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【NEXUS28】プログレス・ルールで濱岸正幸戦、山田崇太郎―02―「下がるなよ、組み技なんだから」

【写真】現在MMAファイターとしては修斗で戦っている山田。プログレスではグローブ着用でグラップリングを行う意味も説明してくれた(C)MMAPLANET

7日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS28で、濱岸正幸とフォークスタイル・グラップリングマッチで対戦する山田崇太郎のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

プログレスについて設立以前から知る者として、フォークスタイルスタイル・グラップリングのコンセプトを語ってくれた山田。この後編では、自身がプログレスルールで戦う意味を訊いた。山田崇太郎こそ、最もプログレスの意義を体現できるファイターなのかもしれない。

<山田崇太郎インタビューPart.01はコチラから>


――柔術家の森戸新士選手はフォークスタイル・グラップリングマッチで、相手に2P献上しても有利であることを念頭に置き、引き込んでサブミッションを極めています。それだけ極める力がないと難しい分、極める力がある柔術家の出場は興味深くなりますよね。

「そうですね。カードの組み方次第だと思います。それは実力差のあるカードを組む、ということではなく。

河名マスト君の試合は、相手(森戸)が強かったじゃないですか。その相手に対してマスト君の強さを見せることができていました。マスト君って、本当に組み技が強いんですよ。寝技も強いです。でも、寝技の強さだけで見たら勝てる相手ではなかったと思います。

そこはポイントを考慮しながら自分の強さを、しっかりと出していましたよね。八隅(孝平ロータス世田谷代表)さんとマスト君で、相当ルールを研究していたと思いますし、あの試合はすごく面白かったです」

――なるほど。ここまでプログレスルールの面白さについて語っていただきましたが、次は山田選手ご自身について訊かせてください。まず対戦相手の濱岸選手の印象はいかがですか。過去にはZSTで対戦したこともありましたが……。

「その時はその時ですよね。今はとにかく気持ちがある、頑張る選手だと思います」

――では、今回の試合に対するモチベーションを聞かせてください。

「練習していても明確な目標がないと、引き締まらないところがあるじゃないですか。そういう意味で試合があると、その試合に向けて色々と考えたりもしますし。練習していて、今回の試合に対して大きなアジャストみたいなものは、できていないです。でも今やっていることが、プログレスの試合と重なるところもあって。

長谷川(賢)さんは礒野(元)さんに、ルールについてもアドバイスを求めていて、礒野さんの意見が反映されているところもあると思います。そして僕は礒野さんに習っている。プログレスのコンセプトは、礒野さんのMMA観と重なっている部分があるんですよね。だからプログレスの試合で、礒野さんから習っているものを出したいです」

――その部分が重なっているからでしょうか。ケージレスリングやテイクダウンが強くて、さらに下からサブミッションを極められる一発の強さがある。先ほど山田選手が仰ったプログレスルールの魅力が、そのままご自身の中にあるのではないかと……。

「アハハハ、それは嬉しいですね。自分は作戦を決めて試合をしてしまうと、トップゲームになるのかガードゲームになるのか、どちらかに偏ってしまう部分があって。そこはしっかり考えて試合をしようと思っています。

ただ、何よりもケージレスリングをやりたいという気持ちは強かったです。普段は壁を使って練習していますけど、グラップリングの試合はマットで行われる。そこに違和感を覚えることもあって」

――違和感、ですか。

「もちろんマットがダメということではないんです。ただ、壁のある試合をやりたいなと思っていました。GENでは壁を使った練習の比重が大きいので。寝技の練習も、壁に押し込まれた状態から始めたりすることもあります」

――まさにケージ用の練習ですね。

「僕は、下がってマットから出たあと、何もなくマットの中で再開されることが理解できないんですよ。レスリングって押し出されたら相手にポイントがつくじゃないですか。それと同じように、下がっているほうがマイナスじゃん、って。下がるなよ、組み技なんだから組め、という気持ちはあります。

もちろん、下がってマットから出ても何もない、というのがルールなら仕方ないです。試合はルールに則って行われるものですから。それがケージになると、僕の中で曖昧なものが減るという部分で、良いと思っています」

――山田選手にとってケージグラップリング戦は、2019年10月の小谷直之戦(ヒザ十字で一本勝ち)以来ですよね。ケージでMMAを戦うのと、ケージでグラップリングの試合を行うのは、やるべきことや感覚などは大きく変わってきますか。

「先ほど壁レスの話をしましたけど、ケージで練習する時は指が痛いんです。プログレスのフォークスタイル・グラップリングでは、MMAグローブを着けるじゃないですか。そこは大事だと思います。

いつも行っているグラップリングを、ただケージの中でやるだけ、っていうことではないんです。指が痛いので(苦笑)。ケージではグローブがないと、四つでは組めない。だからグローブがあるなかでのケージグラップリングというのは面白いです」

――確かにフォークスタイル・グラップリングでMMAグローブを着けることになった理由の一つとして、指が痛いという点はあったそうですね。

「メチャクチャ痛いですよ。たとえば組んで、相手の背中でクラッチしますよね。その部分がケージに密着した状態で、ボディロックからシングルレッグやダブルレッグへ切り替えたりする時に、グリップを上下させると指がケージに当たって痛いです。相手の背中とケージに自分の指が挟まれているから、文字通り板挟みで(笑)。

そういうことは、礒野さんや長谷川さんと話をした記憶がありますね。MMAであればオープンフィンガーグローブを着けているという前提がありますけど、素手だとできないです。そう考えると、ケージの試合ってグローブありきのものだと思います」

――プログレス、そしてケージグラップリングについて貴重なご意見を聞かせていただきました。それだけの認識がある山田選手だからこそ、次の試合を楽しみにしたいです。

「僕は生きているぞ、っていうところを見せます。久々のグラップリングマッチなので、頑張ります!」

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