この星の格闘技を追いかける

新年、あけましておめでとうございます

2023.01.01

MMAファンの皆さま、新年あけましておめでとうございます。

コロナと共生時代――世界中のMMA会場に観客が戻り、声援が復活した昨年は3月にバーレーンでBRAVE CFとIMMAF Super Cup、シンガポールでONE 。6月には同じくシンガポールでUFCとRoad to UFC、7月から8月にかけてはABEMAの多大なる協力を得た結果、ニューヨーク、フロリダ、ミルウォーキーでのジム巡りとLFA。10月はアブダビでUFCとRoad to UFCを再び、そして12月はフィリピンでONE、年越しは韓国取材で30日にAngel’s FC、31日はBlack Combatと2カ月に1度以上の頻度で現地取材を行うことができました。

UFC275とUFC280ではPPV大会にも関わらずケージサイドでの撮影が可能でした。東南アジアと中東とはいえPPV大会で、イリー・プロハースカ×グローバー・テイシェイラ、イスラム・マカチェフ×シャーウス・オリヴェイラの激闘を目の当たりにできたことは、望外な経験になったことは間違いありません。

しかし、ここには目を瞑ってはいけない現実が存在しています。今やMMAを伝えるメディアは写真と文字ではなく、圧倒的に映像を撮り、動画を流す時代に代わっています。ケージサイドを希望するメディアが、シンガポールやアブダビでは以前のような数ではなかった――MMAPLANETがケージサイドに陣取ることができたのは、メディアとして価値を認めてもらえたからではなく、競合相手が少なくなったことが一番の要因です。

他方、UFC APEX大会ではケージサイドはオフィシャルの撮影のみ。一般メディアは撮影をできない決まりで、佐藤天選手や平良達郎選手のオクタゴンでの活躍を現地から届けることを断念しました。

UFCはそれでもAPEX大会以外では一般メディアに8スポットほどスチール撮影が可能になっています。他方ONEではオフィシャル以外は2つのスポットを各メディアで共有するルールが存在します。そこをチャトリ御大に直接交渉した結果、1スポットの確保という確約を得ることができました。

LFAも実はケージサイドの撮影は認められないとオクラホマ州アスレチックコミッションから大会当日に言い渡されるという事態に陥っていました(笑)。ここは古くから親交のあるLFA首脳のエド・ソアレス&スヴェン・ビーンの口利きがあったおかげでコミッション代表の隣で撮影が許可された次第です。

BRAVE CFも同じで、モハメド・シャヒド代表と美人広報のシャイハ・アル・マウラニ嬢にねじ込んで撮影が可能に。驚いたことに韓国のAngel’s FCもオフィシャル以外にカメラマン席はなく、オフィシャルのデスクつきのスポットの末席をプロモーターから頂戴しました。

Black Combatに関しては、既に我々の常識は非常識状態でした。ライブ配信を行わず、YouTubeでディレイ配信という形態をとっている彼らは、オフィシャル以外の大会取材すら認めてないのが現状です。そのなかで、ライブ配信予定のDEEPとの対抗戦があるということで、我々は特別な計らいを受けて取材&撮影が可能になりました。

そのBlack Combat。日本国内向けに速報が許可されていたものが、韓国の記者がMMAPLANETをチェックして結果を流す恐れがあるという理由で、一度はアップした記事とツイートの削除のリクエストが届きました。

「日本国内では皆がRIZINを視聴中で、MMAPLANETに目をやる人はいないよ」という自虐ギャクに彼らも笑顔を浮かべてはくれましたが、速報ではなくYouTube配信とともに記事の再アップをしていく方針が大会中に決まりました。

選手もプロモーションも自己発信が可能な現状は、MMAを競技、スポーツ、目の前で行われていることをそのまま伝えるという従来の伝達方法は必要とされなくなりつつあります。

くわえて国内での賃金が伸びがない状況に加えて、円安が重なり海外取材においては経費の高騰はコロナ以前と比較にならない状態です。つまり「UFCのケージサイドで撮影できたぁ」なんて喜んでいられる時代では全くないわけです。

それでもMMAPLANETの軸は変わりません。自分が好きなモノを世に伝える。伝える手段は紙媒体、ネット、動画、携帯動画と世の中は変化の連続です。記事と写真の媒体は時代遅れと思われても致し方ないことも理解しています。

ただし伝える手段は変わろうが、伝えるモノ、伝える目的は1995年にこの仕事を始めてから一切変わりはないです。

自分が好きなモノを伝える。

自分が取材で得た知識や情報を本当にMMAが好きな人とシェアする。

世の中、経済の論理では価値はないかもしれないです。ただし、希少価値のある――かもしれないモノを追っていきたい。この姿勢を理解し、支えてくださる方々に感謝の想いを抱き続け、MMPLANETでは2023年もここを軸に、もう少しインフラ整備とマンパワー不足を解消するための整理をしつつ、海外MMAシーン、国内ケージMMA、グラップリング、武術や土着&民族格闘技を少しでも皆さんにお伝えしていくことができればという想いでいます。

本年も引き続きMMAPLANETとともに、そんな格闘の日々を楽しんでいただけましたら幸いです。

高島学

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