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【RIZIN48】新井丈と対戦、ズールー=TUF24で競演「オウギクボと一緒に練習をして技術交流をしたい」

【写真】くっきり二重のズールー。ストライカーという触れ込みだが、インタビューではレスリングに精通していることが伺えた (C)RIZIN FF

29日(日)、埼玉県のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN48で、南アフリカからエンガジムーロ・ズールーが初来日を果たし新井丈と対戦する。
Text by Manabu Takashima

南アフリカ、いやアフリカ大陸#01ショーといえるEFC Worldwideでフライ級とバンタム級を制したズールーと修斗でストロー級とフライ級を制した新井の対戦。そのズールーは2016年に世界中のローカルプロモーションからフライ級王座が一同に会し、フライ級チャンピオンカーニバルと呼ばれたTUFシーズン24に参加し、扇久保博正と対戦している。

戦ってなお友情を育み、扇久保を尊敬し──あの日の敗北を払拭したいという想いを持つズールーは初めてのリングでのMMA、そしてRIZINルールでの戦いに興奮を隠せずにいた。


ケージレスリングより、ピュアレスリングが大切になってくる

──約2週間後に日本で新井丈選手と対戦します。今の気持ちを教えてください(※取材は17日に行われた)。

「日本を初めて訪れることに凄くワクワクしているし、最高の気分だよ。加えて、初めてリングでMMAの試合をすることが楽しみでならない」

──MMAの試合が初めてということは、他のルールではリングの経験があるということでしょうか。

「そうだよ。MMAでは初めてだけどムエタイとK-1はリングで戦ってきたからね」

──リングとケージは別モノという見方もできます。今回の試合に向けてどのような調整を行ってきましたか。

「ずっとボクシングはリングで練習をしてきているから、その辺りの知識は持っているつもりだ。もちろん、金網がないことで押し込んでからの逃げ方などは違ってくるから、ケージとリングでは違う技術や作戦が必要になっている。それでも、どうすればリングで対戦相手をコントロールできるかは分かっているよ」

──90度のコーナーがあるリングと、ケージでは距離の取り方なども違ってくるかと思います。

「そこに関しては、問題ないよ。僕の方がプレッシャーをかける方だから、下がる相手はコーナーに詰めることができる。だからリングでの試合は僕にアドバンテージが与えられるわけで、相手にはディスアドバンテージでしかない」

──では組みの展開になると、ロープが使われているリングでの戦いはどうなると予想していますか。

「レスリングはレスリングだ。ケージでないなら、壁が使えない。そのつもりで戦えば良い。つまり、普通にレスリングをすれば良いんだ。金網があればレスラーはプレッシャーを掛けやすい。リングだと、レスリングではなくK-1のプレッシャーの掛け方で構わなくなる。

ボディロックが取りやすくなる? そうだね、組む方はケージと比べると腕を自由に動かすことができる。ただ、組まれた方も腰の使い方がケージの時よりも楽になる。つまりロープはあっても、ピュアレスリングと同じ技術になるんだ。ケージレスリングより、ピュアレスリングが大切になってくる」

──ではRIZINルールも初めてだと思います。このルールセットにはどのような印象を持っていますか。

「エルボーとニーが好きなので、ヒザをグラウンドで使う機会がやってくることを願っている(笑)。グラウンドでのヒザが認められていることは、リングと同様に僕にとってアドバンテージになる。これまでテイクダウンを奪っても、ヒザはボディにしか打てなかった。それが頭部、顔面に入れることができるんだから。

これまで戦って来たルールでは、それが可能なポジションでも使うことが許されていなかった。でも、次の試合は違う。凄く楽しみだ」

──ところで2016年のTUF以降、ずっと南アフリカで戦ってきました。南アフリカの選手はズールーと同じEFC World Wideでキャリアを積みUFCやONE、そして中東に旅立っていくケースが多いですが、母国に留まっていたのは何か理由があったのでしょうか。

「まあ南アフリアで戦い続けてきたことは、不運だったかもしれない。でも、英国、ブラジル、ジンバブエという国外の選手との試合も経験してきた。それ以前にカンボジアでMMAを2試合戦い、タイで1度ムエタイの試合を戦ったこともある。僕への応援がない環境でも戦ってきているからね。

確かに母国で戦うのと、そうでない試合は違う。でも、それが問題になることはない。試合場に上がり、やるべきことを遂行する。それだけだよ。結果、ファンが僕の試合を気に入ってくれると最高だ。何より世界でも有数の団体の1つであるRIZINで戦えるんだ。この力を見せつけるよ。そして、ずっとRIZINで戦い続けてチャンクーラを手にし続けたい」

──チャンク―ラ?

