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【ONE FN01】平田樹 in NY―02―「引かないで、どれだけ前に出続けることが打撃でできるか」

【写真】相当なズタボロ感があった……(C)MMAPLANET

27日(土・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night01「Moraes vs Johnson 2」のリードカードでリン・フーチンと対戦する平田樹インタビュー後編。

ロングアイランドはハンディントンのセラBJJ、ガーデンシティのロンゴ&ワイドマンMMA、そしてマンハッタンのアルティメット・ジムでトレーニングを積む平田は、特にアルティメット・ジムでの追い込み練習、そしてスパーリングで疲弊し心身ともに追い込まれている。だからこそ、知り得る境地もある。リン・フーチン戦へ、NYの練習で平田は何を得て、どのような気持ちで挑むことができているのかを尋ねた。

<平田樹インタビューPart.01はコチラから>


──試合に向けて、アルティメット・ジムのネスター・マーティさんはとても丁寧に指導をしてくれていますが、ちょっと情報過多にならないかなと見ていて感じました(笑)。そこで取捨選択が必要になってくるかと。

「立ち技は今習っていることが、すぐに試合に出せない。それはネスターもアーセンも分かっていることで。だけど、これだけやりこめば試合に勝てる。もう量ですね。どんな危険な時も攻めることができるように……それだけのスタミナをつける。技術云々ではなくて、自分に足らなかったメンタル面を鍛えられています。どれだけ綺麗なミットをやるとか、どれだけ綺麗な打ち方をしても試合でできないことがたくさんあったので。そのメンタルを鍛え上げられていると思います」

──疲労が蓄積しているタイミングかと思いますが、正直疲れるのが早いなぁと思いました。

「ハイ……」

──それなのに最後の30秒、いや10秒になると懸命に取り戻そうとしていますね。

「予想でどれぐらいやるっていうのが分かっているので。最初に5分✖7Rとかやった時は、もう想像もつかずにひたすらミットを打っていて。『今日は何Rですか?』ってネスターに尋ねると、『答えると、頭が変になるから言わない』って言われて(笑)。なら前と同じか、それ以上やるんだなっていう頭になって……。

だから最後はやり切りたいという考えにもなったんですけど、それって試合じゃ無理だなって。なら最初から出していこうと……そこが自分の弱いところなので」

──今、5分と言われましたが、スパーリングは1R6分でやっていましたね。

「あっ、そうなんですよ。1分余分にあるし、小さなリングでスパーリングをするので間を置く時間がないんです。でも試合だと1分短くて、ケージは広いからあそこまで追いつめられることなく戦えるだろうなって。それを考えた時、6分であのリングでやることが強くなるために必要だと思います。メンタルが破壊されそうなんですけど(苦笑)」

──スパーリング・デーは最初のボクシングがマスかどうかの確認がなく、いきなりペースが乱れました。ペースが乱れることは試合でもあり得るので、逆にあの体験もしておくべきだと感じました。

「ハイ。試合でも1Rは少し見てしまうという癖があります。そこでどうやってエンジンを100パーセント回せるのか。そこも踏まえて、毎ラウンド全開でやっています。1Rの1秒目から一発貰うんじゃなくて、自分から仕掛けようとすると相手の選手との圧の差を感じます。

カーニセラMMA所属、アマ7勝1敗でプロデビューが決まっているジェン・ロペスの圧負けする場面も(C)MMAPLANET

あのボクサーの子は、すぐに前に出てきます。ゴングが鳴った瞬間から全力でエンジンをかけられるよう気持ちを創ってスパーに挑んでいます。後からじゃない、最初からやるんだというメンタルになれました」

──そういう部分も踏まえて、リン・フーチン戦でこれまでのとの違い、どのように見せたいですか。

「打撃もそうだけど、いつも殴った後とか蹴った後に隙があったので、そういう課題を克服していることを見せたいです。アリス・アンダーソン戦ではプレッシャーは掛けることができたけど、打撃が出せなかったです。相手の動きを待っていて。打撃を出しつつも、自分が得意な組みにどれだけ繋ぐことができるのか。

