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【NEXUS28】プログレス・ルールで濱岸正幸戦、山田崇太郎―01―「見どころが分かりやすい」

【写真】3月の西川大和戦の(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS28で、プログレスのフォークスタイル・グラップリングマッチに山田崇太郎が出場し、濱岸正幸と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

グラップリング大会で数々の実績を持つ山田が遂にプログレスへ――その山田は、実は練習環境の縁からプログレス設立前、ルールがつくられる過程から知っていたという。プログレスをゼロから知る男が自身の試合の前に、プログレスの印象とルールの見どころを語ってくれた。


――山田選手がグラップリングマッチに出場するのは、昨年7月のクインテッド後楽園ホール大会(団体戦で出花崇太郎――キャプテン☆アフリカと時間切れ引き分け)以来となるのですか。

「そうですね。ただ、今回の話を頂いたのが10日~2週間前ぐらいで、それほどグラップリングの試合をやることを想定はしていなかったです」

――前回のMMAPLANETのインタビューでもMMAを軸にしていきたい、というお話がありました。今もファイターとしての活動の主軸はMMAにあるのでしょうか。

「はい。でもMMAとグラップリング、どちらが上でどちらが下かということはないです。要は練習環境として中心がGENスポーツパレスであり、そこでは礒野元さんにMMAの指導を受けているので、必然的にMMAが主体になりますよね。

世羅智茂君にGENへ来てもらってグラップリングの練習もしていますけど、それも頻度は週1ぐらいです」

――では、グラップリングの試合を目的としたグラップリングの練習には、それほど重点を置いていないということですね。

「グラップリングも好きなので、練習はしたいんですけどね。練習環境のせいではないです。環境は自分でつくるものなので。ただ、最近はその環境がなかったことは確かです。
以前は青木(真也)君たちとも練習していて、最近また青木君から『一緒に練習しようよ』と連絡が来たんですよ。今、青木君と僕で練習するのにちょうど良い場所を探しています」

――山田選手は現在、ご自身のトレーニングジム(PANDA GYM、東京都中央区人形町)を運営されています。昨年8月にジムをオープンしてから、いろいろと環境も変わったのでしょうか。

「いや、そうでもないですよ。ジムも雇われではなく、自分に裁量がありますし。僕たちのプロ練って昼に行われるじゃないですか。ジムでいえば日中はお客さんが来ない時間で、夜に戻ってからジムの指導もできますし、午前中も対応できますから。それを自分の裁量でできるので、良い環境だと思います」

――なるほど。では今回のオファーを受けるにあたり、以前からプログレスのルールや試合などはご覧になっていましたか。

「プログレスって長谷川(賢)さんがやっているじゃないですか。実はルールをつくっていく過程で、長谷川さんから相談されていたりしたんです。長谷川さんはGENの練習仲間ですから」

――おぉっ! プログレス設立をゼロからご存じなのですね。

「日本人選手がMMAで勝つための環境づくり、というコンセプトからスタートしましたよね。日本人選手が海外で勝つためには、どうすればいいか。どうやって育成していけばいいのか、というコンセプトは把握していました。でも自分自身が出ることは、念頭に置いてはいなかったです。だから今回も、オファーを受けてから改めてルールを勉強しました(笑)」

――では、その山田選手に改めてプログレスルールの印象をお聞きしたいです。

「要はMMAで殴られないためにテイクダウンやトップゲームが必要で、トップコントロールやグラウンドコントロールをしたほうがいい。ガードになったら殴られるからマイナスポイントで。上下が入れ替わったら、柔術でいうスイープでなくてもポイントが与えられる。とにかくMMAを想定したグラップリングですよね。このグラップリングで勝つことが、MMAで勝つことにつながるという。

柔術とグラップリングは今、競技性が専門化してきて、MMAとは離れた部分もありますよね。フットロックの攻防もそうですし、試合の中で立ち上がりにくいとか。そこでMMAに寄せたグラップリングのルールだと解釈しています。

そのルールの中で柔術家とMMAファイターも競い合えるという認識でつくっていると思います。やっぱりMMAより柔術のほうが、競技人口は多いですからね。MMAファイターの組み技の技術力を上げるために、柔術家の人たちに勉強させてもらう。そういうイメージを、自分で勝手に持っています(笑)」

――なるほど。そこまでのイメージを持っている山田選手に対して、以前から出場オファーはなかったのでしょうか。

「もしかしたら、あったのかもしれないですけど……。もともと僕は引っ込み思案なので、これまで自分から何かに出たいと言ったことは、そんなにないんですよね。グラップリングだとクインテッドぐらいで。それほど積極性がないんです(笑)。練習していて、お話をもらったら出るという感じです。

ただ、プログレスのルールは面白いですよ。同じグラップリングという枠の中であっても、強い選手というのは変わってくるんじゃないですか。まず青木君は強いよねって思います。青木君とも、このルールについて話をしたんです。結局はトップゲームになってきますよね。だからガードゲームが強い選手を相手に、たとえ寝技の力に差があったとしても、テイクダウンやトップコントロールで勝つことができます」

――確かに、そうですね。

「たとえば今はグラップリングで、ガードゲームに引き込まれてからパスできなかったとします。対して相手からアタックされていると、ポイントは入っていないけど負けることがありますよね。プログレスの場合は、その攻防に対して明確なポイントがある。トップコントロールにポイントが与えられるので、それこそレスラーが柔術家に勝てます。

一方で柔術家がトップを取られても下からサブミッションを取ったり、スイープしてトップから勝つこともできる。そういった見どころが分かりやすいですよね。この見どころが明確になってくると、もっと面白くなると思います」

<この項、続く

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