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【UFC279】ファーガソンと対戦、リー・ジンリャンから学ぶべきこと「居心地の良い場所から離れる」

【写真】アジアを代表するファイターであり続けるリー・ジンリャン(C)MMAPLANET

10日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されたUFC 279「Chimaev vs Diaz」で、アジアの大砲=リー・ジンリャンがトニー・ファーガソンと対戦する。

UFC在籍も8年以上、手にした勝ち星は11となった彼は現在、中国を離れてフロリダに拠点を置き、キルクリフFCでトレーニングを積んでいる。彼個人でなく、若いチームメイトを帯同しての米国滞在──我々は世界の最高峰のPPV大会でコメインを戦うリー・ジンリャンから学べることがあるはずだ。


リモート取材後にスクショをお願いすると、必ず通訳をしてくれるマネージャー氏とツーショットを彼は欲する

──キャリア最大の一番といっても過言でないトニー・ファーガソン戦が迫ってきました。今の調子はいかがですか。

「最高だよ。前回の試合では全くケガもなかったから、すぐにトレーニングに戻った。そしてUFCに少しでも早くオクタゴンに戻りたいって伝えていたんだ。個人的には来週のソン・ヤードンがコリー・サンドハーゲンとメインで戦う大会で戦いたいってね。でもUFCのオファーは、それより早かった(笑)。4月に米国にやってきた目的は、今年はもっと試合をするためだったから、その通りになっているよ。しかもファーガソンのようなレジェンドとオクタゴンをシェアできるって、完璧だよ。光栄だし、彼と全てのMMAが喜ぶ試合をするよ」

──ファーガソンは4連敗中です。ただし、その相手は世界のトップ中のトップでした。その彼がウェルター級に階級を上げてくることをどのように思っていますか。

「彼の直近の試合、4つの敗戦は全てチェックした。敗因はゲームプランを実行できていないからだ。そして対戦相手はファーガソンを研究しているのに対し、彼はそこまで相手のことを学習していなかった。そうなると凄くハイレベルな相手には勝てない。ただし、今回はウェルター級で階級を上げてきたこともあり、きっと自分のことも十分に研究しているに違いない。それでもファーガソン云々ではなく、自分が如何に戦うかだよ。僕は自分の戦いを貫く。今、思っていることはそれだけだよ。

確かにファーガソンは4連敗中だ。でも、そこはこの試合に関係ない。その4試合でファーガソンは色々なことを学んできたはずだから。僕らプロアスリートの活動期間は長くない。だからファイターはしっかりとコンディションを整えて戦わないといけない。UFCはそういう選手たちの集まりだ。それでも、選手っていうのはいつか負ける日がやってくるんだ。

だから僕らは他人が何を言おうが、気にする必要はない。自分を信じることさ。自分がベストだということに疑いを持つと、試合で勝てなくなる。そこがMMAを戦い続ける上で最も重要なことだよ。自分を嫌う人間のことなんて無視すれば良い。自分のことを大切に思ってくれる家族、コーチ、チームメイトとの関係を信じて、SNSでゴチャゴチャうるさいことを言ってくる連中のことなんて気にしなければ良いんだ。

それでも許せないことを書きこむなら、こう言ってやれば良い──「おい、オクタゴンで言ってみろ」ってね(笑)」

──アハハハ。実は先月キルクリフFCで練習を見せてもらったのですが、本当に懸命に取り組んでいましたね。

「南フロリダは最高の場所だよ。暑くて、汗をいくらでもかけるから体重を落としやすい。ジムのチームメイトもコーチも、素晴らしいよ。特にウェルター級は世界中からトップファイターが集まっている。最高の練習ができるんだ。フーフト夫妻はいつもジムに来て、全選手のケアをしてくれる。これ以上の練習環境はないよ」

──他の中国人選手をキルクリフFCに帯同していますね。

「今回、シャイラン・ヌルダンベクとバハトプールゥ・バトボラティという僕より若い選手をチャイナ・トップチームから連れてきたんだ。彼らを米国に連れてきたのは、しっかりと米国の現実を見て欲しかったから。MMAファイターは海外での練習が必要だと思っている。色々な国の選手とスパーリングをするためにもね。経験を積むために欠かせないことだよ。

シャイランは既にUFCで戦っている。バハトプールゥはLFAと契約しているんだ。彼にとって初めての米国の練習であり、試合でもあった。最初の試合は減量に問題があって負けてしまった。全く米国で戦うこと全てに慣れていなかったよ。でも2試合目は勝てた。1試合目の経験が生きたんだ。彼は凄く成長している。米国での滞在の全てが、バハトプールゥの成長を促しているんだよ」

──今、UFCでは中国勢はアジアの最大の勢力です。日本人の契約は5人。日本人ファイターもリー・ジンリャンの学ばないといけないですね。日本が中国から学ぶべきことは何でしょうか。

「中国となると、僕も分からないけど──自分の経験を日本の若い選手とシェアできるなら、居心地の良い所から離れろってことかな。犠牲を伴うことで、視野が広がる。海外に行って、レベルの高い選手と練習することで当然成長できるけど、それには日本で生活するよりもコストが掛かる。家族と一緒にいることもできない。自分達の食べ物も気軽に食べるは不可能だ。色々なことを犠牲にしないといけないけど、成功を掴むには必要なこと。

僕は2000年代の初めにPRIDEによって、MMAを知った。このスポーツを愛してしまった。それからはMMAをやり抜くために、ありとあらゆる困難と向き合ってきたよ。心地良い場所に居続けていたら、成功はできないということだよ」

──今日はありがとうございました。次回、フロリダに行った時はぜひとも手料理を食べさせてください。佐藤天選手が、リー・ジンリャンは素晴らしいシェフだと言っていました(笑)。

「もちろんだよ。ノープロブレム。ウェルカムだ。サトーは最高のヤツだな(笑)」

■視聴方法(予定)
9月11日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC279対戦カード

<ウェルター級/5分5R>
カムザット・チマエフ(スウェーデン)
ネイト・ディアス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
トニー・ファーガソン(米国)

<180ポンド契約/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
ダニエル・ロドリゲス(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
メイシー・シェエソン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)
イオン・クテレバ(モルドバ)

<フェザー級/5分3R>
ハキーム・ダラドゥ(カナダ)
ジュリアン・エロサ(米国)

<220ポンド契約/5分3R>
ジャイルトン・アルメイダ(ブラジル)
アントン・トゥルキャリ(スウェーデン)

<ミドル級/5分3R>
ジェイミー・ピケット(米国)
デニス・チュルリン(ロシア)

<ヘビー級/5分3R>
ジェイク・コリアー(米国)
クリス・バーネット(米国)

<女子フェザー級/5分3R>
ノルマ・ドゥモント(ブラジル)
ダニエル・ウォルフ(米国)

<バンタム級/5分3R>
チャド・アンヘリガー(カナダ)
アラテンヘイリ(中国)

<女子ストロー級/5分3R>
エリース・リード(米国)
メリッサ・マルチネス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ダリアン・ウィークス(米国)
ユアン・リネス(カナダ)

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