「マネーのことだよ(笑)。RIZINで戦うことでチャンクーラを稼ぎ、日本の文化に触れることもできる。この機会を手にすることができて、とても嬉しい」

──その日本のMMAに関して、どのような印象を持っていたのでしょうか。

「日本のMMAもそうだけど、日本の文化に興味があった。日本の人々を尊敬しているし、日本でどんな経験ができるのか凄く期待しているんだ。僕自身、極真空手を習って成長してきたからね」

──そうなのですかっ!!

「そうなんだよ。茶帯を巻いていた。極真時代は1度のトーナメントで、26試合も勝ち抜かいといけないなんてことも経験したよ」

──!!!

「極真空手から学んだことは本当に多い。その極真は日本生まれだから、日本の文化に興味を持ち続けてきたんだよ。マスター・マス・オーヤマの教えが僕の根底にはあるから」

──ところで南アフリカの治安の悪さは、日本にも伝わっています。そういうなかで生まれ育っていると、試合でも危機管理能力が発達するということはありますか。

「残念なことに南アフリカはどこが安全で、どこが危険か分かっていないと本当に危ない。でも素晴らしいところもあるんだけどね……。そのような国の状況とファイトを比較することはできない。僕自身が荒れた地域の出身であるからこそ、リングの上と一緒にはできないんだ。

それこそ日本のような治安の良い国からでも、RIZINのビッグスターの1人でThe Ultimate Fighterで活躍したヒロマサ・オウギクボのような選手が生まれているじゃないか。本当に心穏やかで、礼儀正しい人物だった。凄くフレンドリーで、僕は彼と戦ったけど心の底から尊敬している。

オウギクボとは言葉がちゃんと通じ合ったことはない。彼はTUFに出ていた全員とコミュニケーションを取るのに苦労をしていた。でも、言葉じゃない。彼の佇まいで、どういう人間なのかは伝わる。僕らは戦い、オウギクボは2Rに僕をRNCで仕留めた。でも、戦ったあとでも僕らはカタコトの言葉で意思を伝えあい、友情を育んだ」

最高の勝者に自分がなれると思っている

──実は扇久保選手のことは、後ほどお伺いしようと思っていたのですが、ズールーから話してくれましたね。それだけの関係にあったことが伝わってきます。と同時にRIZINのフライ級で戦うということは、どこかで扇久保選手にリベンジをしたいという気持ちが残っているのではないでしょうか。

「もちろん、僕はファイターだから敗北は払拭したい。リベンジの機会があれば、そうしたいよ。でもそれは何も僕らの間にパーソナルな問題があったからではないことだけは言っておきたい。実際に試合後も、彼は僕にアドバイスをしてくれた。僕も同じようにオウギクボの役に立てるならと助言もした。僕らは心が通じ合っていた。戦っても敵対関係になるようなことは一切なかったよ。

今でも日本に行った時に、オウギクボと一緒に練習をして技術交流をしたいと思っている。それができれば、本当に光栄だ」

──その扇久保選手はRIIZNフライ級を世界最高のクラスにしたいという目標を持っています。そうなると実際に戦うライバルであっても、夢を叶える同志になるわけですね。

「それは今、知ったことだから……何て言えば良いのか。ただ、その目標を達成して欲しい。人間として、彼と同じ目標を持ちたい。同時にファイターとして、ウォリアーとして僕にも夢がある。今もチャットで会話するオウギクボが目標を達成するために、僕らが戦う必要があるなら問題なく応じるよ。それは彼が本当に素晴らしいヤツだからだよ」

──そのような未来が来るためにも、今回のRIZINデビュー戦は非常に大切になってきます。

「動画でジョー・アライのファイトは視た。運動神経が良くて、強いパンチの持ち主だ。カウンターも上手い。なにより、気持ちがタフだ。激しい戦いになって、最高の勝者に自分がなれると思っている。

いつだって観客の皆に喜んでもらうために、ベストを尽くしてきた。日本のファンは騒ぐこともなく、じっと戦いを見てくれる。そんな日本の皆も、僕も試合を気に入ってくれるはずだ。そして、最高の時を過ごして欲しい。フィニッシュして勝つ。その準備はできているよ」

■RIZIN48視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後2時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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