寝技有りきで考えた時に、もらっても良いように打撃をやる。引かないで、どれだけ前に出続けることが打撃ができるか。相手も打撃で来るのは分かっているので、それがどれだけできるのか、そこが勝負かと」

──アリス・アンダーソン戦は貰って、ノックダウン状態後に無我夢中で戦った。あそこがこれまでの平田選手の試合のなかの動きとして、一番良かったように思っています。どれだけ練習を集中していても、やはり打撃は考えて一拍空くようなところが見受けられますが、あの無我夢中の時は迷いがなかったです。

「最近、考えると手が止まり、足が止まり、体が止まるって自分でも分かるようになりました。デビュー戦の時とか、好き勝手に動いていますよね。計量を失敗した試合の時もリングの中は自分の世界になって、あんな風に思ったように試合がしたいです。そこは初心に返ったつもりで戦います」

──それはできれば最高ですが、相手が強くなると簡単にそうはいかない。競ってきて、自分の世界も何も……。思ったようにならないなかで、自分のエゴをどう通せるのか。

「だから、あの貰った時なんですね(笑)。あの時は一瞬、グアンって目が回って。このままだと負けると思って、直ぐに立ち上がって攻めていて。必死になって、ただ攻めていました。『あと1分』っていう声が聞こえて、『やばい。まだ1分もあるのか』って(笑)」

──だからこそ、無心で動けていたのかもしれないです。

「ちょっと焦りつつも、とにかく攻めないといけないからグラウンドでトップにいようと思いました。もう他は何も考えなしで動いていました。それが今からすると、良かったのかなって思えるようになりました。

どうしても練習の時から考え過ぎてしまうんですけど、頭を柔らかくしてできれば良いなって。皆の期待じゃないですけど、『どんな打撃をするんだろう』と思われているんじゃないかと考えると、何かやらないといけないっていう風になってしまうんです。でも、そこを気にしないで、できれば良いなって思います」

──勢いですよね。組みがあるから、打撃が上手くなくても組みと合算した圧力をリン・フーチンに掛けることは可能かと。彼女には組み技で劣るという気持ちもあるでしょうし。そこは思い切ってやるしかない。とにかく日本にいるときより、追い込まれているので出るでしょう──と期待させていただきます。

「ハイ。追い込んでいるのは間違いないです(笑)」

──1度目の武者修行プロジェクトの米国の練習と、今回のファイトキャンプになったNYでのトレーニング。リン・フーチン戦以降は、どのように生かしていきたいと考えていますか。

「NYもそうですが、またサンディエゴで寝技を磨きたいです。今回は試合前なので打撃とMMAがメインですが、またグラウンド・メインのジムに行きたいなと思って。あの寝技の強い選手たちと練習をするの、超面白かったので。試合が終わったらサンディエゴに行きたいなって考えています」

──日本より米国を中心に練習をしていきたい?

「ずっとではないけど、また1カ月とか集中的にやって。それを日本に持ち帰って練習して、それからまたこっちに来る。それを繰り返したいです。そこは試合間隔を考えて、やっていきたいと思います。とにかくいつでも試合のオファーに応じることができるように、練習をし続けたいです」

■放送予定
8月27日(土・日本時間)
午前8時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午前8時00分~ONE Supper App

■ONE FN01対戦カード

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONEムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] リアム・ハリソン(英国)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP準決勝/3分3R>
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
サヴァス・マイケル(キプロス)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
アミール・アリアックバリ(イラン)
マウロ・チリリ(イタリア)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP準決勝/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
ヴァウテウ・ゴンカウベス(ブラジル)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP補欠戦/3分3R>
アミール・ナセリ(イラン)
ジョナサン・ハガティー(英国)

<ムエタイ58キロ契約/3分3R>
ディアンドラ・マーティン(豪州)
アンバー・キッチン(英国)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
リン・フーチン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)
ユーリ・ラピクス(モルドバ)

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