【Breakthrough Combat02】中原由貴とProgressライト級王座決定戦、安楽龍馬「ピュアレスリングは必要」
【写真】今回だけでなく、これからが楽しみ(C)MMAPLANET
25日(水)に会場非公開&配信大会として開催されるBreakthrough Combat02で、安楽龍馬が中原由貴とProgressライト級王座決定戦を戦う。
Text by Manabu Takashima
レスリングU23世界選手権3位、五輪を目指したレスラーのグラップリング転向。過去の日本のグラップリングシーンは柔術家が道着を脱いで戦うか、MMAファイターが打撃無しルールに挑むのか──その2つのスタイルで構成されてきた。レスラーがMMAでなくて、グラップリングへ本気で挑む。安楽のグラップリングへの想いと、レスリングの重要性について訊いた。
――五輪を目指すレスラーが、MMAPLANETの取材フィールドに転向してくる場合はほぼほぼMMAファイターへの転身です。安楽選手が競技者として食うことが難しいグラップリングに転じたのは、どういった理由からなのでしょうか。
「2023年にパリ五輪の1度前の予選があって。その前の年ぐらいから僕自身は、今はAACCでコーチをしている稲葉(洋人)という人間、もう一人は中村倫也さんの弟の剛士と3人で、レスリングの普及活動を始めるようになっていました。
その時に今では僕の師匠に当たる竹浦(正起)さんを紹介してもらい、グラップリングの人たちにレスリングの指導を始めたんです。初めてグラップリングに触れて。竹浦さんから指導だけでなく、スパーリングもしてみたらと誘われました。その最初の相手が世羅(智茂)さんでした」
──おお。
「僕は世良さんのことも知らなくて。テイクダウンを狙うと、どんどんギロチンを極められてしまって。それに対して、悔しいのと楽しいという感情が沸き上がってきたんです。強さを求めて、練習していたレスリング時代を思い出すような感じで。レスリングを辞めたら、グラップリングを始めようと思いました」
──新しい競技で、コンペティターとしての熱が戻ってきた?
「そうですね。残りの2人は仕事を持って、指導をしているんですけど、僕はプレイヤーでいたいと思ったんです」
──それまでにグラップリングという競技のことはご存知だったのでしょうか。
「U23世界大会に出た前日に、FILAの世界グラップリング選手権をやっていたトミー(矢野)とか出ていました。グラップリングで来ているんだなって感じで、名前ぐらいしか分かっていなかったです」
──テイクダウンをしてフォールをすると勝てる競技から、座って良くて背中をつける人だらけの競技への転身。もう、体の方はスムーズに動くのでしょうか。
「最初はいきなり座られると、リズムが狂いました。取りあえず触ると、すぐにひっくり返されて極められしまう。そこが悔しいけど、面白く感じました。ただポジションや足の位置もレスリングに似ているようで、全然違います。すぐにアジャストできたわけではないですけど、最近では自分も下から攻めるチャレンジをしています。
あとは上からパスをして、サブミッションを狙う動きができてきて。毎日が充実していて、学びがあります。今はレスリングの時はレスリング、そうでないときはグラップリングで対応するようにしています」
──転向とともに、ADCCを目指すように?
