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【DEEP Tokyo Impact2024#03】川原波輝と王座統一戦、越智晴雄「4度目はない。これが決着戦です」

【写真】ストロー級への想いは同じ--(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2024#03で、DEEPストロー級暫定王者の越智晴雄が、同級正規王者・川原波輝との王座統一戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike

これまで2度ベルトを賭けて対戦している両者だが、2戦目で敗れてベルトを失っている越智にとってはリベンジマッチでもある。昨年12月に暫定のベルトを巻いた越智に、川原との決着戦と、ストロー級への想いを訊いた。


――川原選手との3度目の対決が、ストロー級王座統一戦として行われます。越智選手にとっては「遂に来た」という想いですか。

「そうですね。いつか3度目の試合はやりたいとは思っていました。2戦目で自分が負けているので、ずっとモヤモヤした気持ちはあって。別にそこから引きずっていたわけじゃないけど、今回の試合が決まって過去2戦の映像を視たんですよ。そうしたら2戦めで負けた時の記憶が蘇ってきて(笑)。『やられた分やり返そう』という気持ちは強くなりました」

――状況によっては川原選手がベルトを返上し、越智選手が正規王者に昇格する可能性もあったかもしれません。

「統一戦をやるのかどうか僕は待っている状態で。ベルトを返上するのか、あるいは統一戦をやるのかハッキリしてほしいとは思っていました。もともと僕も去年12月に暫定王者になって、統一戦をやるなら3月かなと考えていて。でも川原選手が米国で試合をするから3月はない。そのあと5月に統一戦ができそうだという話もあったので、この5月に照準を合わせて準備してきました」

――なるほど。その暫定王座決定戦のお話ですが、衝撃的なKO勝ちを収めています。三角を狙ってきた相手の足から腰を押さえてマットに叩きつけるという、スラムというより完全にパワーボムの形でした。

「そんなにガッツリと持ち上がったわけでもなく、どちらかといえばスッポ抜けるような感じもあったんですけどね。自分の手応えとしても、相手も意識が飛ぶほどだと思っていませんでした」

――あの形でKOしようとは考えていなかったのですか。

「そこまでは考えていなかったです。相手が三角で組んできたらリフトしようとは考えていて、リフトするところまでは打ち込み練習をやっていました」

――それはあくまで三角を外すためですよね。

「三角を外してからパウンドを打っていくというプランでした。以前からあのパターンはやっているんですよ。カン・サトー選手との再戦(2017年6月、越智がギロチンを極めてDEEPストロー級王座を獲得)は、もっと強く叩きつけていたけど相手は意識が飛ばずに試合を続行していましたね」

――スクランブルに持ち込むとギロチンに持ち込み、それを避けるためにボトムから仕掛けてきてもパワーボムがある。このパターンは大きな強みだと思います。

「このキャリアになって、まだ新しいフィニッシュのパターンが増えていくのは――やっぱりMMAは面白いし、難しい。いまだにMMAがよく分からないです(苦笑)」

――越智選手の中では今でもMMAを始めた頃と同じように、何かを追い求め続けているのですか。

「自分の中でいくつかパターンは固まってきたとは思うんですよ。『こうなったらこう、この場合はこうする』と。だから試合の中で自分がやることはハッキリしてきました。あとは自分がやることに対する反応も相手によって違うので、その反応に対するパターンを増やしていくというか」

――前回のインタビューでは、地元の愛媛にジムを開設して以降も月1回、東京で石渡伸太郎さんの指導を受けているとのことでした。

「今年も2月、3月、4月と行っています。次は5月、試合前に行きますね。試合が決まっていると一緒に作戦を立てて、対策練習をしたあと愛媛に戻って反復します」

――ジムの若い選手を相手に、何度もパワーボムを反復すると。

「いやいや、そんなことはしませんから(笑)」

――川原選手の場合、ギロチンかパワーボムという必殺パターンには当てはまらない印象もあります。

「川原選手は打撃が強いし、前回の試合もケージ際の攻防で、しっかりギロチン対策をしていましたね。今回の試合もそこが肝になると思うので、自分の中でも違う形を考えながら練習しています」

