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【Shooto2023#03】オリベイラ・ネイト戦へ、田中半蔵―01―「もう東京で試合をすることはないのかな」

【写真】4月にはロータス世田谷で練習している姿も確認されている田中半蔵 (C)MMAPLANET

21日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるShooto2023#03で、田中半蔵がブラジルのロイベ・デ・オリベイラ・ネイトを迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike

昨年5月、約6年ぶりのTORAOで結城大樹を下した田中。その1年後に迎える修斗のケージで、今年1月に加藤ケンジをKOしているネイトと対戦することとなった。完全なストライカータイプのネイトとの試合を控えた田中に、まずは結城戦で見せたニュースタイルについて聞いた。


――昨年5月の結城大樹戦以来、1年ぶりの試合を迎えます。この1年間は、どのように過ごされてきたのですか。

「ずっと練習は続けていて、修斗からのオファーを待っていた状態でした。来週(5月28日)に福岡でTORAOが開催されるので、そこに出るのかなぁと思っていたり。このオファーがなければ、もう東京で試合をすることはないのかなと思っていました」

――えっ、そうなのですか。

「東京で修斗の試合に出たのが、もう10年前ですからね(2013年3月、門脇英基にKO勝ち)。そのあとにONE、TORAO北九州大会を経てパンクラスに出るようになって」

――すると、ここで東京大会のオファーが来ることは驚きでしたか。

「いえ、前回の試合で勝ってランキングに入ったので、また東京の大会に出ることはあるかなとは思っていました。今回はニューピアホール大会ですが、やはり試合中継を見たりしていると、また後楽園ホールで試合をしたいと感じることはありますよ」

――田中選手は現在、修斗世界フェザー級5位にランクされており、今後は後楽園ホール大会の出場、ひいては王座挑戦も可能な位置にいます。特に、3月にSASUKE選手がベルトを防衛してRoad to UFCに出場することとなりました。SASUKE選手の動向次第で流れも大きく変わってくるでしょう。

「今モチベーションとして一番大きいのは、やっぱりベルトですね。これからランキングも上げていって、ベルトに絡んでいきたいです。今回の国際戦も、タイトルマッチに向けたマッチメイクだと思っているので、ここはしっかりと勝ちたいです」

――なるほど。そのネイト戦に向けて、1年前にはなりますが前回の試合についてお聞きします。試合前のインタビューで田中選手は、ニュースタイルを出すと仰っていました。そのニュースタイルは試合で見せることができたのでしょうか。

「自分の中では、うまく出せたと思っています。組みの選手を相手に自分からテイクダウンに行くこともできたし、グラウンドで上になってからも相手を立たせない。自分もスタンドに戻るのではなく、寝技でも勝負できた。自分がやりたいことをやれましたね」

――ご自身が目指すニュースタイルの中で、何割ぐらい出せたと思いますか。

「8割、9割ぐらいはできたと思います」

――なるほど。打撃から組んでケージレスリングへ、ケージ際でバックをうかがう動きなどは完全にニュースタイルだったように思います。

「ケージレスリング自体はパンクラスで戦っている頃――カイル・アグォン戦(※2018年10月に判定負け)あたりから、やってはいました。でもテイクダウンするところまでは持って行くことができていなくて。この5年ぐらいで自分でも大きく変わってきましたね」

――すると試合を終えた後の満足感も、過去の試合とは違うものでしたか。

「はい。前は自分から組みに行くことがなかったですからね(苦笑)。寝技でポジションを取られながら、最後はダウンを奪って勝った――みたいな試合だったりとか。アハハハ」

――もう笑ってしまえる過去ということですね(笑)。

「次は寝技で一本を取れるまでに仕上げていきたいですよね。それとテイクダウンを織り交ぜることによって、相手が組みを警戒してくれれば、また自分の打撃も当たるでしょうし」

――結城戦は試合前に、カルペディエム福岡で田村ヒビキ選手と練習していたとのことでした。その練習は大きかったのでしょうか。

「そうですね。今回も試合に向けてカルペディエムに行かせてもらっていますし、博多のレンジャージムでもプロ選手たちとスパーリングしています。レンジャージムには一部というのではなく、フルケージがあるので良い練習ができます」

――そう考えると、今は日本全国でMMAの練習ができる環境も整ってきていますね。

「本当、そう思います。僕がシューティング横浜にいた頃は――ONEに出る時ですよ。初めてケージで戦うことになって、タクミさんのパラエストラ大阪まで行きましたから」

――ケージで練習するために横浜から大阪まで!

「当時は修斗もリングでしたし、東京にもフルのケージを置いているジムがなくて。ケージで戦うってどんな感覚だろうと思って、パラエストラ大阪さんまで出稽古に行かせてもらいました。それ以降はケージが標準になったパンクラスで試合をしていて、ケージでやることが当たり前になっていますけど。当時はそういう状況でした」

――以前は関東から地元に戻るとなると、練習環境の面で一抹の不安はあったかと思います。田中選手が横浜から地元の福岡県へ戻る際、練習環境はいかがでしたか。

「練習環境というより、まずプロ選手がたくさんいました。いろんなジムへ行けば練習はできると思っていましたね。逆に、いろんなジムに出稽古しすぎている感はありますけど(笑)」

――アハハハ。それはキャリアと、やり方次第ではないですか。まだ基本的な部分を強化しないといけない若手ファイターが、強い選手が揃っているジムのプロ練を回っているばかりでは良くないかもしれません。

「フリーランスだと、そこは不安ですよね。いろんなジムへ行ったとしても、どこか一つのところに定まっていないと、意外と基礎練ができていなかったり。逆に基礎練のみで、出稽古なしで強くなる選手もいますし。僕の場合、普段からパラエストラ北九州で練習させてもらうことでクリアしています」

<この項、続く

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