この星の格闘技を追いかける

【RIZIN45】クレベル・コイケ戦前の斎藤裕─01─RIZIN LIFEを振り返る「プレッシャーというより、責任感」

【写真】斎藤裕は、ジェネラルの認知度が上がっても斎藤裕だった (C)MMAPLANET

31日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN45で、斎藤裕がクレベル・コイケと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

斎藤のインタビューがMMAPLANETに掲載されるのは、3年9カ月振りとなる。2020年から修斗世界フェザー級王者としてRIZINに出場し、斎藤を取り巻く環境は大きく変わった。朝倉未来を下し、さらにRIZINのベルトを巻きメインイベンターとなったことで、ただのイチ選手ではなくなった――と本人は語る。そんな斎藤がRIZIN出場以降から現在まで、抱えてきた想いを語ってくれた。


――MMAPLANETにとって斎藤裕選手の単独インタビューは2020年3月29日に行われる予定であった、修斗世界フェザー級王座防衛戦(※コロナ禍のため試合は実現せず)以来となります。

「お久しぶりです! MMAPLANETさんには修斗の頃から取材していただいて。その後はRIZINがリングだったので――」

――まずは経緯説明から、ありがとうございます(笑)。斎藤選手は主戦場をRIZINに移し、格闘技キャリアも大きく変化したのではないでしょうか。

「結構変わりましたね。良くも悪くも目立つようになってしまい、生活はしづらくなっています。生活圏でも面が割れているようなものなので、下町だとお店に行ったら僕だとバレてしまうとか(苦笑)」

――街で「あぁ、斎藤裕がいるぅ~」と声をかけられたり(笑)。

「アハハハ。僕は耳が沸いているので、変装していてもバレるんですよ。もうプライベートはない感じですね」

――街中で声をかけられた時は、握手やサインを求められると対応するのですか。

「僕は対応しますよ(笑)。失礼な人に対しては『ちょっとどうかな……』と思うことはありますが、常識のある人には対応します」

――一番驚いたのは、RIZINに主戦場を移してからYouTubeをはじめSNSでの発信を頻繁に行うようになったことです。

「あぁ、そうですね。そういう形で発信していかないといけない立場になって――あんまりSNSでの発信というのは得意ではないけど、なんとか続けています」

――斎藤選手の場合はSNSで有名になって試合の機会を得ているのではなく、試合をして有名になることによりSNSで発信しなくてはいけない立場になったという印象があります。

「その違いはあるかもしれないですね」

――RIZINをはじめ、国内のMMAを盛り上げていかなければいけないという意識が以前よりも高まったのでしょうか。

「RIZINで摩嶋選手に勝ち、2戦目でベルトを賭けて朝倉未来選手と対戦することになりました。あの状況まで行ったことにより、自分は世間と戦わなくてはいけなくなって――その状況は受け入れるしかないと思いました。朝倉選手に勝ってチャンピオンとして試合をしていかないといけないし、世に向けて発信することは仕事としてもやっていかなければいけない、と考えるようにはなりましたね」

――一方で、練習環境や技術的な変化はありますか。

「練習に関しては、いろんなところに行って自分に必要なことをやるようにしています。より明確に、よりギュッと詰めて練習する。自分が必要なことだけをやるので無駄がない。それだけ合理的になってきたとは思います。次のクレベル選手もそうですが、本当にやり甲斐のある選手と対戦させてもらっていて、どんどん自分に足りないものを身につけていかなければいけない。試合ごとに技術の上積みはやっているつもりです」

――まだ修斗がケージで公式戦を開催する前でも、斎藤選手はリングで戦いながらもケージが見える稀有なファイターでした。距離の取り方、組み手、テイクダウンそしてグラウンドのコントロールは、まさにケージのそれだったと思います。RIZINに出場し、ケージからリングで戦うようになり、技術的に変化させてきたものはありますか。

「大きいところでいうとRIZINはユニファイドルールではなく、採点基準としては打撃が優先されますよね。RIZINのファンの方々は、組み技や寝技の攻防よりも打撃のような派手な攻防を好むことは、自分でも理解していて。リングで戦うことも含めて――自分が求めているものとは少し違うかもしれないけれども、RIZINやお客さんが求めているものに応えられるようにしているのは確かです。ただ、今年に入って久しぶりにケージで戦い、『ケージで戦うのも悪くないなぁ』と思いました(笑)」

――アハハハ。斎藤選手がケージで戦うのは2019年9月の高谷裕之戦以来、3年7カ月振りでした。

「機会があれば、どんどんケージでも戦いたいと思うぐらいでしたよ」

――久しぶりにケージで試合を行い、リングとの違いは感じましたか。

「LANDMARKの平本戦は、修斗時代と同じ試合をしようと考えていました。特に大きな違いはないかもしれないです。ユニファイドであろうと、そうでなかろうと、対応できる選手は何でも対応できると思っています。ベラトール勢もA・Jマッキーとかパトリシオは、RIZINルールに対応していたじゃないですか」

