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【RTU ASIA2022】勝っても笑わない男?! 風間敏臣─01─「思い描いていた人生が、見えてきた」

【写真】目力が強い──風間(C)MMAPLANET

6月9日(木・現地時間)、シンガポールはカレンのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるRoad to UFC ASIA Episode01で風間敏臣がクルムアリ・マイマイティトゥハティと戦う。

柔術家として将来が嘱望されていた風間は、MMA転向を果たすとデビュー戦こそ敗れたものの、その後は9連勝を達成した。しかし、4月のPOUNDSTORMでが齋藤奨司に跳びヒザで敗れる。ここからRoad to UFC出場が決まった風間だが、MMAPLANETでは彼を初インタビューし柔術時代からUFCに転じるまで。そしてRoad to UFC出場に向けて話を聞くと、風間の目指す格闘家像──いやプロ格闘家像が浮き彫りになってきた。


──なかなか取材のタイミングが合わず、風間選手はMMAPLANETでインタビューをさせていただくのは初めてとなります。風間選手といえば柔術からMMAに転向し、その組み技の強さでネオブラ優勝、そして石渡伸太郎選手の引退興行~継承~ではバンタム級ワンナイト4人制T優勝と結果を残してきました。そもそも柔術を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「高校3年生まで柔道をやっていて、寝技が好きで。柔道で強くなるために、その寝技をもっと強くする。柔道の寝技が強くなるにはどうすれば良いかを調べて、ブラジリアン柔術を知りました。近くに柔術道場がないかを調べると土浦の近くのかすみがうら市にストライプル茨城、自分の家がある水戸にR-BLOODがありました。どちらも見学に行かせてもらったのですが、ストライプル茨城は柔術に特化していたのでお世話になった形です」

──水戸と土浦、まま離れていないですか。

「ハイ。ただ高校が土浦だったので。部活が終わったら5キロぐらい自転車で移動して、柔術をやって。終わったらまた5キロ戻って、駅に自転車を止めて電車で1時間かけて帰宅していました(笑)」

──土浦で柔道をいえば、もうどこの高校が分かりますが、柔道の戦績はどのようなモノだったのですか。

「高校は県でベスト8程度です」

──十分に立派かと思いますが……。

「中学の時は3位だったので、全然大したことないです」

──柔術を学ぶようになった成果を感じることはありましたか。

「あったとは思いますけど、結果では出ていないですね(笑)。だから大学で柔道という考えもなくなり、つくばの自動車整備の専門学校に進み柔術を続けました。柔道よりも柔術の方が得意だなって感覚があったので、得意なことを続けようと思ったんです」

──柔道は生活の糧にできるというか──就職をすることも可能です。一方で柔術はほぼそうはいかない。そういうなかでどのように柔術と向かい合っていたのですか。

「趣味ではなく競技としてやっていました。最初は整備士の資格を取ろうと考えていたのですが、柔術を続けて世界大会とか見えてきて。柔術ですぐに食べていくことはできなくても、世界まで行けば食べていけるというのはザックリとしてですがありました。そこを目指したいと思っていました」

──ではカルペか、IGLOOだと思いませんでしたか(笑)。

「アハハハハ。あのときはまだIGLOOは、それほど出てきていなかったです(笑)。専門学校を卒業するまでストライプル茨城に所属し、それからは兄が川崎に住んでいでパラエストラ川崎に通っていてので、自分も北出(拓也)先生の指導を受けるようになりました」

──そして2018年と2019年にアジア選手権紫帯ライト級優勝を果たしました。それでもMMAに転じたのは?

「2019年のガナビー杯の準決勝で岩本健汰選手と当たった時に足関節を取られて、右足のアキレス腱を切ってしまいました(※試合はパスを決めて勝利し、トーナメント自体優勝を果たした)。それで半年ぐらいかけて直して、右足に関しては足関節対策をメチャクチャしたんです。そうしたらアジアの決勝で、韓国人選手(チョ・デヨン)に左足をストレートフットロックに取られて靭帯を切られました(笑)。『左足はやってねぇよ(笑)』って。また練習できない期間があって、自分のなかでは、柔術での未来が見えなくなっていました。その時に色々と考えて……、相談させてもらった方から『MMAをやってみたら』という風に言ってもらい、この道を進もうと決めました」

──ストライプル茨城の井上和浩代表は元MMAファイター、修斗のトップ選手でした。井上代表からMMAを勧められたことはなかったですか。

「最初の頃にありました。『打撃やれよ』っていう風に。でもストライプルに入門する前から母親から『打撃だけはやらないでほしい』と言われていたので、ずっと断っていました」

──ノーギの方は?

「ノーギも触れていないです。MMAに来るまで一切触れなかったです。柔術を専門的に教えてもらいました。ずっと柔術で行こうと思っていたので。だから、MMAに転向しようと決めるまで、MMAのことを真剣に考えることもなかったです。TVとかでやっているのを本当に一般人として眺めていただけで。選手個人について、興味を持つこともなかったですし」

──なるほどぉ。それでもMMAに転向した際には、風間選手の持つ柔術の技術が生きると思ったのでしょうか。

「う~ん、なると思っていました(笑)」

──ではHERTSで練習をするようになったのは?