――前回の試合ではケージレスリングからバックに回ることで、川原選手はギロチンの体勢に持ち込ませませんでした。

「あの試合からずっと『どこを修正すれば勝てるのか』と考えていました。ただ、先ほど言ったとおりギロチンに対する反応って、人によって違うんですよ。特に川原選手のような逃げ方をする選手は他にいなくて。だから今回の試合が決まってから、改めて川原選手の対策を考えてきました。あの川原選手の対応に対して、自分がやるべきことはもう決めています」

――前戦から約4年が経ち、川原選手も変化していると思いますか。

「全部できるようになっていますよね。どちらかというと組技、寝技が強くなっているのかなって思いますね。それが米国で練習していた成果かもしれないですね。根本的な強い部分は同じだと思いますが、全然違うタイプの選手になっていることも想定はしています」

――越智選手がベルトを防衛した2019年3月の初戦と、ベルトを奪われた1年半後の再戦では、川原選手に対して何か違いは感じましたか。

「2戦目のほうが力強さを感じました。僕はストロー級で相手に力強さを感じた経験がなくて。今までそう感じたのはジャレッド・ブルックスぐらいで――国内の選手を相手に力強さを感じたのは、川原選手との再戦が初めてでしたね」

――修斗でプロデビューした頃から越智選手は体が強く、いわゆる「ゴム毬のような動き」も見せていました。確かにストロー級の中では身体能力が飛び抜けていた印象があります。

「その点でキツかったのは、ランボー(宏輔)さんとの初戦ぐらいですね。あの時は結構やられていて、ギリギリで逆転勝ちしました」

――あのガゼルパンチで逆転KO勝ちした試合ですね。そう聞くと越智選手がストロー級に戻ってきた理由も分かります。絶対的なアドバンテージがあるわけですから。

「それは間違いないですね」

――川原選手は「UFCにストロー級をつくりたい」と発言しています。同じストロー級で戦うファイターとして、この発言について思うところはありますか。

「僕はUFCでなくRIZINでストロー級を――と思っています。その部分で川原選手と気持ちは同じかもしれないです。自分の場合は、もう海外で戦うことは考えていなくて。だけど日本で一番大きなMMAの団体にストロー級が出来たら、若い子にとっても目標になると思うんですよね。

たとえばボクシングには40キロ台、50キロ台の階級があるじゃないですか。もしかしたら男子にもアトム級があれば、その階級が適正の子たちも入ってくるかもしれなくて」

――そのストロー級でベルトを巻いた越智選手にとって、ストロー級の扱いが低いと感じることはあるのですか。

「扱いが低いというか、そもそもUFCや北米、RIZINにも男子のストロー級が無いですからね。自分もフライ級に上げるしかないと思っていました。だけど、やっぱり選手には適正階級があって」

――ストロー級については選手層の問題もあるとは思います。フライ級の試合を視ていて「この選手はストロー級が適正だよなぁ」と思うことはありますか。

「新井丈選手は、まさにそうじゃないですか。適正はストロー級だけどフライ級に上げていて。僕自身は経験上、無理やり階級を上げても結果はついてこなかった。だから適正階級のストロー級に戻ってきました」

――扱いでいえば「ストロー級タイトルマッチを後楽園ホールのメインでやってくれよ」とは思いませんか。川原選手との再戦、そして前回の暫定王座決定戦もニューピアホールで行われました。

「アハハハ、それは無いです。前回ニューピアホールでベルトを獲られているので、同じ会場で僕がベルトを獲り返す。それが自分のやるべきことだと思っています」

――越智選手の中では対戦相手が川原選手だからこそ、ストロー級を盛り上げるための試合をしたいという気持ちはありますか。

「試合って結局は自分がやってきたことしか出ないんですよ。普段からずっとストロー級に対する想いを持っている二人だから、すごい試合になるはずです。過去2試合とも違う内容になるでしょうし。でも4度目はありません。この試合が僕と川原選手の決着戦です」

■DEEP Tokyo Impact2024#03視聴方法(予定)
5月26日(日)
午後0時~U-NEXT
午後0時20分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

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