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【UFC274】アルティメット・ダンスorシャドー? 摩訶不思議なナマジュナスを下しエスパルザが新王者に

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
カーラ・エスパルザ(米国)
Def.2-1:49-46.48-47.47-48
ローズ・ナマジュナス(米国)

遠い距離を取る両者。手も足も届かないレンジで、両者が動く。ジリジリと近づき、サッと離れるというなか、2分50秒を経過し、初めてエスパルザの左が届く。ここまでローがないMMAも珍しい。ナマジュナスはダブルのジャブをタッチ、ここからまた足を使う。エスパルザはローを当て、前蹴りは空を切る。ナマジュナスはとにかく距離を取り、自ら手も出さない。テイクダウンを注意したとしても、ここまで手数がない戦いも稀だ。

相手が手を出さないのでも、バックステップで3歩下がるナマジュナス──このまま距離を詰めることなく、初回が終わった。

2R、左ジャブを伸ばしたナマジュナス。一旦離れて、来いという姿勢を見せる。下がりつつ、誘ってから右ストレートを放ったナマジュナスに対し、距離を詰めたエスパルザがシングルレッグでテイクダウンに成功する。5R制を考慮してか、組みを続けず簡単にスクランブルを許したエルパルザは、ここは僅かながら攻勢点を獲得しているか。

さらにエルパルザは間合いの測り合いのなかで、左フックを当てる。それでも距離を詰めないチャンピオン。届かない位置で、さらに下がる動きに大ブーイングが起こる。ジャブを見せ、左右に回るナマジュナスの狙いは何なのか。エスパルザも自然、不気味なナマジュナスを相手に様子見が増え、距離を詰めきることができず最後に右前蹴りを見せた。

3R、左ジャブを伸ばすナマジュナス。ここも届かないが、右ローを届かせる。挑戦者を間の前ににしてシャドーを繰り返すような王者は、ダブルレッグを切り左を振るう。左右のショートから前に出たエスパルザがテイクダウンを奪い、即スクランブルに。立ち上がった際の近距離でも、パンチが当たらないチャンピオン──頭を振って前に出て左アッパーを狙う。エスパルザは組みを繰り返し、そこに左を打っていくナマジュナスはステップインに右を合わせる。

左ジャブでスリップしたナマジュナスが、スーパーマンパンチをバックステップでかわす。エスパルザのテイクダウンを回ってかわすナマジュナスは、組んで切るという展開をも徹底して避け、またも見続けるお見合いとステップと、フェイクの5分を終えた。

4R 組んでクラッチできる距離に入らせないための打撃、そのために離れるナマジュナスは、エスパルザのテイクダウンを狙いを切る。とエスパルザは左ジャブに一気にダブルレッグを仕掛けてテイクダウン、スクランブルにバックに飛び乗るが前方に落とされる。

この攻撃を許したことで、ポイントで確実にリードされたナマジュナスだが、前に出ても拳が届く距離に留まることはなく、組まれて突き放すという戦いを続ける。右フックで踏み込んだナマジュナスだが、エスパルザはダブルレッグからバックに回り後方に投げる。バックを取られた王者は、前転から離れてエルパルザの立ち上がり際に右を振るう。

恐らくは倒すという意志の下で、初めて放たれたパンチ。距離を取り直したナマジュナスは右を伸ばした際にスリップした。

「全ての場所で勝っている。世界で最高の選手だ」という催眠術のような指示を送るナマジュナス陣営。ここまでポイントで勝っていることは考えられないが──このままで良いということか。

最終回、ナマジュナスが右を当て、ダブルレッグを突き放す。素早いジャブから、右オーバーハンドをナマジュナスが入れる。ワンツーに左を打ち返したエスパルザは、それでも大きく回るチャンピオンを相手に、右ローを蹴る。テイクダウンのフェイクからエスパルザが左を放つ。ナマジュナスは左前蹴り、続いて両者の右が交錯する。

左から右を見せたナマジュナス、ようやく普通の試合の1R序盤の手数になったか。さらに右を2つ伸ばすが、この攻撃で留まるというこはポイントで勝っているという計算か──それとも、既に勝利を諦めているのか。ナマジュナスはニータップを仕掛けるが、エルパルザは反応する。最後の5秒でテイクダウンを決めたナマジュナスは、タイムアップともに両手を広げて勝利をアピールした。

結果、エスパルザがスプリット判定勝ちを収めるも、このコールにナマジュナスは表情一つ変えなかった……。摩訶不思議な王座奪取劇。「ジャッジがどう判断するか分からないけど、私は前に出ていた。皆、エキサイトな試合を望んでいて……私はできることをやった」と来週に結婚式を控える新チャンピオンは話すも──ファンの祝福を受けることはなかった。とはいえ、エスパルザからあれ以上試合を能動的に動くことは何もしない相手にチャンスを与えるだけで、これ以上の創りは難しい試合だっただろう。


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