「相談させてもらった時に、電車に実家に戻りながらずっと考えて……『やるなら決めてしまおう』と。両親とヒザを詰めて話し『やらせてくれ』と頼みました。母は本当に反対していました。でも父親が説得してくれた感じで。

相談に乗ってくれた方にMMAで行くことを決めたと話した時に、いくつかジムをリストアップしてくれていて。その流れで『一度、HEARTSを見に行こうか』という話になり、初めて大沢さんと話をして……そのままHEARTSに決めました」

──大沢さん、柔術で強い選手がHEARTSに入ったと喜んでいました。

「そうなんですか(笑)」

──その時はどのようなスタイルのMMAファイターになろうと考えていたのですか。

「どういうっていうのはなかったのですが、取りあえずは柔術を生かしていこうと思っていました。ただ練習を始めると、まるで別モノで。全然上手くいかなくて。掴めないですし、下からの攻めって相手が突き放してくると成立しないじゃないですか。1年ぐらいかけて、寝技を修正しました。常にトップゲームを意識して練習するようになりましたね」

──高校時代からやってきた柔術は、トップを取ると生きましたか。

「いえ、生きているのは今ですね。柔術でもトップの練習をしていなかったので、ゼロスタートのような感じでした」

──トップからの攻めすらMMAを始めてから!! それでも短期間で、フィニッシャー振りを発揮するように!!

「そうですね、極めは柔術の時から『極めないと負け』というのはありました。MMAに必要な練習をしてきて、形になってきたので柔術の経験が生きるようになってきたんじゃないかと自分では思っています。柔術時代は引き込んでいたので、レスリングも大沢さんから『一からやれ』と言われて、言葉通り一からやってきましたし」

──道着の練習は今も続けているのですか。

「ハイ。北出先生とプライベートでさせてもらっています。今は柔術の時より、道着の練習でもトップを意識してやっています」

──MMAファイターに道着の練習は有効でしょうか。

「必要だと思います。必ずしも柔術でないといけないかと言われると、そうではないかもしれないです。でもMMAに寝技は含まれているので、MMAにおいて柔術は一つのツールになる……必要な部分だと思います」

──そんな風間選手に一つ、どうしても伺いたいことがありました。

「ハイ」

──Road to ONEぐらいから試合を撮影させてもらってきたのですが、勝っても喜ばない。憮然とした表情ばかりなので、アレはどうしたことかと。今日、初めて話をさせてもらって笑顔が見られてホッとしたほどで(苦笑)。

「アハハハ。笑っていないですか? 試合後はホッとしているのもあるんですけど、自分が思い描いたように戦えなかったからだと思います」

──ネオブラで優勝した時も、怒っているように見えました。

「あの試合はバックを取られて接戦になってしまって……。バックを取り、コントロールして削るという試合がしたかったのに。それがずっと相手に立たれ続けて、コントロールできなくて。結果、自分が削られて。勝っても、全然嬉しくなかったです(苦笑)。負けた時ぐらいの気分で。あの試合は本当に悔しかったです」

──その後の継承バンタム級Tでも優勝しましたが、デビューから今回のRoad to UFC出場が決まるまで、プロMMAファイターとしてどこを目標にしていたのですか。

「格闘家として食べていくというのは、変わらぬ目標です。今はアルバイトをしながら格闘技の練習をしているので、プロ格闘家とは言えないと思っています。とにかく食えるようになりたい。そのなかでRoad to UFCという話をもらって、凄いチャンスだと捉えています。自分が思い描いていた人生が、叶うところが見えてきたので」

──大沢さんから風間選手は戦う団体を問わない。条件の良い大会で戦っていくと伺ったことがありました。

「アハハハハ。そうですね、何て言うのか……ファイトマネーが高いところで戦うっていう風にあからさまに言ったことはないかと思うんですけど(笑)。自分はどこかのチャンピオンになりたいというわけでなく。本当に食うためにMMAを戦うので、少しでも自分の生活が楽になるなら、その条件を出してくれるところで戦います」

──ケージだ、リングだという思想も持たない?

「持たないですね。早く格闘技一本で生活をしたいので」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
6月9日(木・日本時間)
午後3時30分~ABEMA格闘Ch

Episode01
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode02
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

6月10日(金・日本時間)
午後3時30分~ABEMA格闘Ch

Episode03
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode01
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode01対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
SASUKE(日本)
イー・チャア(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
パラチン(中国)
キ・ウォンビン(韓国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
クルムアリ・マイマイティトゥハティ(中国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
ラマ・スパンディ(インドネシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
チャン・ミンヤン(中国)
トゥコ・タクコス(ウクライナ)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode02対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
キム・ミンウ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ホン・ジュンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
ウォーレン・デルロサリオ(フィリピン)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アイリヤ・ムラトベク(中国)
パワン・マーン・シン(インド)

<フライ級/5分3R>
ショーン・エチェル(豪州)
内田タケル(日本)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode03対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
シェ・ビン(中国)
イ・ジョンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
堀内佑馬(日本)
トップノイ・キウラム(タイ)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
宇佐美正パトリック(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
ググン・グスマン(インドネシア)

<女子ストロー級/5分3R>
ソ・イェダム(韓国)
ジョセフィン・クヌトゥソン(スウェーデン)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode04対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
野瀬翔平(日本)
ウリジブレン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
アスクルバイ(中国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ルー・カイ(中国)
アンガ・ハンス(インドネシア)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
パク・ヒョンソン(韓国)
ジェレミア・シレガー(インドネシア)

<ウェルター級/5分3R>
ジョン・アダハー(フィリピン)
キム・ハンソル(韓国)

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