【DEEP122】30歳で柔道→MMA、神龍誠と対戦するKENTA「倒さないといけない相手だと思っていた」
【写真】柔道時代には髙藤直寿とも対戦、地元・新潟では喧嘩祭りとして知られる新発田祭りで腕試ししていたという異色の経歴を持つKENTA(C)TAKUMI NAKAMURA
4日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP122で、KENTAが神龍誠と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
9月のDEEP後楽園大会では渡部修斗に一本勝ちし、約2年半ぶりにDEEP凱旋を果たす神龍の相手として白羽の矢が立ったKENTA。MMA戦績は10戦8勝2敗、今年で34歳を迎えた遅咲きファイターは柔道一筋の青春時代を経て30歳でMMAに転向、地元・新潟では喧嘩祭りとしても知られる新発田祭りで腕を鳴らした異色の経歴の持ち主だった。
――神龍選手と注目の一戦が迫ってきました(取材日は10月26日)。最初にこの試合のオファーを受けたのはいつ頃だったのですか。
「前回の試合が終わって2日~3日後に話をもらいました。神龍選手が11月のDEEPに出るという話は聞いていたのですが、試合のオファーだったので少し驚きました」
――これまで戦ってきた相手のなかで名実ともにトップの相手だと思います。周囲の反響はいかがでしたか。
「自分は2年半前(2022年3月)にプロデビューしたんですけど、その頃にDEEPのチャンピオンになったのが神龍選手だったんですよ。だから僕にとってはいつか倒さないといけない相手だと思っていて。神龍選手がベルトを返上してRIZINに行ってからは、自分がRIZINに出る以外は戦うチャンスがないと思っていたんです。だから今回オファーをもらった時はラッキーだなと思いました。ただ周りは僕の想いは知らない人が多いので『おお!すごい選手と試合が決まったね』という反応が多かったです」
――今回はKENTA選手を初めてインタビューするということで、これまでの経歴についても聞かせてください。KENTA選手が最初に始めた格闘技は何だったのですか。
「小学校1年の時に柔道を始めました。もともと親父と叔父さんが柔道をやっていて、どちらも新潟県でチャンピオンになるくらいの選手で、その影響で地元の道場で始めた感じです。最初は遊び感覚でやっていて、親父もそこまで厳しくなかったのですが、小学校低学年の時に女の子に試合で負けて、僕がヘラヘラしていたんですね。そしたら親父が『女に負けてヘラヘラするようなヤツは男じゃない!』って激怒して、それから柔道に熱が入るようになって、僕も真剣に柔道でやりました」
――KENTA選手も次第に柔道にのめり込んでいったのですか。
「そうですね。僕が所属していた道場が新潟でも有名なところで、団体で県大会で優勝するような道場で、みんなで切磋琢磨しながら、自分も周りに負けたくないと思って練習していました」
――柔道はどのくらいまで続けたのですか。
「中学・高校は部活と道場で練習を続けて、柔道推薦で関東の大学に進学しました。大学卒業後はALSOKの関連会社に入社して社会人柔道として続けていて、その時に講道館杯に出場するなど結果を残すことができたんですね。それで泉浩さん(※2004年アテネ五輪柔道90kg級銀メダリスト、2009~2011年にはMMAにも挑戦)が監督を務める実業団から話をもらって、そちらに移籍することになりました。柔道そのものは28歳まで続けました」
――まさに柔道一色だったんですね。柔道時代にメダリストや有名選手と試合したことはありますか。
「関東大会の決勝で髙藤直寿選手(※2020年東京五輪柔道60kg級金メダリスト)と試合をしたことがあります。全日本ジュニアではドンマイ川端(川端龍)選手ともやりました」
――そこからMMAを始めるきっかけは何だったのですか。
「柔道では日本代表を目標にやってきたんですけど、ジュニア時代は全国で5位、全日本選手権でもベスト16止まりで、なかなか日本代表に選ばれなかったんですね。学生時代は3年や4年と期間が決まっているので、そこに向けて集中して頑張れたのですが、実業団はそういった区切りがないので、モチベーションを維持するのが難しかったり、少しずつ試合で負けても悔しいと思わなくなっていたんです。なあなあな気持ちで柔道をやっていても結果は出せないし、会社に迷惑もかかると思ったので、28歳で引退しようと思いました。それで1年間はコーチとして指導を続けていたのですが、選手を引退してからは何も頑張るものがなくなってしまって。もともと大晦日に格闘技を見るのが好きだったし、MMAは打撃もある何でもありで強さを競うものなので自分もやってみようと思って、柔道には区切りをつけてMMAに転向しました」
――いきなり打撃ありのMMAに挑戦することに不安はなかったですか。
「僕は新潟県新発田市出身で、新発田祭りという祭りがあるんですね。それは有名な喧嘩祭りで、僕もそこでバンバンやり合ってたんですよ。はちまきを拳に巻く人もいますが、基本は素手でやるもので、打撃に対する免疫はありました(笑)」
