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【HEAT50】笹晋久と危険な引退試合、春日井たけし「心が折れるようなところは絶対に見せたくない」

【写真】覚悟が決まっている――そんな春日井の表情だった(C)MMAPLANET

7日(土)、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催されるHEAT50で、春日井たけしが笹晋久と引退試合を戦う。

昨年10月にRIZIN LANDMARKで今成正和の腕十字で敗れ、春日井は引退を決めた。12年半のプロキャリアに何も未練はなく、もうMMAを戦うことはないと晴れ晴れとした表情で語っていた。

その春日井がホームであるHEATの50回大会で最後の試合に臨むこととなった。エキシビションでなく、実戦でという彼の想いこと、その格闘技感であり生き方に通じる。現役ラストインタビューもまた、春日井らしさが詰まった言葉が聞かれた。


――春日井選手、もう「選手」と呼ぶことはないと思っていたのですが……。

「いやぁ、本当に……。去年、今成さんに負けて引退を決めた時、もう1試合するなんて思っていなかったです。正直、相手が強いし……大丈夫かなぁって(苦笑)」

――引退試合をする予定はなかったですよね。

「ハイ。そのつもりはなかったです。ただHEATにとって50回の記念大会で、志村館長からエキシビションの要請があったんです。正直なところ、僕はエキシビションがあまり好きではなくて。アマの大会でヒロ・ヤマニワとやったことがあるのですが、それはアマの大会だったので……プロのケージのなかで、エキシビションはやりたくなかった。そんなのでチケットを売りたくなかったので。

今成さんとの試合でファイターとしての気持ちは、プツンと切れていました。でもケージに入るならちゃんと試合をして、その姿をチケットを買ってくれる人たちに見せないといけないと思ったんです。50回大会でエキシをやるなら、もう1試合やりますと館長に話しました」

――エキシをエキシと公表して実施することは、全く合点のいくことです。でも、その選択も春日井選手らしいですね。

「ただ対戦相手については、どうせなら若い子が僕を越えていくような試合にしたかった。僕はUFCに行きたかったけど、できなかった。そこを行ってくれるような若い選手と対戦して、厳しさを教えることができるか。それか乗り越えられてしまうか。キャリア5勝0敗のホープとかと戦いたくて公募をしたのですが、ちょっと思惑は外れたというか……。

応募してくれた選手には失礼なのですが、志村館長もちょっとこの戦績では思ったような試合にならないと判断せざるを得なくて。結果、館長の方が対戦相手を探してくれることになって、4月の12日に会見のあった日ですかね――笹選手と戦うことが決まりました」

――そのような経緯があったのですね。っそいてフェザー級契約ですね。

「フェザー級は初めてです。笹選手は元もフェザー級で大きいと思います。実力のある選手で……年齢的に僕が望んでいた感じではないのですが、キャリアのスタートが遅かっただけで7勝2敗という立派な成績ですし、強さも分かっているつもりです。もうガチの試合になりますね(苦笑)」

――その苦笑いは?

「ガチすぎるので……(苦笑)。最後の最後もホントのガチだなって」

――春日井選手の技量がこの数カ月で大幅に落ちることはないでしょう。ただし、笹選手からすると絶対に負けられない試合です。より負けられないはず。そういう相手と戦うのは、正直なところ危険な試合になってしまわないかという危惧があります。

「正直、腕のケガもあったので練習を始めたのは2月になってからです。でも戦える状態には持ってきています。スタミナも問題ないです。最善は尽くしますし、気持ちの面に関してはスタミナ以上に問題ないです」

――これで最後だと思うと、練習をするときにも感傷的になったりはしなかったですか。

「そこはないと断言します。引退はしても、指導をする上である程度以上の強さを保っていないと、選手を育てることはできないです。だから引退はしても、練習を続けるつもりでいますし、強さを保つために彼らと同じように動けるようにしておこうとは思っていたので。

ジムの選手、透輝鷹や(村元)友太郎も出稽古に来てくれています。練習仲間にとって、僕が基準になる力は保っておくつもりですし。だから練習もそうだし、試合で感傷的になることはないです。それは1つの試合、自分を出し尽くしたいと思っています。相手あってのことですから、試合当日にならないと分からないですがけど……僕は何もないところからMMAを始めてここまでやってくることができました。だからMMAの神様にお礼が言えるような試合にしたいです」

――それが最後の試合ですべきことだと?

「無難なことを言えば、僕がこれまでやってきたMMAを出せれば良いかと思っています。勝ち負け以上に、最後まで出し切りたい。そういうつもりです。

受けた試合です。これまではどれだけケガをしようが勝ちたかったです。今はケガはなるべくしたくないという気持ちがあることは隠せないです。でも、受けた以上は全力で戦います。ここで大けがをしてもしょうがない――それぐらいの気持ちでいます。

これまで僕を応援してくれた人たち、これからも一緒にやっていく人たちに心が折れるようなところは絶対に見せたくない。だから、多分……ケガをするんですよね(笑)。でも精一杯やります」

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