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【Grachan56】2度目の大阪単独開催、岩﨑ヒロユキ代表に訊く-01-「アマチュアが求められている」

【写真】GRACHANを継続するうえで様々な仕掛けを行っている岩﨑ヒロユキ代表。今回のテーマはアマチュアだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

8月7日(日)、大阪府豊中市の176BOXでGrachan56が開催される。GRACHANにとっては、これが昨年に続き2度目の大阪での単独イベントとなる。
Text by Shojiro Kameike

GRACHANの興行では毎回、プロの試合の前にアマチュアマッチ=GRACHANチャレンジが実施されている。昨年の大阪大会では25試合が組まれていたのに対し、今年は36試合が発表された。昨年の大阪大会開催に関するインタビューでアマチュアの開催について発言していた岩﨑ヒロユキ代表に、GRACHANにとってのアマチュアとは何かを訊いた。


――2度目の大阪単独イベントの開催が近づいています(取材は7月27日に行われた)。

「今回はプロの試合だけでなく、アマチュアの試合についても考えていきたいんですよね。今、GRACHANでもアマチュアの試合が多くなっています。アマチュア大会がどれだけ大事かということを理解していただいたほうが、今後の日本MMAの明るい未来につながっていくと思っていて」

――GRACHANでアマチュアの試合を行っていくという考えは、GRACHAN創設当初からお持ちだったのですか。

「いえ、当初はなかったです。僕も格闘技の大会についてはド素人だったので……。でもプロ興行を続けていくうちに、今後どうあるべきかというものが見えてきますよね。目先のことではなく、数年後のことを見て動いていると。そこで、おそらく日本のアマチュアMMAでエルボーを解禁したのは、GRACHANが初めてだったと思います。
日本のアマチュアMMAは、まずパウンドが認められていなかったじゃないですか。それだと採点も含めてMMAの基準から遠くなってしまう。そこでパウンド有りのアマチュアMMAを始めて、さらにエルボーも認めるようになりました」

――MMA、つまり北米のユニファイドルールですよね。アマチュアMMAでパウンドはもちろん、エルボーを解禁した時の周囲の反応はいかがでしたか。

「GRACHANも最初は地下格闘技系の選手が多くて。どんなルールでもバンバン試合したい選手が多かったので、パウンドもエルボーも抵抗はなかったです。ただ、当時は『GRACHANのアマチュア大会って大丈夫なのかな?』と言われていましたよ(苦笑)。

そのアマチュア大会に、いろんなプロファイターを輩出しているジムさんが選手を出してくれるようになったのは、時代の変化なのかなと思います。やはり北米のユニファイドルールを目指すならパウンドもエルボーも経験が必要だよね、ということで」

――アマチュア競技は、プロの試合以上に安全性が問われるものです。エルボーパット有りとはいえ、まだディフェンス技術の経験が足りないアマチュアでグラウンドのエルボーが有ると、選手が怪我を負うことなどは多くなかったのでしょうか。

GRACHANチャレンジは全てケージで行われている (C)GRACHAN

「GRACHANチャレンジにはA、B、Cと3つのクラスがあります。まずCクラスは、スタンドもグラウンドも顔面への打撃攻撃は無し。Bクラスは顔面への打撃攻撃は認められていますが、エルボーは無しです。

そのBクラスで経験を積んだ選手が、Aクラスに出るというシステムになっています。そうやって段階を踏むことができるシステムのおかげで、Aクラスはほとんどセミプロの選手が多くて。レベルも高くなっているし、選手のレベルという部分では問題がないと思っています。

あとは競技運営側として、危険な状態になれば早くストップするということしかないですよね。レフェリーは梅木良則さんのチームにお任せしていて、そこは徹底されています」

――その点が重要ですよね。競技の安全性は競技運営側が司るものであり、ルールやシステム、さらにレフェリーの動きが大切になってきます。

「もともと格闘技の安全性というものに、矛盾した部分があるじゃないですか」

――はい。MMAでいえば殴る、蹴る、投げる、極めるといった行為が入る競技です。

「するとレフェリングも重要ですし、選手のレベルによってクラスを分けることも大切なんですよ」

――システム上は、Cクラスを経験しないとBクラスには出られないのでしょうか。あるいはBクラスやAクラスから出場可能なのですか。

「そこは選手を出すジム代表の基準にお任せしています。アマチュア修斗とか他のアマチュア大会で経験を積んでいる選手が、結構いますからね。すでにアマチュアで強い選手がCクラスやBクラスに出ると、レベルが合わない場合もありますし」

――キックボクシングではRISEをはじめ、しっかりとクラス分けを行っているアマチュア大会が多いです。しかしMMAではクラス分けに着手するも、出場者が集まりづらいという問題も含めて、なかなか浸透しづらかったという歴史があります。岩﨑代表がアマチュアMMAのクラス分けを考えたのは、いつ頃のことですか。

「2、3年前ですね。Cクラスは、高齢の方でも試合ができるルールになっています。フルコン空手+グラップリングのようなルールで。それだけMMAの試合をやりたい方がいたので、そういった方向けのルールも必要なのかなと思ったことがスタートですね。あと、ルールでいえば全クラスで判定なしにしています」

――判定なし、時間切れドローという決着ですよね。判定決着なしにした理由は何だったのでしょうか。

「アマチュアの試合でもスプリットの判定になることがありますよね。でも、その試合で何が良かったのか、何が悪かったのかは自分で気づかないといけないものであって、第三者が決めるものではないと思うんです。スプリットでも勝ったから良かった--必ずしも、そうとは限らないわけで。

一本やKO決着はあります。決着をつけたかったら自分で行きなさい、そういうルールにしています。これはGRACHANチャレンジがトーナメントではなく、ワンマッチをベースにしているからです。あくまでGRACHANチャレンジは経験の場なので。

ただ、これはワンマッチの考え方です。いずれAクラスで戦績上位の選手を集めてトーナメントを開催することも考えています。トーナメントの場合は、判定決着ありになりますね。ワンマッチとトーナメントは分けて考えていきます」

――なるほど。

「そうやってきたなかで、今回の大阪大会ではアマチュアの試合に85名の応募がありました。近い日程で西日本でも他のアマチュア大会が行われていていますし、今はアマチュア大会が求められているんだなって感じています。もっと多く……日本各地で開催できるようになればいいですよね」

<この項、続く>

■GRACHAN56視聴方法(予定)
8月7日(日)GRACHAN放送局

■ GRACHAN56対戦カード

<無差別級T1回戦/5分2R延長1R>
荒東 怪獣キラー 英貴(日本)
岡本純一朗(日本)

<フェザー級T1回戦/5分2R延長1R>
鍵山雄介(日本)
大搗汰晟(日本)

<ライト級/5分2R>
林 RICE 陽太(日本)
大宮優(日本)

<フライ級/5分2R>
永井美自戒(日本)
小林大介(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
中嶋紳乃介(日本)

<ウェルター級/5分2R>
青木忠秀(日本)
遠塚浩希(日本)

<バンタム/5分2R>
ミランダ亜廉(日本)
安部路人(日本)

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