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【Pancrase328】パンクラスラストマッチ、清水清隆─01─「いつまでもオッサンが上にいるよりも(笑)」

【写真】2008年6月に砂辺光久戦でプロデビュー。6年7カ月振りのパンクラス参戦はキャリア43戦目となる(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE328で、清水清隆が「パンクラスラストマッチ」と銘打たれた試合で佐々木亮太と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2008年にパンクラスでプロデビューし、翌年にはネオブラッドトーナメントで優勝。さらに2010年にフライ級(その後スーパーフライ級に名称変更)KOPを獲得するなど、清水清隆は砂辺光久とともに、パンクラス軽量級の顔でもあった。2017年は修斗を主戦場としていた清水が、今回パンクラスでラストマッチを行うこととなった経緯とは? 試合直前、清水にMMAファイターとしての現在と今後、そしてパンクラスへの想いを訊いた。


――今回の試合が発表された際、「ラストマッチ」という言葉が付いていて驚きました。

「はい。正確には……パンクラスではラストマッチということで、この試合で引退するということではないんですよ」

――そうだったのですね。では、パンクラスではラストマッチと決まった経緯を教えていただけますか。

「パンクラスではプロデビューからたくさん試合をさせてもらいました。ベルトも巻かせてもらいました。でも当時からチャンピオンなのに修斗の選手に負けたりしていて、やっぱりパンクラスの選手たちに迷惑をかけていたと思うんです。

そのあと修斗に出るようになって、もうパンクラスに出ることはないのかなと思っている時期もありました。でも自分のキャリアも終盤になったところで考えてみると、修斗もそうですけど、パンクラスでも試合をして自分の中でケジメをつけたいと思いました」

――試合を控えている選手に訊くことではないかもしれませんが、これからパンクラスでのラストマッチを戦う。そのうえで自身のキャリア自体の終え方は決めているのですか。

「はい。でも、それはまだ言えないです。次の話をするのは、今回試合を受けてくれた佐々木選手にも失礼だし、まず佐々木選手との試合に全力を注がないといけないので」

――確かにそうですね。もともと「キャリアの終盤」については、いつ頃から考えていたのでしょうか。

「平良戦(2020年11月に判定負け)で負けたあたりからですかね。もう潮時かな、って考えるようにはなりました」

――平良戦の前には3試合連続でKO勝ちを収めており、正直なところ清水選手の調子もまた上がってきたのかと考えていました。ただ、だからこそ平良戦のあとの宇田悠斗戦で敗れたことも意外な面はありました。

「そう言ってもらえると嬉しいですけど、やっぱり自分も年齢が年齢なので。MMAの世界も新陳代謝したほうがいいじゃないですか。いつまでもオッサンが上にいるよりも(苦笑)。

確かに3連続KOというのは、結果はついてきていましたけど、調子自体はどうだったかは分からないです。そのあとに勝っていれば続けているでしょうし。やっぱり平良戦と宇田戦で負けたことは、自分の中で大きかったです」

――……。

「結果、続けるか続けないかは、自分の気持ち次第だろうとは思います。どういう言い方が正しいのかは分からないですけど――もっとグレードを下げた試合をしていけば、まだ続けることは可能かもしれない。でもウチ(TRIBE TOKYO M.M.A)はそういうチームじゃないし、自分もそういう選手として指導されたくはないので。

そう考えた時に、自分が思っているグレードで試合をし続けるのは難しいと考えました」

――そこで、もう一度ベルトへ……という気持ちにはなれなかったですか。

「そうですね、うん……そうですね。そこに、しがみついていちゃいけないと思うんです。ベルトっていうのは形や結果として分かりやすいじゃないですか。だから応援してくれている人に対して、またベルトを巻いている姿は見せたかったです。でももう、それは現実的ではないので」

――今回パンクラスのラストマッチを決めたり、キャリアの終盤を考えていくうえで、TRIBE代表の長南亮さんはどのように仰っていましたか。

「自分が宇田戦のあと、柔術の試合に出ていたんですよ。その頃に長南さんから、今後どうするのかって聞かれました。誰かに引退しろって言われたわけではないし、勧められたわけでもないです。そこから自分もケジメをつけるために、MMAの試合に向けて体を作り始めました。

で、自分の閃きというか……パンクラスで試合をしたいと思ったんですよ。それがなければ、坂本靖さんとも会場の受付ぐらいでしか喋ることはなかったでしょうし」

――修斗に出場するようになってから、パンクラスの人たちとは話しづらかったのですか。

「それはありましたよ(苦笑)。TRIBEの選手がパンクラスに出て、そのセコンドや応援で行った時に、会場では話をするようにはなりました。ただ、それは自分がパンクラスに出ていた頃とは違うというか。今回の試合も『お前なんてダメだよ』って言われるかもしれない、なんて思ったり……。でもおかげで、以前のように喋ることができて」

――そこで「どのツラ下げて……」と言うような人たちではないでしょう。

「そうなんです。もちろん、そんなことはないんですよ。でも修斗でもそんなに勝てていなかったし、自分からすれば、やっぱり話しづらかったです」

――それでも最後にパンクラスで試合をしたかったわけですね。清水選手にとってパンクラスとはどのような存在なのでしょうか。

「パンクラスは自分のキャリアを作ってくれて、ベルトを巻いて防衛して――そうやって自分の名前が売れるキッカケを作ってくれた場所ですね。

そのパンクラスで試合をしたいと長南さんに伝えたら、長南さんがパンクラスと話をしてくれて。その結果パンクラスが試合を組んでくれたことは、やっぱり嬉しかったです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
7月18日
午後2時30分~ TIGET LIVE
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE(※第2部のみ)
午後4時30分~ U-NEXT(※第2部のみ)

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