【UFC290】毎回毎分、攻勢と劣勢の繰り返し。大激闘を制したパントージャがモレノを下しフライ級王者に
<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
Def.2-1:49-46.48-47.47-48
ブランドン・モレノ(メキシコ)
いきなりワンツーから組んでいったパントージャ。逆にテイクダウンを取りに行ったモレノが、ケージに押し込む。左腕を差し返せないパントージャだが、ウィザーでバックは許さない。パントージャが入れ替えたヒザを狙ったところで、離れたモレノがパンチを打ち込む。ここで再び組んだモレノだが、パントージャが足払いでテイクダウンを狙う。
バランスを崩しながら持ち直したモレノはワンツー、パントージャのローをかわす。と、ジャブを放ったモレノに左フックを当てたパントージャがダウンを奪う。クルスフィックスは必死に耐えたモレノだが、パントージャがハーフでエルボーを落とし流血に追い込む。スクランブルからスタンドに戻ったチャンピオンは左を被弾し、ヒザ、ローと厳しい時間が続く。モレノは頭を振ってパンチをかわすと、ハイのタイミングでテイクダウンを狙う。前転が必殺のバックに回ったパントージャだが、ここは自ら離れ時間となった。
2R、ジャブにジャブを返すパントージャは左フックから右ハイへ。モレノは左ボディを入れ、右ストレートを打ち込む。力強いジャブで試合をリードしたモレノが、テイクダウン狙いを切る。ジャブからワンツーの王者に対し、チャレンジャーは右クロスから左ジャブ。打たれても前に出るモレノは、組んでバックに回るとグラウンドに持ち込む。パントージャの十八番を奪うように両足をフックしたモレノは、息を整えているか。尻をずらして、バックグラブから逃れたパントージャは逆ハーフからスクランブルへ。
離れたモレノが左を当て、右からジャブと攻勢を続ける。飛び込んで左フックのモレノ。パントージャが右フックからローを蹴っていく。前蹴りを蹴られても、モレノはワンツーを繰り出す。疲れたパントージャは体力温存で最低限の動きに。それでも左を当て、ハイキックへ。これをキャッチしたモレノがテイクダウンを決めて時間に──イーブンに戻した。
3R、開始早々の接近戦で首相撲を取ったパントージャの右ヒザが、モレノの急所を直撃する。中断からリスタート後、王者のエルボーにもパントージャは組んでバックにまわる。振り返る動きを察知して、グラウンドの持ち込んだパンとジャーがボディトライアングルへ。絞めを狙うパントージャは、ここを伸ばすとスタミナ的に厳しくなるか。モレノは画面の時間に張り、腕を喉下に通させない。徐々に真後ろからずれてきたパントージャは、ついに腰を押されてスクランブルを許し、マウントからバック狙いも落とされる。
試合はスタンドに戻り、モレノが逆襲かと思われたがパントージャが左を当てる。それでもハイからパンチに繋げる王者の方が、スピードがある。その動きをボディで止めたパントージャはハイをガードして左を打ち、ダブルからシングルレッグへ。切ったモレノは、ワンツーに両手でガードした際にダブルレッグでテイクダウンを許す。
オモプラッタに逃れたパントージャだが、蹴り上げからリバーサルを許して下になる。それでも下からエルボーを入れるパントージャは、鉄壁のニーシールドでパウンドを許さずスタンド戻った。残り30秒、勢いはモレノにあるが攻撃数は変わらずパントージャがラウンドを取ったか。
4R、縦ヒジでカットしているパントージャはモレノのジャブに左を当てる。ボディからフックの王者のジャブを受けても、ジャブを返す。パントージャがローから前に出てパンチをまとめると、足を止めても打ち合いに。壮絶な乱打戦のなかで再びエルボーを決めたモレノだったが、直後にダブルレッグでパントージャがテイクダウンを奪うと、狙い通りスクランブルをさせてバックに回る。胸を合わせに行くモレノをグランドに持ち込んだパントージャが、足関狙いを潰してトップを取る。モレノはシングルを狙うが、股間を制してクラッチしたパントージャが許さずバックに回る。
一度はスタンドでジャンプし、両足をフックしたパントージャだが自ら着地してバックコントロールへ。残り90秒、両者が次の展開を模索しつつスタミナの回復に努める。と、自ら尻もちをつき寝技に持ち込んだパントージャの肩固めも、モレノがリバーサルに成功する。ここでスタンドに戻ると、疲弊しまくったパントージャにチャンピオンがエルボーを打ちこんだ。それでもこの回はパントージャのラウンドとなった。
最終回、慎重な両者。モレノはビッグショットへの足掛かり、パントージャはテイクダウンの機会を伺う。パントージャは左ボディ、ここからアッパーを織り交ぜコンビネーションを繰り出す。モレノもパワフルなパンチを繰り出し、正確なジャブを続ける。リードフック、リードジャブと打ち分ける王者は左ボディから左フックへ。テイクダウンを切られて疲弊するのを避けてか、パントージャは立ち技を続ける。
と残り2分強でエルボーを打たれたパントージャが、ダブルレッグで一気にテイクダウンを決める。背中をつかせ、スクランブルでバックに回ったパントージャはスタンドでボディトライアングルに。頭をコーナーにつけて動かないモレノを殴るチャレンジャーは、挟まれた手を抜いて再び殴っていく。
モレノは前にも、後ろに倒れることができず厳しい状態に。こうなると逆転の目を消したパントージャはやや安堵の表情を浮かべて背中に乗り続ける。このまま時間を迎え、モレノは勝利をアピールしたが──パントージャが3つのラウンドを取ったか。
結果は──まさかのスプリットに割れたが、2-1で勝利したパントージャはキャンバスに突っ伏した。ブーイングの中でパントージャは「皆、僕のストーリーを知っていたらきっと僕を愛してくれるだろう」と言うと、家族に感謝の言葉を送る。「モレノがこんなにタフだと予想していなかった。でも、過去2年全てを賭けてきた。家族をブラジルから呼び寄せ、ATTで練習してきた。モレノ、モレノの家族をそんけいしている」と話すと、子供達と奥方と抱き合った。