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【DEEP JEWELS40】2022年中に話が訊きたかったファイター。2人目、万智―01―「電車代は6万円です」

【写真】昨年末12月26日の夜、練習後にお母さんが運転する車の助手席でリモート取材を受けてくれた万智。2月18日のDEEP JEWELS40でHIMEとの試合が決まっている(C)MMAPLANET

2023年が始まり、MMAワールドでは6日(金・現地時間)に米国でLFAが開催され、アジアではONEのタイ大会=14日(土・同)のFIGHT NIGHT06からスタートを切る。日本の戦い初めは15日(日)、後楽園ホールの修斗公式戦だ。

そんな2023年のMMAに向け、『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビューを行った。

2022年中に話が訊きたかったファイター。2人目は──昨年11月のARAMI戦でプロMMAファイター人生の一本を踏み出したばかりでありながら、早くも存在感を示す万智に話を訊いた。


――万智選手に興味を抱くようになったのは、デビュー戦前のとある週に水曜日にパンクラスイズム横浜で「栃木から出稽古に来ているんですよ」と紹介され、その4日後に東中野のトイカツ・グラップリングへ取材に行くと、日曜日の朝なのにまた万智選手がいた。『なんだ、この子は!!』と思ったのがきっかけでした。きけば高校を春に卒業したばかりだと。

「ハイ。今は大学に行かず格闘技ばかりの生活になっています」

――宇都宮在住ということですが、1週間のうちどれくらい首都圏に出てきているのでしょうか。

「火曜日はパラエストラ松戸、SARAMIさんの試合前は、水曜日にはパンクラスイズム横浜、金曜日がマスタージャパンですね。平日は都会に出ていくのが3回ぐらいで」

――……!!

「土曜日は朝にパラエストラ松戸に行き、そこからIGLOO。夜は泊まって日曜日の朝に東中野、それからマスタージャパンで練習しています。土日は東京で2度ずつ練習しようと決めています。それとツイッターで練習する人と募集しているところに参加させてもらうこともあります」

――ぶっちゃけて、月の電車代はどれぐらいになっていますか。

「6万円ぐらいの出費になるので、それなら住んだ方が良いかなって思うこともあります(笑)」

――その6万円はどなたの財布から出てくるのですか(笑)。

「これはお母さんが、大学に行くために貯めていたお金を格闘技の練習に必要なところにあててくれています。あとはスポンサーさんにサポートしていただいている分も、全て交通費に使っています」

――私には子供が3人いますが、学資保険は大学に行ったときにだけ使って「進学しないと老後の資金に回すからね」と宣言しています(笑)。

「アハハハハ。ウチは格闘技貯金のようなモノをしてくれていたんです(笑)」

――なんとも……。ただ本当に移動時間を考えると、東京近郊に住んだ方が良いかもしれないですね。

「ハイ。ただ梅田(恒介)さんが近場で指導していて……今、所属しているロクナナ・ジムで。梅田さんから教わることがたくさんあります」

――梅田さんってお住まいは茨城の水戸ですよね。それで宇都宮で指導をされているのですか。

「アハハハハ。ハイ。栃木で2つ、3つクラスを持っていて、水曜日は那須塩原のクロウフォレストでやっている梅田さんのクラスに私も出ています。東京に出て行かない日は、ずっとこっちで練習している感じです」

――近場とかいって移動距離がとにかく半端ないですね(笑)。本気度のみが伝わってくるのですが、万智選手はなぜMMAファイターを目指したのですか。

「中学2年生の時に友達のお母さんがRIZINに連れて行ってくれて。あの日、RIZINを見て『この舞台に立ちたい』と思うようになりました。それ以来、将来の夢はずっと変わらず格闘家になることでした。

1度、中学を卒業した時にMMAを始めたいと思ったのですが、柔道をやっていたので高校で結果を残したいという気持ちもあって高校進学を選びました。でもケガばかりで、結果を残すことができずMMAに、上手く切り替えることができたと思っています」

――そもそも柔道では、どのような活躍をされていたのですか。

「小学3年生から高校卒業までやっていて、中学では県大会ではいつも1位とかになっています。だから高校でも続けようと思ったのですが、でも柔道やあまり好きじゃなかったです(苦笑)」

──五輪スポーツでそこそこの結果を残し、学生生活や社会人生活を送っている選手は人間関係に疲れるということを言われることが多いです。

「……。それは分かります。私も中学の時に色々とありました(苦笑)。でも結果を残したかったので、高校まで頑張って続けようと。結局のところは1年と2年生の時にヒザの靭帯の手術をして、結果を残せないまま柔道は引退という形になりました。2年生の時のケガで3年生の一番大切な大会には間に合わないので、そこからMMAのジムを探し始めたような感じでした」

──その間もRIZINの女子の試合を見続けていた感じですか。

「女子っていうかRIZINの全員の試合が好きで、他にも色々なMMAの試合を観に行ってハマっちゃいました。格闘技オタクみたいになって」

<この項、続く

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