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【Grachan56】岩﨑ヒロユキ代表に訊く-02-「僕は今、自分が死んでも続くものを残したい」

【写真】後世にMMAを残す鍵が、アマチュアということなのだろうか(C)GRACHAN

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56では、プロ大会終了後にアマチュア戦=GRACHANチャレンジが開催される。
Text by Shojiro Kameike

プロ興行と同様に、GRACHANチャレンジも開催数が増えている。そこで岩﨑ヒロユキ代表が、アマチュア大会を拡大していく理由を語ってくれた。

<岩﨑ヒロユキ・インタビューPart.01はコチラから>


――現状のワンマッチとは別にトーナメントを開催したいとのことですが、トーナメント制でも全てパウンドとエルボーは有りですか。

「そうです。だって、MMAですから。世界を目指すなら、やっぱりパウンドとエルボーには慣れておかないと。最近マルスジムの平大門代表と、西川大和は小さいころから様々な経験をしていたから今があるっていう話をしていたんですよ。彼の存在によって、それに気づかされました。

世界で活躍する選手を輩出したい、皆そう思っているなかで我々はどうするべきなのか。考えているうちに、自然とこのルールに落ち着いてきましたよね」

――そのGRACHANチャレンジを広めていくための仕組みも、頭の中にあるのでしょうか。

「アマチュアを広めていくためには、もう回数を重ねていくしかないですよね。ただ、予想以上に開催回数も参加人数も増えてきています。ルールは違いますけど、いずれアマチュア修斗さんと対抗できる形になっていくと思っています。

なぜかといえば、各ジム代表が以前よりも柔軟だからです。昔は、このジムならこの大会へ――という型にハマっていたじゃないですか。今はそうではなくなっている。あとは僕たちが大会を運営している背中を見せて、各ジムの代表さんに信用してもらう。口じゃなくて行動で見てもらうのが一番だな、ということが15年やってきて分かりました。

何より一番強いのは、たとえば大阪だとGRACHANに出てくれている手塚基伸や獅庵たちが自分のジムを持つようになってきたことです。彼らから話を聞いて、もっとアマチュア大会を開催してほしい、年2回はやってほしいという声もあります。これからもっと時代は変わりますよ」

――では、今後GRACHANチャレンジの大会が増えていくなかで、それらを全てケージで開催するのですか。

「そう考えています。たとえケージが小さくても」

――そうなると会場選びやケージ運搬の問題も出て来るかと思います。

「それは今、九州でGRACHANチャレンジを開催したいと思っているのですが、地元でケージを設置しているジムさんと相談しています。そういった場所を借りてジムファイトからスタートしたいと思っています。それで選手が増えてきたら、いずれGRACHANチャレンジと一緒にプロ大会も開催したいと考えていますね。

そこは段階的にやっていきます。アマチュア大会が認知されていくと、その場所で選手もお客さんも生まれてきますから。将来的にプロ大会の開催も夢ではないです。だから今後数年はアマチュア大会が重要になってくると思います」

――なるほど。プロ、アマに限らず大会数が増えていくと、必ずマンパワーの問題に陥ります。現在GRACHANチャレンジのほうは、どなたが管轄しているのでしょうか。

「アマチュアのマッチメイクも全部、僕ですよ。もうちょっと先が見えてきたら、人を雇うかもしれません(苦笑)。ただ、誰もやりたがらないんですよね。選手を集めるのは、宮田和幸君も手伝ってくれているから、楽になってきたんですけど……。北海道はマルスジムが新たにケージを設置する予定で、宮田君とは『仙台大会もやりたいね』と話をしています」

――そこまでアマチュア大会の全国展開を考えるキッカケは何だったのでしょうか。

「前に宮田君と一緒にインタビューしていただいた時にも言いましたけど、たとえ少しでも僕が関わっているところからUFC王者が出てほしい。それだけなんです。日本人選手がUFCのベルトを巻いている姿を見ながら、昔この選手はGRACHANチャレンジに出てくれていたんだよなぁ、とか」

――お酒を飲みながら、しみじみと。

「アハハハ。そうです、そうです。たとえば先日パンクラスのベルトを巻いた山北渓人選手って、昔GRACHANチャレンジのBクラスに出てくれたことがあるんです。もちろん彼は他のアマチュア大会も経験していますけど、ちょっとは自分も貢献できたのかなぁ、なんて自己満足ですよ(笑)。

今大会ではないですが、フェザー級トーナメントにエントリーしている和田健太郎は、純粋なGRACHANチャレンジ出身選手です。彼がトーナメントで優勝したら、それこそ初のGRACHANチャレンジ出身のGRACHAN王者が誕生します。

やっぱり強い選手を出すためには、とにかく経験が必要ですよね。GRACHANも昔はセミプロの選手もプロ扱いでバンバン出していましたが、GRACHANを広げていくための手段でした。それは間違いだったと、今は分かっています」

――それは平大門マルスジム代表もインタビューで仰っていましたね。最初は認知度を上げるために地下格闘技を謳っていましたが、大会を続けていくうちに選手のレベル差が大きくなって、仕組みを考えていくようになったと。

「やっていくうちに、気づいたということですよね。GRACHANも叩かれながら上がってきましたから。でも、だから今があるわけで。……僕は今、自分が死んでも続くものを残したいんですよ」

――……えっ!?

「GRACHANのプロ大会は、僕が死んだら無くなるかもしれません。でもアマチュアはそうならないように。僕がいなくても形として残る。出ていた選手がプロで勝ち上がることで、しっかり続いていく――そういうアマチュア大会をやっていきたいです」

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