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【UFC ABC03】リッキー・シモン戦へ、16勝0敗=ジャック・ショア「ジャパニーズ柔術が僕のベース」

【写真】バックからのフィニッシュに絶対の自信を持つショア。ニックネームのタンクは、子供の頃のファイトスタイルがタンク・アボットのようだったからつけられたそうだ(C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)、ニューヨーク州ロングアイランドのUBSアリーナでUFC on ABC03「Ortega vs Rodriguez」が開催される。

ヘッドラインはイベント名にあるようにブライアン・オルテガ✖ジャイー・ロドリゲス、ミーシャ・テイトが初めてフライ級に落とし、ローレン・マーフィーと戦う一戦などがメインカードに用意されている。

そんななか群雄割拠のバンタム級戦線でランカー対決13位のリッキー・シモン✖14位のジャック・ショアというマッチアップは要注目だ。スクランブルMMAの権化シモンに対する英国ウェールズ出身のショアは2016年3月のプロMMAデビュー以来、実に16連勝中でオクタゴンでも5つの勝利を挙げている。

2015年にIMMAF欧州ライト級王者となりプロへ、英国MMA界の世界への登竜門Cage Warriorsバンタム級チャンピオンから世界最高峰にステップアップを果たしたショアに初インタビュー──意外にも日本の武道と接点のあることが分かった。


──リッキー・シモン戦が近づいてきました。今の心境を教えてください。

「良い感じだよ。この試合は自分を試す絶好の機会だからね。がっぷり四つで戦う試合になると思う。だからこそ、自分の力が分かる試合になるはずだ」

──ジャックはここまでキャリア16連勝中、負け知らずです。ただし、まだ日本ではどういう選手なのか伝わっていません。MMAやコンバットスポーツとの出会いは?

「マーシャルアーツを習うようになったのは6歳の時で、キックボクシングを趣味で始めた。少ししてトラディショナル・ジャパニーズ柔術の練習もするようになった。キックは10歳で黒帯になり、ジャパニーズ柔術は19歳で黒帯を巻いた。18歳の時にウェールズのノーヴィス・ボクシング王者になったよ。ブラジリアン柔術でも2度のウェールズ王者、3度英国王者になって黒帯だよ。MMAではアマチュアで12勝0敗、最初のIMMAF欧州ライト級王者になった。2015年だった。その翌年にプロにステップアップしたんだ。

6歳の時からずっと、僕の人生はマーシャルアーツと共にあった。カレッジを卒業して、一時期はパートで洗車業をしていたけど3年前からフルタイムでMMAファイター人生を送ることができている。マーシャルアーツこそ、僕の人生だよ」

──ジャパニーズ柔術とは、どのようなスタイルだったのでしょうか。トラディショナルと言う限りは古流柔術の流れをくむものですか。

「いわばコンバット柔術という枠組みに入るモノだと思う。TAIJUTSU-Kaiで学んだ。基本はストリートにおける、セルフディフェンスだよね。武器術もあったし、ナイフやバットなど凶器から身を守る術を教わったよ。

少し競技会的なこともあったけど、殴って投げて。下にならない。相手を制圧するという護身術で、スポーツ的なブラジリアン柔術とは別モノだね。路上の現実を考えたリアルなマーシャルアーツが、僕のベースになっている」

──ルールがあるスポーツと護身は似て非なるものだと思いますが、ジャパニーズ柔術はジャックの今に役立っていますか。

「キックボクシングからジャパニーズ柔術を始めた際に、父も同じ場所で同じ指導者に柔術を習った。そして今、父は僕のMMAコーチでもある。10代を道場の中で、身を守ることを中心に警察官の逮捕術のようなマーシャルアーツを習った。路上なんだから、何でも起こり得る。打撃も絞めも、武器も。今の自分に生きないわけがないよね。

