【UFC313】オクタゴン2戦目、ジョシュア・ヴァン戦へ。鶴屋怜「世界を驚かせるような試合をしたい」
【写真】被弾しないのが一番だが、被弾はするという気持ちで戦い──ヴァンのパンチを被弾した後が大切になってくるかと(C)TAKUMI NAKAMURA
8日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナで開催されるUFC 313「Pereira vs. Ankalaev」にて鶴屋怜がジョシュア・ヴァンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
2月9日のUFC312でのスチュワート・ニコル戦がキャンセルとなった鶴屋だが、ブルーノ・シウバの欠場を受けて代替出場=昨年6月以来の試合でヴァンとの対戦が決まった。試合間隔をこれ以上空けたくない、対戦相手のヴァンがランキング入りしていることから、スクランブル発信を決めた鶴屋。大会直前にヴァンがランキング外となったものの、UFC戦績5勝1敗のプロスペクトとの対戦は鶴屋にとって大一番となる。
取材日は渡米間近の3月1日、ヴァンがランキング入りしていた時点での鶴屋のインタビューをお届けしたい。
かなり試合間隔が空いちゃって最悪だなと思っていた
――今回のジョシュア・ヴァン戦は急遽決まった試合でしたが、どのくらいのタイミングで試合が決まったのですか。
「大会まで3週間切ったぐらいですかね。対戦相手がランカーだったので、これはオイシイなと思って、このタイミングでも試合を受けました」
――対戦相手がヴァンだったことが決め手だったのでしょうか。
「相手がヴァンというか、誰かランカーとやれれば次にも繋がるからいいなと思っていて、ちょうどヴァンの相手が空きましたという情報が入ってきたんで、やりたいと思いましたね」
――試合そのもので言うと、2月に予定されていたスチュワート・ニコル戦がニコルの怪我で流れてしまいましたが、あの時の心境は?
「実は去年の11月にもマカオで試合が決まっていたんですが、相手の事情でなくなっちゃったんです。それで今年2月の試合もなくなったから、実際は2回試合が飛んでいるんですよ。かなり試合間隔が空いちゃって最悪だなと思っていたんですけど、一応いつでも戦えるように準備はしていたんで、ここで決まってよかったなと思います」
――試合が空いた期間はどこに力を入れて練習をしてきましたか。
「(才賀)紀左衛門さんのジムで打撃をやりながら、打撃と今自分の持っているMMAをアジャストする感じの練習をやってきました」
――UFCに参戦するうえで打撃の向上が必要だと感じたのですか。
「いずれにしろ、MMAをやる上で全体的にできた方がいいし、打撃が上手くなりたいとは思っていたんですけど、打撃を教えてくれる先生がなかなかいなくて。いないわけではないんですけど、自分に合う先生に出会えなくて、そこで紀左衛門さんといい感じに出会った感じですね」
――例えばそれまで打撃の専門トレーナーの指導を受けることはあったのですか。
「あったにはあったんですけど、なんて言うんですかね……定期的にジムに来てくれて、個別に指導してくれるような自分のことをしっかり見てくれるトレーナーがいいなと思ったんですよ。例えばボクシングジムに行くにしても、そういう指導方法ではないじゃないですか」
――出稽古先からすると所属選手ではないですし、どうしても指導している選手の中の一人という形にはなってしまいますよね。
「それで言うと紀左衛門さんのジムは、今のところまだそんなに所属選手もいないし、結構自分に対して丁寧に教えてくれたんで、これはいいなと思いました」
――才賀選手とは一緒に柏でMMAの練習をやっていた時期があるんですよね。
「自分がデビューする前か、デビューした直後くらいにマンツーマンでずっとMMAの練習をやっていたんですよ。紀左衛門さんとはそこからの仲で、しばらく会わなかった時期もあったんですけど『練習に来てみなよ』みたいな感じで誘ってもらって、実際に練習に行ってみたら結構いい感じでした」
――打撃の指導もMMAを意識したものなのですか。
「そうですね。あくまでも僕のスタイルを崩さないで、紀左衛門さんからやるべきことを教えてもらっています。スタンドの距離感や自分の打撃の癖とか、そういうところを直してくれたり、すごく細かいところを教えてくれるって感じです。あと紀左衛門さんはプラス思考で『いいね!』って褒めてくれたり、ポジティブなことを言ってくれて、気持ち的にもやりやすいというか。色々と波長が合って、一緒にいても苦じゃないですね」
――打撃のスキルが上がったことでMMAにおける距離感がよくなったり、テイクダウンにいきやすかったり、MMAでの変化は感じていますか。
「MMAの打撃になると距離が近すぎて、被弾することも多かったんですけど、そういう部分を減らしてもらったり、打撃からのテイクダウンだったり、そういうタイミングも掴みやすくはなってきましたね。前回のカーロス・ヘルナンデス戦は寝技ばっかりになって、後半に疲れるシーンもあったんですけど、あれから打撃ができるようになって、体力的にも対策できるというか。もう少しいい感じのMMAをできるという意味では、ちょうどいいタイミングだなと思います」
相手を泳がせながら、極められる時に極められれば
――改めて対戦相手のヴァンにはどのような印象を持っていますか。
「打撃の選手だなっていう印象で、ボディとか(攻撃)を散らしくてるタイプかなと。そんなにキレイにやってくるタイプじゃないんで、ちゃんと距離感を保っていれば大丈夫かなと思っています」
――攻撃力が目立ちますが、丁寧に戦えば問題ないという認識ですか。
「そうですね。いきなり(フィニッシュに)いかないで寝技で削れば、それほどではないのかっていう感じはしますね」
――基本的にヴァンは打撃で試合を進める選手ですが、グラウンドになるとサブミッションを仕掛ける場面もあります。
「それはそれで付き合ってくれれば、全然こっちとしてはオイシイです。過去にヴァンが負けている試合で一本負けしている試合もありますし、寝技は全然自分の方が上だと思います」
――色んな展開も想定して、自分が勝つイメージは出来上がっているようですね。
「そうですね。試合直後は相手も力があると思うんで、相手を泳がせながら、極められる時に極められればいいなというイメージです」
――相手がランカーということで、この試合に勝てば更なる飛躍やチャンスにつながると思います。鶴屋選手はこの試合をどう位置付けていますか。
「自分の中では今までの試合の中でも大一番かなと思っていて、ここで勝つか負けるかで今後の競技人生も変わってくると思っています。もしここで負ければタイトルマッチまでの道はまだまだ長くなるだろうし、ここに勝って年内に上位ランカーと組まれれば、来年あたりにはタイトルに挑むチャンスも出てくるかなと思います。とにかくここでしっかり勝って、タイトルに絡んでいきたいです」
――ヴァンはUFC戦績が5勝1敗で連勝中の選手なので、そういう相手に勝つことは大きなアピールになると思います。
「確かにUFCで勢いに乗っている選手ですけど、1敗しているってことは全然負ける、勝てない選手じゃないという印象です。ヴァンはコディ・ダーデンに勝ってランキング入りしたと思うんですけど、自分は前からダーデンともやりたいと言っていて、それが外れてヴァンになったんで、そういう意味でもいい相手だなと思います」
――この試合を楽しみにしているファンのみなさんはたくさんいると思います。そのファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「日本にはもちろん、世界を驚かせるような試合をしたいですね。この選手だったらタイトルマッチも近いなと思わせたいです。やっぱり自分はUFCで戦うようになって日本のファンを喜ばせるのはもちろん、世界中のファンを喜ばせて、世界に自分の名前を売っていきたいです」
■視聴方法(予定)
3月9日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT