【Breakthrough Combat04】上田祐起戦へBrawlフェザー級王者 石井逸人「苦しいところで1歩前に出る姿」
【写真】強さ、激しさを求めつつ、安定感がほしい。そんな課題がいかに克服されているか、楽しみな石井だ (C)TAKUMI NAKAMURA
14日(水)に開催されるBreakthrough Combat04で、石井逸人が上田祐起と対戦する。
text by Takumi Nakamura
昨年10月にグアムのMMAイベント=Brawlでフェザー級王座を戴冠した石井。その後は地元・香川で開催されたRIZIN50への出場を目指していたものの実現には至らず。以前から興味を持っていたというBreakthrough Combat(BTC)で約7カ月ぶりの試合を迎える。
国内では修斗を主戦場に戦ってきた石井がBTCを選んだ理由の一つが、BTCがLFAにコネクションがあること。BTC参戦は海外進出も見据えた石井にとっての新たな挑戦となる。
――昨年10月にBrawl4で同団体のフェザー級王座を獲得して以来、約7カ月ぶりの試合が迫ってきました。試合間隔が空いたことには何か理由があるのですか。
「自分は香川出身なんで、3月のRIZIN香川大会に出たかったんですよ。それで長南(亮)さんからRIZINに当たってもらっていたのですが、最終的に試合が決まらなくて。それで以前から興味があったBTCに出ることになりました」
――RIZIN香川大会に出場できないと分かった時は落ち込みましたか。
「でもそれはそれで、ですね。試合が組まれないと分かってからは気持ちを切り替えて、ほかで試合の機会を探して…という感じでしたね」
――そのなかでBTCを選んだ理由は何だったのですか。
「ずっとハセケン(長谷川賢)さんにはMMAでもグラップリングでもいつか出たいという話はしていて、それで正式にオファーをいただきました」
――これまでBTCの試合を見たことはあったのですか。
「練習仲間の吉野(光)くんやチームメイトの川ちゃん(川北晏生)や古賀(優兵)が出ていて、セコンドとして会場に行ったこともあるんですよ。だからなんとなく大会全体の雰囲気は知っています」
――Progress=グラップリングでの試合も頭にはあったのですか。
「自分はMMAファイターなんで、グラップリングでもキックでも強いんだぞってところは証明したいし、特にグラップリングには自信もあるんで、グラップリングでも試合はしたいなと思っていました」
――前回Brawl4でのスコット・エクラヴェア戦についても聞かせてください。結果は4RTKO勝利でしたが、石井選手にとってはどのような試合でしたか。
「Brawlのタイトルマッチは1R10分+2・3・4R5分っていう変則的な試合時間なんです。しかも判定決着なし、一本かKOしないとベルトを獲れないというルールだったんです。だから4Rで決着をつけようと思ってギアを上げて戦いました」
――序盤から石井選手が打撃で優勢に試合を進めて、エクラヴェアはかなりダメージを負って消耗していたにも関わらず、なかなか試合はストップにならなかったですよね。
「1Rにダウンを取って打撃をまとめて、途中から相手は血塗れで顔も腫れてヘロヘロだったんですよ。それで何回かこれで止まるなと思った場面でも続行になって、最後まで仕留めきるつもりで戦いました。Brawlは四点ヒザもサッカーボールキックありで過酷なルールでしたけど、やっていて楽しかったですね」
――楽しかったというのは具体的にどこに感じていましたか。
「良くも悪くも海外らしさというか、大会が始まるまで手厚いところとルーズなところが両方ありつつ(笑)、試合中の会場の雰囲気はみんなワーワー騒いでくれていい感じでした。いつもと違う変則ルールでスタミナ的にはキツかったですけど、そういうところも込みで『俺、海外で試合しているな』って感じで楽しめました」
――あの試合で掴んだものや収穫になったものはありますか。
「あの試合で掴んだもの…絶対に試合を決めきるという野生的なところと、どうやったら試合を決められるかという理論的なところのバランスが良かったかなと思いますね。自分の場合は闘争本能に偏りすぎて、それが原因で負けた試合もあるんですけど、そこを自分で抑えつつ、どうすればフィニッシュまで行けるかをちゃんと考えることができました。そういうバランスを取るきっかけになった試合だったと思います」
――体力的にキツい展開の中でも冷静に戦うことが出来ましたか。
「試合中、カッとなって突っ込みそうになった場面でもセコンドの(後藤)丈治が上手く抑えてくれて。今まではあんまりセコンドの声を聞かずに無視してガンガン突っ込んでたんですけど(苦笑)、ちゃんと落ち着いて様子を見ることができました。最終ラウンドでそういう感覚が降りてきた・掴んだ感じですね」
――エクラヴェア戦後の練習でも本能的な部分と理論的な部分のバランスは意識して練習するようになりましたか。
「そうですね。特に練習で本能的なところで行きすぎちゃうとお互い怪我するから、あんまり出さないようにして。どうフィニッシュするかっていう理論的なところを重点的に毎日やっています。自分の場合、試合になっちゃえば野生さが人一倍出るんで、抑えてるぐらいがちょうどいいんだと思いますね」
――では今回対戦する上田祐起選手の印象は?
「正直、試合が決まるまで、どんな選手か知らなかったです。試合を見た感じ、トータル的になんでもできるサウスポーの選手という印象です。競る試合になった時に勝てないところ、メンタル的な勝負になった時に競り負けるところが目につきましたが、技術的には決して弱い選手じゃないし、レコードよりもいい選手だと思います」
――これまでのキャリアを考えると石井選手にとってはフィニッシュしての勝利が求められる試合でもあると思います。
「もちろんフィニッシュは最初から最後まで狙い続けていきます。勝ちに徹しちゃうと見ている方もやっている方も面白くないと思うので、野性的な部分をちょっと多めに出しつつ、自分が心から楽しむ試合をして、見ている人にも楽しんでもらえる試合をしようと思います」
――海外でのタイトル獲得を経ての国内復帰戦、今後の展望としてはどのようなことを考えていますか。
「BTCがLFAと繋がっているというのもあるので、いい勝ち方でアピールして米国で強いやつと試合がしたいですね」
――BTCがLFAとコネクションがあることもBTCを選択した理由の一つですか。
「それもあります。今後のチャンスの窓口が広がるのであれば全然ありだなと思って、BTC参戦を決めたところもあるので。海外も含めて、いい話があればどんな試合でも受けたいと思います」
――これまではパンクラスで一戦、それ以外は修斗を主戦場に戦ってきましたが、修斗以外で試合をしていくことも視野に入れていますか。
「そうですね。国内では修斗を中心に試合をしてきて、自分の中ではバンタム級のランカーとは一通り対戦した感じなんですよ。今すぐやりたい相手もいないので、キャリア的には新しいステップに踏み出す時期かなとは思っています」
――それでは石井選手の国内復帰戦を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「何より自分が試合を楽しむので、そういうエキサイティングなところ、スクランブルで苦しいところで1歩前に出る姿、そういうところを楽しみながら見てほしいなと思います」
■視聴方法(予定)
5 月14日(水)
午後6時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat04対戦カード
<バンタム級/5分3R>
ジョン・オルニド(フィリピン)
熊崎夏暉(日本)
<58.5キロ契約/5分3R>
ザヒド・アフメド(インドネシア)
山崎蒼空(日本)
<バンタム級/5分3R>
石井逸人(日本)
上田祐起(日本)
<バンタム級/5分3R>
ガドウィン・ランバヤン(フィリピン)
竹本啓哉(日本)
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[暫定王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]イ・ソンハ(韓国)
<Progress ライト級/5分2R>
大脇征吾(日本)
椿飛鳥(日本)