【Pancrase327】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(07)鶴屋怜「出稽古は覚悟を決めないとできない」
【写真】取材時点では超グリーンアッシュ。立川のケージでは何色になっているのだろうか (C)MMAPLANET
29日(金・祝)、東京都の立川ステージガーデンにて開催されるPancrase327で、鶴屋怜が秋葉太樹と対戦する。
昨年2月にDEEPでプロデビュー、3連勝で戦場をパンクラスに移すことを決めた。その直後に平良達郎のUFC行きを成立させたイリディアム・スポーツ・エージェンシーとの契約が決まった怜は、今後に対してどのようビジョンを父・浩とともに持っているのか。
2022年、春~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第7弾はUFCしか、その視線の先にない19歳、鶴屋怜に訊いた。
──パンクラスで初ファイト、そしてイリディアムとの契約も発表された鶴屋怜選手です。イリディアムとの契約が成った時は、どのような気持ちでしたか。
「ここから世界と戦っていくんだなという気持ちになって、ワクワクと不安が半々のようになっていました」
──不安というのは?
「いずれそういう風になりたいとは考えていたのですが、現時点では早いとも感じているので。でも、契約してもらったのでそんなこと言っていなくて、どんどん強くなって戦っていこうという風にはなっています」
──イリディアムと契約したことで、キャリアップの変更点はありますか。
「特に今のところはないです。取りあえず次の試合がパンクラスであるので、そこで勝つことに集中しています。その後は巡ってきたチャンスにはトライしようと思っています」
──まだ公にできてないですが、6月にはシンガポールでRoad to UFCが開催されます(※取材は4月5日に行われ、22日にRoad to UFCが正式発表された)。その辺りを考えることは?
「最初はイリディアムの方から米国のコンテンダーズ、次にシンガポールのRoad to UFCの方でプッシュするという話はありましたが、そこも早過ぎるので断ろうという考えでした。ただオファーがあるかどうかはUFC次第ですし、さっきもいったようにチャンスがあるならトライしようという風に思うようになりました。
技術的に成熟する時と、選手の勢いは時期が同じじゃない。父と話していて、勢いがある時に話があればチャレンジすべきだと考えるようになりました。父も僕はこれから強くなり、巧くなっていくだろうけど、勢いというのは重要だろうと。ただ正式な話ではないので、今はパンクラスで勝って、パンクラスでチャンピオンになるということを考えています」
──ではイリディアムと契約したことで、秋葉戦への意気込みに変化は起きましたか。
「いえ、そこと関係なく力の差をつけて勝つつもりでいることは変わりないです」
──なるほど。では3月の最初にゴング格闘技用に話を伺った時に、まずはジムのなかで強い先輩を越えないといけないという発言がありました。しかし、その対象であった岡田遼選手が修斗世界バンタム級王座を失いました。あの試合を見て、想うところは?
「安藤選手には勢いがあって強い選手なので、一発入ればそういうことはある。それがMMAだと思います。ただ、自分の中では岡田さんが負けて悔しいという気持ちしかないです。ジムの先輩が負けた……それは自分が負けるのと同じように悔しいです。
岡田さんの試合が終わった後、父に『あのベルト、俺が取り戻した方が良いのかな』って言いました。僕にはUFCの世界チャンピオンになるという夢がありますけど、そこを成し遂げてキャリアの最後に日本に戻ってきて、修斗世界バンタム級のベルトを獲る。そういう目標が一つ加わりました」
──なるほど。いや、浪漫です。それと前回に話を伺った時に『世界、世界っていうけど俺ほどの本気度はない』とUFCと口にする選手に対し、なかなかの口調で話していました。それが締め切り前にEXFIGHTに出稽古に行き、仲良く写真に収まっているのを見てずっこけました。
「アハハハハ。中村倫也選手と練習させてもらって普通に強くて……。倫也選手は年齢なこともあり、次の対戦相手(※4月24日のPOUNDSTORMで勝利したアリアンドロ・カエタノ)が強いというのもあって、本気でUFCを狙っている。そこに賭けているというのは伝わってきました」
──年下の鈴木崇矢選手は、いかがでしたか。
「17歳ですよね。17歳ということを考えると良い動きです。ただ、強くなれるかどうかは彼次第です」
──ライバル意識を持つことはない?
「倫也選手はバンタム級で階級が違うので、ライバル意識を持つことはないです。練習をしてくれる仲間のような感じで。ただフライ級の選手だと、そういう意識を持つこともあるかもしれないです。倫也選手は身体能力が高くて、これまでやったことがない練習ができて。本当に良い練習ができています」
──UFCに行くと口にしている選手たちとの練習は、同志ができたような気持ちになるのでしょうか。
「別にそうはならないです。普通に話はしますけど、友達を創りに行っているわけではないですし、良い練習をしたくて行かせてもらっていて。だから自分もEXFIGHTの選手にとって良い練習相手になれればと思っています」
──アハハハ。もう忖度しないのが心地良いです。
「これまで自分のジムだけで練習していたのですが、今は出稽古を増やすようにしました。そのなかでEXFIGHTで練習させてもらっていて、倫也選手やパトリック選手、鈴木崇矢選手が受け入れてくれたことは感謝しています」
──出稽古先を増やしたというのは?
「やっぱり初めて練習する時とか、緊張感が違います。あの感覚は選手の強度や巧さとか、いうと強さに関係なくても良い練習になるというか……」
──どう来られても文句は言えない。対応するのが出稽古ですね。
「やっぱり舐められるかっていうことで、本気で当たって来てくれます。出稽古は覚悟を決めないとできないと思っています」
──鶴屋怜に負けてたまるかと掛かって来る選手もいるでしょうし。
「そう思っている人もいるかもしれないです(苦笑)」
──ではEXFIGHT以外では、どこで出稽古を?
「K-PLACEですね。軽量級の選手が多いので。それとSTFでも箕輪ひろば選手とスパーリングがしたくて行かせてもらいました」
<この項、続く>