【Gladiator034】日韓対抗戦でキム・ウンソンを迎え撃つ上田祐起「今回は一気にハジけるチャンス」
【写真】冷静に自分を見つめることができるタイプだ。リライアブルの中では少し異端な存在(C)SHOJIRO KAMEIKE
23日(月・祝)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator034では、3階級の日韓対抗戦が組まれた。バンタム級では上田祐起が出場し、キム・ウンソンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
2017年にプロデビューした上田、ここまでのMMA戦績は7勝12敗1分1NCと負け越している。当の本人は「ムチャクチャ汚いレコードですよね」と苦笑いするが、同時に「あと一歩」という内容の試合も少なくない。同時に、チームメイトの中川がパン・ジェヒョクを下してグラジのベルトを巻いた試合では上田と作戦を相談していたとのことで、「それが自分の試合でも出せれば怖いものはない」と語る。上田が感じる勝利への壁——今回の日韓戦で、國頭武をKOしているキム・ウンソン戦を機に駆け上がることはできるか。
――本日はバレンタインデーですが(※取材は2月14日に行われた)、チョコは貰いましたか。
「アハハハ。一応、既婚者なので(笑)。そんなに堂々とするわけではないですね。もう子供もいますし」
――えぇっ!? そうだったのですか。
「結果的に少し遅れたんですけど、周囲からもGoサインが出たので試合に出ました」
――それは出産のことも心配だったでしょう……。
「そうですね。もしかしたら僕が戦っている時に、奥さんも戦っているかもしれん状態だったので」
――新しい家族ができたことで、何か変わりましたか。
「変わらないですね。家族のことは、あくまで自分の生活の一つ。子供が生まれたから頑張ろう、子供がいないから――ということではないので。自分はやるべきことをやる。助けてもらうところは助けてもらう。僕も助けるべき時は助けなきゃいけないですし」
――確かにそうですね。今回は日韓対抗戦の一つですが、試合の話を聞いたのはいつ頃だったのでしょうか。
「先月の中頃から月末やったと思います。自分も海外の選手と試合がしたいと思っていて。日本人選手と対戦しても友達の友達やったり、何か繋がりがあったりするじゃないですか」
――首都圏以外の興行……特に選手が多い大阪の大会では、そうなる可能性は高いかもしれないですね。
「結局は身内というか内輪の試合になって、観に来る人も感情移入しにくいと思うんですよ。でも僕だってジムの先輩が韓国の選手と対戦することになれば『おぉ、そうなんや!』ってなりますし。だから自分も外国人選手と試合をしたいし、欲を言えば海外で戦ってみたいとも考えていて。
僕としては『ようやく来たか』という気持ちであるのと、『この戦績でも国際戦をやらせてくれるんや』と思いました」
――現在、上田選手のMMA戦績は7勝12敗1分1NCです。
「ムチャクチャ汚いレコードですよね(苦笑)。いつも自分の弱いところで負けている」
――弱いところ、というと?
「自分の場合は下になったら負ける。下にならなかったら勝てる、みたいな状態で。そのウィークポイントを、どう潰していくかを考えています」
――正直なところ改めて戦績を見た時に、意外な面はありました。試合内容から生まれるイメージと実際の戦績に乖離があるといいますか。
「戦績を見てみたらメッチャ弱いやん、って」
――いやいや……。
「僕自身がそう思いますよ。この選手、ヘボいなって。自分は思いっきり負けたらMMAを辞めようと考えているんです。でも思いっきり負けたことがないから。まぁ吉田(開威)戦は、ある意味で思いっきり負けていますけど(笑)」
――吉田戦は、あと一歩のところまで相手を追い詰めていて。
「あと一歩どころか、大逆転KO負けだったじゃないですか。あの場面までヤバイと感じる場面は一つもなかったし……。あれはラウンドが残り10秒やったから、無理してクラッチを組んで疲れなくても、離して10秒を流しておけば良いかと思ったんです。そこで離して立ち上がったら、ボンッって大逆転KO負けみたいな形になってしまいました。
石井逸人戦も試合前から周囲に言っていた試合内容やったんです。開始早々にダウンを取るから見ておいてね、と」
――なるほど。石井戦では開始早々に左ストレートでダウンを奪っていました。
「結果はローブローでノーコンテストになってしまいましたけど、石井さんは次の試合で僕と同じことをしてくる選手にKO負けしているんですよね。だから自分の作戦は間違っていなかったんやな、と思って」
――自分の弱点は分かっているし、作戦はハマっている。でも勝てない、という面で納得できていない試合も多いわけですか。それは他でもなく、自分自身に対して。
「はい。ボトムになった時のことさえ何とかなれば、もっともっと行けるはず。なのに、なのに、ずっと同じところで負け続けている」
――自身の中で『下になれば負ける』というのは、いつ頃から意識していたのでしょうか。
「キャリアの最初の頃から気づいてはいたんです。でも違うところを伸ばして、そのウィークポイントを隠そうとしていたというか。誤魔化して自分の強いところを、どうにかしようとしていました。それでストライカーには強いけど、ガチガチのグラップラーに対しては弱い。あとはパッと見、僕もグラップラーに見えるスタイルでやってきて……。
Bloom FCで原田(惟紘)さん、野尻(定由)さんに負けた時、プロモーターやった鬼木(貴典)さんから『もっとテイクダウンを切ることができれば、上へ行くことができると思う』って言われたんですよ。そう言われた時に『あぁ、やっぱり誤魔化したらアカンな。どうにかせんとダメや』と思いました(苦笑)」
――自分の中では誤魔化しているつもりでも、周囲は分かっていると。
「今まではテイクダウンを切るというより、テイクダウンに持ち込まれないためにどうするか。そこで誤魔化していました。今はテイクダウンを切ることはもちろん、切れへんかった時の対処も頑張っています。今までは諦めモードに入っていたわけではないけど、テイクダウンに来た相手に対して頑張っていなかった気がするんです。練習はしている。でもスパーや試合になると……」
――上になれば勝てる。その気持ちが「頑張っていない」状態を生み出していたのでは?
