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【ONE FF81】ムエタイルール4戦目へ、小笠原瑛作「ベルトを目指せる選手だというところを見せたい」

【写真】日本人3選手がキックルールで参戦する今大会で、小笠原はムエタイルールのベルトに向けた戦いに臨む (C)TAKUMI NAKAMURA

27日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催される「ONE Friday Fights 81」にて小笠原瑛作がリッティデット・ソー・ソンマイと対戦する。
text by Takumi Nakamura

昨年8月のONE初参戦から約1年、小笠原はONE Friday Fights(ONE FF)で3試合を戦い、2勝(1KO)1敗と勝ち越している。また日本で主戦場になっているKNOCKOUTでもMMAグローブでのムエタイルールで2戦1勝1敗の成績を残しており、MMAグローブで戦うムエタイルール=ONEムエタイで勝つことにこだわってキャリアを積んでいる。

今回は武尊、秋元皓貴、陽勇の日本人3選手がキックルールで参戦する中、小笠原はムエタイルールで結果を残し、ONE王座への道を切り拓こうとしている。


――試合まで6日となりましたが、タイに入るのはいつですか。(取材日は9月22日)

「24日、火曜日の夜に入る予定です。ONE FF(ONE Friday Fights)は自分の試合で3回、仲間のセコンドで1回、合計4回行っているので、どういう流れで試合を迎えるかは分かっているし、試合までの調整にも慣れてきました」

――小笠原選手は昨年8月からONEに参戦していますが、大会の盛り上がりは感じていますか。

「そうですね。試合では負けてしまったんですけど、昨年末の大会(12.22ONE FF46)はテントポールと呼ばれるビッグマッチで、かなり盛り上がっているなと思いました」

――今回も昨年12月と同じテントポール大会ですが、こういった大会で試合できることはうれしいですか。

「他の時期・大会のオファーもあったんですけど、自分としては注目度の高い大会で目立って、最短距離でベルトに近づくことがベストだと思っていたので、この大会で試合が決まってうれしいですね」

――小笠原選手は昨年11月・12月と連敗していて、そこから今年4月・6月と連勝しています。連敗脱出となった4月ONE FF60でのソーンスックノーイ・FAグループ戦はプレッシャーもありましたか。

「正直、去年後半に連敗した時は、もう格闘技をやめようかなぐらい落ち込んでいました。そこから今年一発目の試合、4月のソーンスックノーイ戦は本当にプレッシャーもありました。でもそこをまた乗り越えられることが出来て、自分の中ではすごく大きな経験になったし、今は自分のために格闘技をやれているというか、今までキックボクシングやムエタイをやってきて、今が1番『この競技が楽しい!』と思ってできている時期かもしれないです」

――経験を積むという意味では3分3Rフルラウンド戦って勝ち切ったこともよかったのではないですか。

「やっぱりトップファイター同士の試合になると、倒しきるということが難しくなるんですけど、そのなかでもしっかり勝つことは大事で、倒すだけじゃなくて勝つために頭を切り替えることも必要です。そういう部分は今までの自分になかった部分で、成長できたかなと思います」

――6月のKNOCKOUT代々木大会ではONEの常連ファイターでもあるデーングリアングライ・シンマーウィンとの対戦し、小笠原選手が判定勝利を収めました。

「あの試合は4月からの継続という意味ではないですけど、 4月・6月と繋がって出来たところはすごい良かったですね。過去に自分が勝ったり負けたりしているムエタイ選手たちがONEでいい試合をしてボーナスをもらったり、チャンピオンレベルの選手と絡んでいる姿を見ると、自分の実力がどういうレベルなのかも分かりますし、6月に対戦したデーングリアングライはONEで名前がある選手でしたけど、そこと比べて自分のレベルが劣っているとは思わなかったし、そこで勝ち切れたことも自信になりました」

――また小笠原選手はONE参戦以降、MMAグローブでしか試合をしていないんですよね。

「そうなんですよね。最初は何がなんだか分からない感じで、MMAグローブで試合をやっていた部分もあったんですけど、試合と練習を繰り返すうちに、小さいグローブの特徴、戦い方の変化、気を付けなければいけないポイント……自分の中でしっくり来るようになりましたね」