「そうですね。ADCCが自分の長所であるレスリングを出せるので、まずはADCCを目指そうと思いました」
──ところで道着の柔術の稽古を行うことはあるのですか。
「道着はまだないですね。やってみたいんですけど、まだ手を出していないです。選択肢を増やすために、柔術は大切だとはよく言われます。レスリングも最初は技術を頭の中にインプットして、それを試合で出せるようにしていたので、そこは凄く分かります。それでもグラップリングの技術を覚えるのは難しいです。
最初に道着をやった方が良いと言ってくれたのが岩崎(正寛)さんで。『安楽君、技が少ないから』と。30分、40分と電話で話して、今も連絡を取り合っているのでカルペディエム芦屋に行って習いたいですね」
──つまり現状ではグラップラーとして、持っているモノは少ないという認識でいると。
「ハイ。そういうなかでProgressのタイトル戦を戦って良いモノかという想いもありましたが、オファーを頂くこと自体が有難くて。評価していただいていることなので、頑張りたいと思います」
──Level-Gでのグラップリング初陣で内田タケル選手に勝利。あの試合は今持っているモノで判定勝ちできる。レスリングで勝てるという確認ができた形でしょうか。
「実は4月に股関節を脱臼し、10月に練習に復帰したばかりで。その1週間後ぐらいにオファーがあったんです。竹浦さんと相談して出ることにして。強い相手と聞かされていたのですが、五輪を目指していた時の練習量とか考えると一緒だし。まぁ、やるしかない。あの時は何もなかったので、レスリングで勝とうと思いました」
──グラップリングに対して消極的でもなく、積極的でもない。良い塩梅でやり切ったように見えました。
「ありがとうございます(笑)。いい具合に見せることができました」
──そして中原戦。同じMMAファイターでも内田選手は柔術家の一面もあり、タイプが違います。実際、MMAファイター同士のProgress戦で中原選手は中川晧貴選手をケージに押し込んで、テイクダウンしています。
「ケージレスリングはレスリングとは別の競技なので。青木選手とか、練習させてもらうと最強で。最近、ようやく慣れてきた感じです。ただ一つひとつ試していると、ここは力が使える。ここは休めるとか、レスリングが応用できてきています。そういう意味でもピュアレスリングは必要です。
グラップリングのトップにいてもレスリングのトップの動きができるところと、そうでないところがあります。それが分かることで、やはりレスリングは重要だと想えるようになりました。それにMMAではないので。MMAなら殴れるというケージレスリングもできますし。いやぁ、僕にMMAは無理ですね(苦笑)」
──それはなぜ?
「痛いのは嫌です。さっき(新居)すぐるさんにカーフを蹴られて、たまったもんじゃないですよ(笑)」
──ハハハハ。と同時に打撃の無いMMAと形容されるProgressだけにレスリング・グラップラーの安楽選手の最も得意とするルールセットのようにも感じられます。
「そこはサブオンリーも変わらないです。有利不利とか考えず、自分は変わらず……不安があるなかで、どこまでできるのか。トップを取れば、動いてサブミッション。逃げようとすると抑える。下になるとスイープをしたりだとか、どんな風に攻めようとかと考えています」
──安楽選手が下になることもあると?
「そこは考えていますね。中原選手は柔道ベースで、足掛けとかも凄く上手いので。フィジカルも強そうですし、内田選手と違って硬い系です。胸を合わせることがあれば壁とか関係なしに、技術で対応したいです」
──この試合を通して、見て欲しいところはどこになりますか。
「ハンドファイトは長けている方なので組手や、テイクダウンの距離というところを見て欲しいです」
──この試合を終えて、2025年のグラップラーとしてどのようにステップアップを果たしたい?
「今後もBreakthrough Combatに引き続きオファーを貰いたいですし、まだまだ経験が少ないのでできるだけ多くの大会に出てどんどんチャレンジしたいです。全日本ノーギ、海外も修行しに行きたいですね。1月にADCCオープンが東京にあるので、まずはそこを向けてまずは調整しようと思っています」
■視聴方法(予定)
12月25日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat02対戦カード
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]北岡悟(日本)
<Progressライト級王座決定戦/5分3R>
中原由貴(日本)
安楽龍馬(日本
<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
川北晏生(日本)
<ミドル級/5分3R>
イ・イサク(韓国)
アギラン・タニ(マレーシア)
<Progress68キロ契約/5分2R>
須藤拓真(日本)
中島太一(日本)
<Progress71キロ契約/5分2R>
城戸泰介(日本)
椿飛鳥(日本)
<フライ級/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
古賀優兵(日本)