言ってみれば、僕が習っていたのは第1回UFCの頃のMMAだし。道着を着て打撃があり、テイクダウンもあり、そこから殴ってサブミッションも含まれている。自分では分からずに練習を続けていたけど、今となって僕にとってのMMAとはそういう路上の現実を考慮された技術、考え方、精神を受け継いでいる。と同時に身を守る術のなかには、相手を仕留める術が含まれている。間違いなく、僕のMMAはジャパニーズ柔術で学んだものが軸になっている」

──生き残るためには、相手を攻撃することも含まれているということですね。

「そうだね。MMA流にアレンジは必要だけど柔道流の投げ技、それにダブルレッグやシングルレッグ・テイクダウン、腕十字、キムラ、三角絞め、バックを取ってからのRNCと共通点はとても多い。

MMAはグレイシー柔術から誕生したようなモノだし、そのグレイシーに柔術を伝えたのは日本人。つまりトラディショナルな日本の柔術が根底にあるはずなんだ。実際、今言った技はUFCでも今も主流の技じゃないか」

──確かに層の通りですね。と同時にジャックのスタンスは、アップライトでよりキックボクシングに近いようにも見えます。それでいてテイクダウンも武器にしていますね。

「それはテイクダウンディフェンスに自信があるからだよ。そしてムエタイとキックで培った優れた蹴り技を使うためだ。キックを使っても、テイクダウンされる恐れがない。そこを躊躇すると、蹴り技も出せなくなるしね。なんといっても僕はバンタム級では頭一つ抜けて長身で、レンジを遠く取ることがデキる。レスラーはもっと重心が低くなるし、このアレンジが僕のアドバンテージになっているんだ」

──UFCになると対戦相手はディフェンスも優れています。そのオクタゴンでもRNCで2つのフィニッシュ勝利があります。

「僕の柔術は打撃と一体化している。テイクダウンしてから殴り、エルボーを入れてポジションを奪う。トップに行けば、しっかりとコントロールして思い切りパウンドを落とす。攻め込まれた相手は必ず世界を見せるからね。そうなればフィニッシュだよ。

自分の力を信じている。あのポジションになると、UFCでも僕の強さは圧倒的だ。UFCのトップファイターでも、UFC以外の選手が相手でも、僕がバックに回ればサブミットできる。それぐらい得意の形なんだ」

──では今回の相手、リッキー・シモンもベースはレスリング。テイクダウンを奪う数も多いですが、奪われてもスクランブルがお手のモノです。そして下になって、柔術ゲームをすることはまず考えられないです。

「レスラーがテイクダウンされても、立ち上がれば良いという戦いをすると、倒すこともコントロールすることも困難になるのは確かだ。ただし、そうなれば打撃で戦えば良いだけのこと。それにレスリングに関しても、倒す自身と同様に倒されない自信もある。仮にテイクダウンを奪っても、彼が柔術ゲームを嫌がりすぐに立ち上がろうとするなら、それこそ僕にとってバック奪取の絶好の機会だよ。リッキー・シモンが仮にスクランブルゲームを仕掛けてくるなら、僕はただ背中を取るだけさ」

──2人の試合が、本当に楽しみになります。ここでランクで一つ上のリッキー・シモンを勝利すると、層の厚いバンタム級で次はどこをターゲットにしますか。

「UFCバンタム級は本当にタフだ。だからこそ遣り甲斐がある。トップ5、トップ10と戦っていきたいのは確かだよ。でも、そうならなくてもバンタム級で戦うことはとても楽しい。だからこそ急ぐことなくキャリアを積み上げていきたいと思っている。ただし、今回の試合にリッキー・シモンに勝てば、年内にはトップ10にはなれるんじゃないかな」

──では最後に日本のMMAファンに一言お願いします。

「日本のファンが僕のことを認識しているか分からないけど、ここで知ってくれた人がいたら僕の試合を楽しみにしてほしい。日本の伝統的な武道を学んだ人間の生き方を見て欲しい」

■視聴方法(予定)
7月17日(日・日本時間)
午前0時00分~UFC Fight Pass

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