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【UFC298】中村倫也と対戦、カルロス・ヴェラ「テコンドーは何よりも速く。ライアンの柔術は誰とも違う」

【写真】両者とも135.5ポンドで計量を終えている(C)MMAPLANET

明日17日(土・現地時間)にカリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで開催されるUFC298「Volkanovki vs Topuria」で中村倫也と戦うカルロス・ヴェラ。
Text by Manabu Takashima

3週間前の代役オファーを受けたヴェラは、MMA界で最高のテコンドー使いのタン・リーの盟友で、MMA界随一の50/50ガードの使い手であるライアン・ホールの指導を過去7年に渡り受けてきた。ヴェラ曰く「多くの選手がリンヤとの対戦を避けてきた」なかで、彼がスクランブルで出場を決めたのは、長年のテコンドー歴と濃密なグラップリングの指導を受けたことにより、他の類を見ないMMAを成形してきたからだ。

立っても寝ても異端のヴェラが口にした中村倫也戦の自信とは。


──カルロス、ファイトウィークにインタビューを受けてもらってありがとうございます。

「実はジムに行って汗を流そうと思ってUberで移動中だけど、取材してくれて感謝しているよ」

──そんな時に……こちらこそ、感謝しています。今週末、UFCデビュー戦で中村倫也選手と戦いますが、今の気持ちを教えていただけますか。

「凄く調子は良いよ。もともとリンヤ・ナカムラと対戦予定だった選手が欠場になり、僕がこの試合を受けたのは3週間前だった。聞くところによると、リンヤが凄くデンジャラスな相手になるから多くの選手が対戦を嫌がったというんだ。そんな相手だからこそ、戦い甲斐があるってものだよ。普段からしっかりと練習をしているし、試合が決まってからも十分に準備をすることができた。あの時点で、十分に戦うことができるという確信があったからリンヤとの試合に合意したんだ」

──カルロスのバイオを見ると、エクアドル人となっていますが、英語にスパニッシュ訛りも余り感じられずアメリカン・アクセントですね。

「生まれたのはエクアドルだけど、子供の時にルイジアナ州ニューオリンズに移り住み、6年前からフルタイムのMMAファイターとしてワシントンDCで暮らしている。もう米国にやってきた30年になるよ」

──ニューオリンズでテコンドーの経験があり、しかもMMAファイターで現在は50/フィフティージムに所存しているということは、もうONE暫定世界フェザー級王者のタン・リーと関係していないわけがないですね?

「その通りだよ(笑)。4歳の時からタン・リーのお父さんであるタイ・リーが開いたムーンカレッジでテコンドーを習って来た。30年に渡りテコンドーを続け、多くの蹴りとコンビネーションが僕のファイトの根幹をなしている。

タイ・リーにテコンドーを習い、タン・リーとは長年の練習仲間であると同時に彼もまた僕の指導者の1人だ。もう兄弟のようなもので、MMAも同じ時に始めたんだ」

──50/フィフティーへの移籍はタン・リーがTUFで親密になったライアン・ホールのところで練習をするようになったからですか。

「TUFの収録が終わってタン・リーがルイジアナに戻って来た時、その前と比べると10倍は彼の柔術が良くなっていた。驚いて『何があったんだ?』って尋ねた。そうしたらタン・リーがワシントンDCでライアン・ホールと練習すべきだと。すぐにワシントンDCに向かったよ。ライアンはまるで魔法使いのようだった。素晴しい柔術家で、素晴らしい指導者、そして最高のMMAファイターだった。ライアンが僕のマーシャルアーツキャリアを変えてくれた。

僕とリンヤの試合から2週間後にタン・リーも王座統一戦でタン・カイと再戦する。僕自身、リンヤ・ナカムラという相手に自分を試す機会が巡ってきた。運命的なモノを感じるよ」

──タン・リーはライアン・ホールとの出会いのあとも、テコンドーを全面に出したファイトですが、カルロスはMMAでもそれこそ50/50から足関節やリバーサルを狙い、またギロチンでフィニッシュするなどグラップラーのような戦い振りを見せています。