――確かに。斎藤選手の場合はRIZINルールで勝つ、あるいはファンに受け入れられるためのシフトチェンジは、早々に実現できていたのでしょうか。

「摩嶋戦の勝ち方のイメージが強いのか、自分の中でも初参戦で『サッカーボールキックや四点ヒザがあるルールでも対応できるんだなぁ』と思いました。摩嶋選手ほどの強い相手で、新しいルールでも自分の動きや技が出せるタイプなんだなと、改めて気づきましたね」

――摩嶋戦であの勝ち方をして、朝倉未来とケラモフを連覇し、いきなりピークが来ました。その時に取り巻く環境は変わったのですか。

「そうですね。僕としては住む場所は変わっていないし、もともと生活にお金が掛からないタイプなので、自分の中では特に変わっているとは意識していなかったです。でも周りの目は違っていて、特に朝倉選手に勝った時は周りの世界がひっくり返ったような感じでした。僕としても少し戸惑いはありましたよね。『そこまで騒がなくても……』という(苦笑)」

――RIZINでは3連勝から3連敗を喫しています。特に2021年10月の牛久絢太郎戦から、朝倉未来選手との再戦、牛久選手との再戦まで半年間で3試合というのは、スパンが短いように思っていました。

「牛久選手との初戦の時は、本来なら朝倉選手に勝ったクレベル選手と対戦するのが当然の流れではありました。しかしクレベル戦は実現されず――でも10月、11月、そして大晦日と興行は決まっていく。特に10月は自分の防衛戦のメインの興行で。立場上、自分がやらなければいけない。自分はもう『ただのイチ選手ではない』という自覚はありました。あの頃から少し流れが変わってきたかな、とは思います」

――ご自身の中でプレッシャーや重圧のようなものはありましたか。チャンピオンとして興行に穴は空けられないという。

「それはプレッシャーというより、『責任感』という言葉が正しいかもしれないですね。あれだけの規模の興行でメインイベントを務める立場上、責任感を持って臨むしかない」

――正直なところ、牛久選手にKO負けを喫した2カ月後に朝倉未来選手との再戦というのは、本来なら組まれるはずのないマッチアップだと思います。

「あぁ、う~ん……」

――それでも朝倉選手との再戦に臨んだのは、先ほど仰った「責任感」によるものだったのですか。

「あの時のことで言うと、僕は牛久選手にカットして負けたんですね。なかなか練習にも戻れないし、じゃあ次戦は……と不透明な状態になりました。さらに、あの時はコロナ禍のために12月から海外から選手が入れなくなってしまった。すると日本国内の選手だけで試合を組むしかない。あの時はまだフジテレビが生中継していましたし」

――……。

「そんなことは、選手である僕が考えなくてもいいとは思います。でもRIZINを存続させていくためには興行を成立させないといけない。そんななかで僕もRIZINサイドと話し合いを持ち、いろいろ話をしていくなかで『これも自分の役割なのかな』と思ったんです。これまで多くの先輩方が、それでも試合をしてきてバトンを繋いできてくれたわけじゃないですか。そう思うと、今は自分がその役割を担うべきなんだなと思いました」

<この項、続く>


■視聴方法(予定)
12月31日(日)
午後1時00分~ABEMA
午後1時30分~U-NEXT、RIZIN100CLUB
午後2時00分~スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN45対戦カード

<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
堀口恭司(日本)
神龍誠(日本)

<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]フアン・アーチュレッタ(米国)
[挑戦者]朝倉海(日本)

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
斎藤裕(日本)

<フェザー級/5分3R>
平本蓮(日本)
YA-MAN(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
伊澤星花(日本)
山本美憂(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
上田幹雄(日本)

<バンタム級/5分3R>
元谷友貴(日本)
ヴィンス・モラレス(米国)

<フライ級/5分3R>
扇久保博正(日本)
ジョン・ドッドソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
太田忍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<65キロ契約/5分2R>
皇治(日本)
三浦孝太(日本)

<ウェルター級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
安西信昌(日本)

<フライ級/5分3R>
新井丈(日本)
ヒロヤ(日本)

<特別ルール・ライト級/5分2R>
安保瑠輝也(日本)
久保優太(日本)

<フェザー級/5分3R>
弥益ドミネーター聡志(日本)
新居すぐる(日本)

<キックボクシング・フライ級/3分3R>
篠塚辰樹(日本)
冨澤大智(日本)

<54キロ契約/5分3R>
那須川龍心(日本)
シン・ジョンミン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
YUSHI(日本)
平本丈(日本)

PR
PR

関連記事

Movie