――普段の練習でもMMAグローブがメインなのですか。

「その時々で使い分けていますね。MMAグローブは拳の負担が大きいので、例えば試合で拳を痛めてしまったら、拳を守るために通常のボクシンググローブでミット打ちをやって、対人練習で軽くMMAグローブを使って試合をイメージして…ですね」

――今回対戦するリッティデットにはどんな印象を持っていますか。

「身長は僕よりちょっと大きくて、パンチも伸びてくるし、蹴りも伸びてくる。上手い選手だけど気持ちが強いファイターなんで、打ち合って倒すこともあれば倒されることもあるみたいな。そういう強引さもあるファイターだなと思います。決して楽な相手ではないし、思っている以上に強い選手だと思っています」

――試合映像を見ても勝っても負けても面白い試合をする、いわゆるONEらしい選手だなと思いました。

「そうですよね。盛り上がるファイトをするなという感じがあります」

――ONE FFにはリッティデットクラスの選手がゴロゴロいるわけで、ここを勝ち抜いていかなければいけません。どんな試合で勝ちたいと思っていますか。

「相手の長い距離の攻撃をしっかりディフェンスして、自分がもらわないことを第一に考えて、その中で攻撃を合わせて、どこかのタイミングでいい攻撃を当てて倒せればいいなと思っています」

――例えば一か八かの打ち合いではなく、ちゃんと攻防して勝ちたいですか。

「言い方は難しいですけど、パンチをブンブン振り回して当たったらラッキーみたいな試合をしていたら、自分が目指すところにはいけないと思います。僕はもっと高いレベルの試合をして、ONEのベルトを巻くことが目標なので、そこに繋げる道筋を作るのであれば一発狙いみたいな戦い方は考えてないです」

――6月のデーングリアングライ戦の際にはKNOCKOUTの山口元気代表が「(小笠原)本人がONE王者になりたいと希望している。KNOCKOUTとしてもONEに快く送り出したい」と小笠原選手のONE王座への挑戦をバックアップする姿勢を見せていました。そこは小笠原選手にとっても大きかったのではないですか。

「そこは本当に大きいですね。僕はずっとKNOCKOUTを主戦場にしていて、KNOCKOUTを大きくしたいという気持ちを持って戦ってきました。その一方で心の片隅のどこかには、世界最強の選手たちがゴロゴロいる場所でベルトを獲りたい気持ちもあったと思います。そういう気持ちもあったなかで山口さんから『ONEのベルトを獲りに行ってこい』と背中を押していただいて、そこで自分の目標や目指すものがはっきりして、自分がやりたいことをやらせてもらっている感じがあります」

――小笠原選手も50戦以上やってきて、どこに目標を置くかを悩んでいた部分もあったかと思います。

「KNOCKOUTを大きくするという目標を作って、実際にKNOCKOUTは大きくなっているし、盛り上がってはいるんだけど、じゃあどこがゴールなのかと言われると、明確に見えない部分があるわけじゃないですか。もしかしたら武尊選手もそうだったのかなと思うことがあって、武尊選手もK-1を大きくしようと思って試合をしていて、その目標は徐々に叶っていったと思うんですけど、一格闘家としてのゴールというか、目的地が定まっていないと、どうしてもモヤモヤしてしまう部分はあると思うんです。そこで武尊選手はONEのベルトという目標があって、僕自身も今そこを目指して戦っている。やっぱりそこがはっきりしたことは本当に大きいです」

――昨年8月にONEに初参戦&MMAグローブの試合に初挑戦した時はここまで広がるとは思っていなかったですよね。

「本当にそうですね。去年連敗した時に辞めなくて良かったなと思います」

――ONEに参戦する選手も増えていますが、小笠原選手はムエタイルールにこだわってタイ人相手と戦い続けています。そういったプライドも持って戦いたいですか。

「ONE FFは毎週大会があって、日本人選手が出るチャンスも増えていますけど、ONEのスタッフはすごく格闘技のことを知っていて、僕のことも評価してくれているんだなと思います。僕はずっとタイ人と試合が組まれていて、タイ以外の外国人選手を当てられるのとは意味合いが違うと思っているし、求められているものも違うと思っています。これからもしっかりベルトに向かって、確実に勝ち続けていくことが大事かなと思います。自分がONEでベルトを目指せる選手だというところを見せていきたいです」

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