「それもあると思います。『倒されても立ち上がったら行ける』という甘い気持ちもあったでしょうし、たとえばテイクダウンに来られてもスイープするために自分から背中を着けるのであれば良いんです。
でもそうじゃない。頑張らないといけないところで頑張っていなかった。その意識を変えるだけで練習でも変わってきました。スパーでテイクダウンも切れるようになったし、『どうしようかな』って待つこともなくなった。技術は変わっていないんです。意識を変えるだけで全てが底上げされてきましたね」
――上田選手は考えるタイプというか、考えすぎるタイプなのでしょうか。
「自分は何でもキッチリ最後まで考えるタイプなんです。でも頭の回転が速いわけではないから、答えまで辿り着くのが遅い。答えの直前までは到達しているけど、進むのが遅いんですよね。試合中も考え続けちゃうんです。だから考えすぎたらアカン。
吉野戦もテイクダウンされた時、『こうしないといけない!』と考えすぎて一つの行動しか実行していませんでした。もっと他の対処を考えることができていたら、試合展開も違っていたかもしれない。それも試合が終わった瞬間、『ああすれば良かった』と気づいてしまうんです」
――考え続けた結果、答えが出るのは試合が終わった直後で。
「映像を視返すまでもなく(苦笑)。そこで考えることなく自然に出るぐらい練習しとけよ、って話でしかなくて。
自分としては、何かがハジけたら一気にハジけるんじゃないかなと思っています。そのチャンスが今回の日韓戦なのかなと。最初に言ったとおり日本人同士の試合では何か甘えが出ていたのかもしれない。それが国際戦となれば頑張るしかないし、負けたくないし、負けたらアカン。ここで負けたら、そのキッカケも掴めずに終わりやなと思っています」
――そのキッカケとなるか。キム・ウンソン戦に向けて、意気込みをお願いします。
「ここで勝ってグラジのベルトを、とも思っていました。でもまずはベルトを目指すよりも自分の価値を上げたいです。今回の日韓戦もそうやし、海外で戦いたいというのも自分の価値を上げるためで。今のグラジって、ライト級は強い関東の選手=関西の選手からすれば外敵がベルトを持っている。フェザー級は強い韓国人王者が負けて、新王者が誕生した。フライ級はトーナメントがあって、グラジ生え抜きの選手がベルトを巻いた。で、バンタム級はルキヤが負けて……チャンピオンは誰やったっけ?
バンタム級だけ光っていないんです。もちろんチャンピオンは強いですよ。でも光っていないし、そんな光っていないベルトが欲しいんかと言われたら――それならまず僕が輝いて、ベルトがこっちに来るほうが良い。そのためにも海外の選手に勝って、結果的に僕のところへベルトが来たという形を目指したいです」
■対戦カード
<ライト級/5分3R>
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)
クォン・ヨンビン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
上田祐起(日本)
キム・ウンソン(韓国)
<フェザー級/5分3R>
國頭武(日本)
ナム・ヒョヌ(韓国)
<ライト級/5分2R>
徳野”一心”一馬(日本)
拳椰(日本)
<フライ級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
千葉琉偉(日本)
<フライ級/5分2R>
藤原浩太(日本)
マルザヘンペーソク(日本)
<フェザー級/5分2R>
原田康平(日本)
谷川渉(日本)
<バンタム級/5分2R>
セイヤ(日本)
梅永海世(日本)
<ストロー級/5分2R>
諸井友祐(日本)
木村旬志(日本)
<ヘビー級/5分2R>
松本洋平(日本)
田馬場貴裕(日本)
<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
小沼魁成(日本)
<ウェルター級/5分2R>
遠塚浩希(日本)
山本和貴(日本)
<フライ級/5分2R>
谷口隆元(日本)
石田聖人(日本)
<フェザー級/5分2R>
乾裕次郎(日本)
天野武徳(日本)
<フェザー級/5分2R>
田中惇平(日本)
畑村悟史(日本)
<NGF フライ級/5分1R>
中野銀仁(日本)
PANTHERBOYショウ(日本)
<NGF ライト級/5分1R>
前田塁(日本)
伊藤幸真(日本)
<NGF ライト級/5分1R>
廣岡武来安(日本)
小宮大翔(日本)
<NGF フェザー級/5分1R>
川内悠生(日本)
吉澤颯馬(日本)
















