【Pancrase352】マチダの空手家、粕谷優介と対戦。ラファエル・バルボーザ「ココロを見てもらいたい」
【写真】「僕の名前を日本のMMA史に刻みたい」というラファエルと、シンゾー・マチダさん (C)MMAPLANET
9日(日)に横浜市中区の横浜武道館で開催されるPancrase352にラファエル・バルボーザが初来日を果たし粕谷優介と対戦する。
Text by Manabu Takashima
ベースは松濤館空手の少年部時代にはブラジル王者に輝ているというバルボーザは、16歳の時からMMAも戦うようになった。10代でLFAと契約し、米国でのキャリアもスタートさせた。そして2年前にカリフォルニアに移り住み、マチダ空手を学び夢であった日本の地、そしてパンクラスのケージに足を踏み入れることとなった。
マチダ空手の基礎は何かといえば、それは間違いなく松濤館空手
――来週に日曜日にはパンクラスで粕谷優介選手と対戦します。今の気持ちを教えてください(※は取材は3日に行われた)。
「凄くワクワクしていて、もの凄くハッピーだ。カスヤという素晴らしい対戦相手と戦うことができるので」
──カリフォルニアのマチダ空手で練習をしているかと思うのですが、所属はマキニーニャ・ド・フトゥロという発表になっています。今も普段はブラジルを拠点にしているのでしょうか。
「マキニーニャ・ド・フトゥロというのはソーシャルプロジェクトで、家庭の経済事情で会費を支払えない子供たちに無償でマーシャルアーツのトレーニングができる環境を与えるという活動なんだ。このプロジェクトで、何人かのキッズがプロのファイターに成長した。僕はこのプロジェクトにかかわる一方で、空手家として活躍してきた。松濤館空手の試合に出ていたんだ。
サンパウロ州の小さな街、サンジョゼ・ド・リオプレートでJKA(日本空手協会)の先生の下で空手の稽古をしていた。先生はシンゾー(マチダ)とは親しくて、『キッズの全ブラジル王者だった生徒が、米国に行って君の下で練習をしたいそうだ。大きな舞台で戦いたいそうで、面倒を見てやってくくれないか』と話してくれて。それで2年前にLAにやってきて、マチダ空手で空手を稽古をすると同時にカリフォルニア・マーシャルアーツセンターでMMAの練習をしている。シンゾーとは週に4日間、一緒に練習しているよ」
──松濤館空手とマチダ空手は別物だと思います。マチダ空手の稽古をする意義とは?
「同じカラテでも、少し違うよね。松濤館空手は大切な基本だ。それを繰り返すことに意味がある。そしてマチダ空手は、より実戦を想定している。僕自身、16歳の時からMMAを戦ってきた。だから、その大切さは分かっている。松濤館空手とマチダ空手も、僕のMMAには欠かせない。
技術的な部分でいえばマチダ空手を習うようになって、足技のレパートリーが増えた。と同時に競技としての空手と、リアルな意味で戦う空手は違う。戦いにはヒザ、ヒジ、アッパーカット、フックが存在する。そしてスポーツ空手には、それらの攻撃は全て含まれている。ただし、スポーツ空手はそれらを除外している。結果、道場内での稽古も競技会で許された技が重視されるようになっている。
MMAを戦うには、それらの技術は欠かせない。マチダ空手はスポーツ空手にフォーカスしていない。ただし、そのマチダ空手の基礎は何かといえば、それは間違いなく松濤館空手なんだよ」
──いやぁ、こういう空手談義ができるのもマチダ空手を学んでいるファイターだからこそですね。
「いえば空手の基礎も、スポーツ空手で勝利するために有効ではない事態が生じる。構え、突きからして変わってしまう。結果、スポーツ空手とマチダ空手は別物に見えるだろう。でも、その軸にある基本は松濤館空手なんだ」
──つまり空手の原理が、ハファエルのMMAを助けているということでしょうか。
「もちろんだ。空手はマーシャルアーツだからね。100パーセント、空手は僕のMMAに欠かせない」
ブラジル人に日本人の根性が注入されたら、どれだけ強いか
──この2年間、実戦から離れていて日本で戦うことになりました。
「なかなか試合の機会がなかったから、日本で戦えることは凄く嬉しいいよ。ただ、この間もずっとUFCファイターやカラテ・コンバットの選手たちと練習をしてきた。試合がなくてもトレーニングを続ける。それがカラテのフィロソフィーだからね。いつか、素晴らしい機会が巡ってくると信じて練習をしてきた。そして、パンクラスで戦うことが決まったんだ」
──空手の母国で戦うことについて、どのような気持ちですか。
「実は去年の10月に空手時代の友人が、日本で開かれたJKAワールドカップでブラジル代表として戦ったんだ。空手を続けて、日本で戦いたかった。そう思わなかったなんて言えば嘘になる。正直、ヤツに嫉妬したよ(笑)。でも僕はMMAで強くなるために、LAで練習をしているんだと言い聞かせたよ。そうしたら2カ月後に日本で戦わないかという声が掛かったんだ!!
この1年はMMAに専念してきた。そうしたら、日本でMMAを戦えることになった。日本で戦うことは、夢だったから最高の気分だよ。リョート、ヴァンダレイ、ミノタウロ、ブラジルのヒーローたちは日本で戦ってきた。そして彼らに代わって、今、僕に日本で戦う時が訪れた。この名前を日本の格闘技界に刻むつもりだ」
──では対戦相手の粕谷選手の印象を教えてください。
「UFCで戦っていたこともある経験豊かなファイターだ。カスヤはキックの使い手で、グラップリングも強い。彼のことをとても尊敬しているけど、僕が全てにおいて上回っている。ブラジル人は空手が強い。そして、柔術も強い。ブラジルにいた時は、柔術の練習もしっかりしてきた。過去2年間、米国でレスリングのトレーニングを続けてきた。僕は自分の戦いに自信を持っている。カスヤが何をしてくるのかではなく、僕が自分の戦いができるのか。そこの方が大切だと思っている」
──ハファエルは松濤館空手出身、粕谷選手は極真空手出身です。伝統派✕フルコンタクト空手という見方もできます。
「僕は全てのスタイルを尊敬している。でも、僕の松濤館空手が最強だと信じている。来週の日曜日に、日本のファンに僕のココロを見てもらいたい。ブラジル人に日本人の根性が注入されたら、どれだけ強いか。日本のファンの皆に、心の底から僕の試合を見てほしい。僕のハートは、他のファイターとは違う。約束するよ。押忍!!」
■視聴方法(予定)
3月9日(日)
午後11時45分~U-NEXT