「僕は今でもテコンドー・ファイターだよ。多くの選手が僕らのようなトリッキーな動きを嫌がる。なぜなら、僕らが戦う角度は凄く相手にフラストレーションを与えるからね。そして彼らの解決策は、組んでテイクダウンを狙うことになる。以前の僕なら、リンヤ・ナカムラと立ち技で戦うとしただろう。なんせ、彼はU23の世界チャンピオン・レスラーだからね。

とてもパワフルなレスラーで、しかもKOできる打撃力もある。僕が望む相手だ。パワフルな打撃とレスリングの持ち主が相手なら、移動とボクシングとキック、そして柔術と僕の力がフルに発揮できる。勿論、リンヤを軽視することはない。でもリンヤがテイクダウンを仕掛けてきても平気だ。グラウンドも今や僕の庭になった。立っても、寝ても、どちらでもリンヤと戦うことができる」

──中村選手はケージのなかで50/50を経験したことはないと思います。どれだけ自信を持って寝技を戦うことができるでしょうか。

「自信の根源は、トレーニングだ。打撃、柔術、レスリングを毎日練習してきた。もちろん、僕のレスリングはリンヤとは比べものにならないほど稚拙だ。彼はワールドクラスだからね。彼とレスリングでやり合おうとは思っていない。でもさっきも話したように、僕は4歳の時からテコンドーをやってきた。キックして動く、加えて7年間懸命に修得してきた柔術がある。

彼がどれだけグラウンドができるのか、分からない。彼のテイクダウンとコントロールは素晴らしいと皆が言っているけど。うん、そうだね……。重ねて言うと、僕はしっかりと練習を続けてきた。グラップリングもそうだし、打撃でも自信を持っている。リンヤは危険なファイターで、技術力の高さも、パワーも認めている。だからこそ、僕の特性を生かしたトリッキーなファイトで彼と戦う」

──距離と間合いが鍵を握って来そうです。

「同意するよ。距離は凄く重要になる。つまりはリズムとタイミングの勝負でもある。テコンドーのタイミングとフェイクは他の比べるものがないほど速い。ムエタイはパワフルだけど、遅い。テコンドーはパワフルで、ずば抜けて速い。リンヤがこの速さにどれだけ対応できるのか、とても興味深い。そして彼がテイクダウンを狙った瞬間から、僕の庭に足を踏み入れることになる。色々な仕掛けを用意しているよ。

まず打撃、そしてテイクダウンがくればゲームプラン#02だ。柔術ゲームを仕掛ける。ライアン・ホールに習った僕の柔術は普通の柔術ではない。色々と違った仕掛けがある。彼のこれまでの試合のグラウンドと同じようになることはない。テコンドーは何よりも速く。ライアンの柔術は誰とも違う。リンヤは凄く戦いづらくなるだろう」

──カルロス、練習前に本当にありがとうございました。日本のファンにメッセージをお願いします。

「日本の皆、僕は心からリンヤのことを尊敬している。そして、ずっとK-1とPRIDEを見てきた。リンヤ・ナカムラには侍スピリッツが宿っている。僕にはエクアドルの先住民の魂がある。先住民には多くの戦士がいた。リンヤのなかのウォリアーと僕のなかにいるウォリアーが、ケージのなかで尊敬心と勇気を持って戦う。その結果、最高のアグレッシブな試合になるに間違いない」

■視聴方法(予定)
2月18日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後12時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)
[挑戦者] イリャ・トプリア(ドイツ)

<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウティカー(豪州)
パウロ・コスタ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジェフ・ニール(米国)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<バンタム級/5分3R>
マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
ヘンリー・セフード(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス(米国)
ロマン・コピロフ(ロシア)

<女子ストロー級/5分3R>
アマンダ・レモス(ブラジル)
マッケンジー・ダーン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
マルコ・ホジェリオ・デリマ(ブラジル)
ジャスティン・タファ(豪州)

<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
カルロス・ヴェラ(コロンビア)

<ウェルター級/5分3R>
チャン・ミンヤン(中国)
ブレジソン・ヒベイロ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジョシュ・クィンラン(米国)
ダニー・バーロウ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴァル・ウッドバーン(米国)
オーバン・エリオット(英国)

<女子フライ級/5分3R>
アンドレア・リー(カナダ)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

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