う。何より、僕はずっと日本で試合がしたいと思ってきたんだ。中国で試合をした。ロンドンで戦う。次は日本だ。UFCが日本大会を開くなら、教えてほしい(笑)。日本のMMAにはRIZINというビッグプロモーションが存在している。でもUFCが日本にいくなら、ラインナップに自分の名前を並べてほしい。そのためにも、まずは土曜日の試合を日本のファンに楽しんでもらいたい。そして、その日が訪れるなら必ず日本で試合をしたいと思う」
■視聴方法(予定)
3月23日(日・日本時間)
午前2時00分~UFC FIGHT PASS
午前1時45分~U-NEXT
■UFN255対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
レオン・エドワーズ(英国)
ショーン・ブレイディ(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ヤン・ブラボヴィッチ(ポーランド)
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)
<ウェルター級/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
グンナー・ネルソン(アイスランド)
<女子ストロー級/5分3R>
モリー・マッキャン(英国)
アレクシア・タイナーラ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ジョーダン・ブチェニック(英国)
クリス・ダンカン(英国)
<フェザー級/5分3R>
ナサニエル・ウッド(英国)
モーガン・シャリエール(フランス)
<ライト級/5分3R>
ジェイ・ハーバート(英国)
クリス・パディーリャ(米国)
<フライ級/5分3R>
ロナー・カヴァナ(英国)
フィリッピ・ドスサントス(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ミック・パーキン(英国)
<ミドル級/5分3R>
アンドレイ・プリエフ(ロシア)
クリスチャン・リロイ・ダンカン(英国)
<女子ストロー級/5分3R>
ショーナ・バノン(アイルランド)
プジャ・トマール(インド)
<バンタム級/5分3R>
キャオラン・ローラン(アイルランド)
ネイサン・フレッチャー(英国)
<ライト級/5分3R>
グラム・クタテラデス(ジョージア)
カウエ・フェルナンジス(ブラジル)