――そんな意外なバックボーンがあるとは思いませんでした(笑)。
「そんな感じで昔から負けん気は強かったですし、親父が格闘技の試合を見ながら酔っ払って『俺だったら勝てる』とか言ってるのを見て、内心『やってみろよ』と思っていたんですよ(笑)。そういうこともあって実際に自分がMMAをやってみて、どういうものかを知りたいと思っていました」
――とはいえ30歳を目前にして安定した仕事を辞めることに躊躇しなかったですか。
「思い切った選択ではあるんですけど、人生一度切りだし、阿部大治が高校の後輩で阿部からも誘ってもらったし、そうやって周りで後押ししてくれる人がいたんですね。それでMMAをやろうと決めました」
――MMAを始めた時から自信があったのですか。
「僕も少しネジが外れているタイプなので(笑)、『俺がMMAやったら絶対強い。チャンピオンになる』と思って始めました」
――MMAを始めるうえでK-Clannを選んだ理由は何だったのですか。
「横田(一則)さんが順天堂大学の柔道部で、その1つ上の代のキャプテンが新潟の道場の先輩だったんですよ。その先輩から同じ柔道ベースだし、DEEPでも2階級制覇しているすごい選手だよということで紹介していただきました。
――柔道ベースという部分でも横田さんの指導はKENA選手に合っていますか。
「そうですね。横田さんは打撃も上手いですし、MMAでも柔道技を活かしたスタイルなので、すごく僕に合っていると思います」
――ここまでプロ戦績は8勝2敗、ご自身ではどんなキャリアだったと思いますか。
「30歳でMMAを始めたのですが、怪我があって約1年間はほぼほぼ練習できなかったんですよ。それで心が折れかけていた部分があったんですけど、その時に横田さんに声をかけられて気持ちを入れ替えました。だからMMAを始めて実質3年半・プロで2年半ということを考えたら、2敗して悔しい想いもしましたけど、神龍戦とやれるところまで来たという意味ではいいキャリアを積んでいるのかなと思います」
――自分の実力を出せばトップ選手にも通用すると感じていますか。
「RIZINに出ている村元(友太郎)選手や渡部(修斗)選手とやった時も、周りは厳しいという目が多かったのですが、僕は普通に勝てると思ってやっていたし、気負いもなかったです」
――神龍選手は日本だけでなく世界でもトップレベルの選手です。その相手とどんな試合をしたいですか。
「初期の頃は判定勝ちが多くて、最近は一本勝ちもするようになって、どちらかというと組み技の選手だと思います。だから自分と試合をしたら噛み合うと思うし、試合するのが楽しみですね。僕的には『ぶっ倒してやろう!』というよりも『トップ選手ってどんなもんなんだろう?』と思いますね。今回はそういうワクワクがすごいです」
――一試合一試合、自分の力を出し切りたいですか。
「僕ももう34歳ですし、MMAに転向した理由も後悔したくなかったからで、柔道時代とは格闘技に対するメンタルが違いますね。どうしても年齢的なところでいつまでできるか分からないですが、毎日楽しみながら格闘技を続けられています」
――神龍選手は誰もが戦える相手ではないと思います。そこに対する喜びもありますか。
「あります。自分は仕事しながら格闘技をやっていて、計量前日まで夜勤で働いて水抜き、みたいなこともあったんです。でも今回は会社の理解やスポンサーさんの支援もあり、試合の一カ月前から仕事を休ませてもらっているんですね。これだけ練習に集中できたのは初めてですし、ここまで怪我なく来れているので、その成果をどこまで出せるかが楽しみです」
――改めてKENTA選手の格闘家としての目標を聞かせてもらえますか。
「僕は柔道で日本一や日本代表になれなくて“JAPAN”の文字を背負って戦うことに憧れがあるんですね。だからDEEPでベルトを獲って日本代表として、海外の選手と戦ってみたいですね。やっぱり日本を背負って戦う選手はカッコいいし、僕は柔道でそれを叶えられなかったので、30歳でMMAを始めても夢を叶えられるんだぞってところを見せたいです。またこの年齢でも新しいことを始めて、目標に向かって挑戦している姿も見てもらいたいです」
■視聴方法(予定)
11月4日(月・祝)
午後5時30分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV
■DEEP122 対戦カード
<フライ級/5分3R>
神龍誠(日本)
KENTA(日本)
<メガトン級/5分3R>
長谷川賢(日本)
酒井リョウ(日本)
<女子50キロ契約/5分3R>
ケイト・ロータス(日本)
月井準南(日本)
<ライトヘビー級/5分2R>
ANIMAL☆KOJI(日本)
SAINT(米国)
<フライ級/5分2R>
木村琉音(日本)
平本丈(日本)
<73キロ契約/5分2R>
近藤有己(日本)
毛利昭彦(日本)
<68キロ契約/5分2R>
太田将吾(日本)
水野新太(日本)
<68キロ契約/5分2R>
ケンヤスキー(日本)
立成洋太(日本)