【UFN37】柔術と空手の融合=グンナー・ネルソンのMMA再び
【写真】その独特なスタンドでの戦い方に忘れられがちだが、グンナー・ネルソンの軸にはブラジリアン柔術がある(C)GONGKAKUTOGI
8日(土・現地時間)に英国ロンドンのThe O2アリーナで行われるUFC Fight Night 37 「Gustafsson vs Manuwa」で、グンナー・ネルソンが1年1カ月振りにオクタゴンに戻ってくる。
2012年9月にダマルケス・ジョンソンを相手にオクタゴン・デビューを飾り、5カ月後にはジョルジ・サンチアゴを倒しているネルソン。母国アイスランドで幼少期より沖縄剛柔流空手を学んだ彼は、その独特な間合いの取り方と、華麗な足技で大いに注目を集めるようになった。ブレイクスルーが期待されたネルソンだが、続く5月にマイク・パイル戦と矢継ぎ早にステップとなる試合が決定していたものの、負傷欠場し復帰を今大会まで待たないといけなくなってしまった。
ネルソンの欠場中の11月にUFCデビュー戦でチアゴ・ペルペチュオを相手に、逆転KO勝ちを収めたのが対戦相手のオマリ・アクメドフだ。やや遠い距離から力強いローと、大振りながらスピードと勢いのあるフックを主武器に12勝1敗、現在11連勝という結果を残す。そんなアクメドフに対し、ネルソンも11勝1分け、11連勝中と無敗を続けている。左足が前になる構えを主体に、スイッチを織り交ぜながら、アクメドフがフックなのに対し、ネルソンは同じく見た目は手打ちに分類されるストレート系の突き、右オーバークロスを多用する。
空手=武道、あるいは伝統派というイメージで捉えられがちだが、ネルソンのそれは細かいジャンプをくり返し、何度も体を浮かせて前後にステップを踏むもの。どちらかといえば寸止めポイント空手、スポーツ空手を連想させる。拳でのKO勝ちもしているネルソンではあるが、勝利の大半が絞めや十字など、寝技で仕留めている。リョート・マチダ、堀口恭司、菊野克紀、空手をベースとしてMMAを戦うファイターは、そのスタイルは十人十色ではあっても、寝技は負けないための手段、勝負を賭けるのは空手、つまり打撃だ。
【写真】組むための空手、組みから活きる空手。すぐに寝技に持ち込むことが難しい現代MMAだけに、ネルソンの空手が注目を集める(C)GONGKAKUTOGI
一方でネルソンは、ヘンゾ・グレイシー柔術の黒帯でもあり、2009年には茶帯でパンナム柔術優勝、ムンジアルでは世界2位、さらにノーギでもADCCの4位、黒帯に昇格した後にノーギの世界大会では優勝と、その実力の程を見せつけている。つまりMMAファイターとしてのグンナーの比重は柔術にあり、打撃は組み伏すための手段ということになる。空手で距離を幻惑し、右の大振りの突きから組んで倒す。さらにいえば、この組みから柔術の強さがあることで、また彼の突きや蹴りが有効になってくる。
アクメドフもガードから腕十字やギロチンで一本勝ちしているものの、ポジションや打撃との融合を考えた寝技はネルソンが一枚も二枚も上といえる。振り回すパンチで6度のKO勝ちを誇るアクメドフに対し、ネルソンがその沖縄剛柔流をベースとした空手で如何に距離をコントロールできるか。両者、ガードが低いパンチを使うだけに、拳を使うタイミング、距離、コンビネーションで上回るネルソンが、これまでの2戦以上に防御として空手を如何に使うのかに、注目したい。
■ UFN38 対戦カード
<ライトヘビー級/5分5R>
アレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン/1位)
ジミ・マヌワ(英国/11位)
<ライト級/5分3R>
マイケル・ジョンソン(米国/14位)
メルヴィン・ギラード(米国)
<フライ級/5分3R>
ブラッド・ピケット(英国/6位※)
ニール・シーリー(アイルランド)
<ウェルター級/5分3R>
グンナー・ネルソン(アイスランド)
オマリ・アクメドフ(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
シリル・ディアバテ(フランス)
イリル・ラティフィ(スウェーデン)
<ミドル級/5分3R>
ルーク・バーネット(英国)
マッツ・ニルソン(スウェーデン)
<ミドル級/5分3R>
ブラッド・スコット(英国)
クラウディオ・エンリケ・ダシウバ(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
デイヴィー・グラント(英国)
ローラン・デローム(カナダ)
<ウェルター級/5分3R>
イゴール・アラウージョ(ブラジル)
ダニー・ミッチェル(英国)
<フライ級/5分3R>
フィル・ハリス(英国)
ルイス・ゴーディノー(米国/11位)
※バンタム級