【IRE06】掌+踵+金網=三重苦の今成正和戦に挑む、石黒翔也─01─「掌底があることをチャンスに変える」
【写真】指導を終え、自宅に戻った午後11時にインタビューに応じてくれた(C)MMAPLANET
10日(日・祝)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオで開催されるIRE06のメインで、2021年のJBJJF全日本選手権黒帯ライトフェザー級を制した石黒翔也が今成正和と戦う。
2020年から柔術で負け知らずの石黒だが、ノーギの経験は今大会のプロデューサーを務める高橋SUBMISSION雄己と戦った昨年7月のQUINTETのみ。当然、掌底有りのコンバット柔術ルール、さらにいえばケージも初体験という石黒は未知の領域で、この手の戦いの国内トップファイターと掌を合わせることになった。
ヘレン・ケラー・ファイト、三重苦に立ち向かう石黒にインタビューを行った。
──来週月曜日にIREのコンバット柔術ルールで今成選手と戦う石黒選手ですが、ファイトウィークになっても指導などお忙しそうですね。
「実は今日と明日、KIDSキャンプという冬休みのキャンプをやっていまして。それが午後1時から4時まで、通常の指導時間以外に入っているのと、午前中はIREに向けてのグラップリングの練習とプライベートレッスンがありました」
──なので終日、取材時間が取れずと。いやぁ、お疲れ様ですという一方で4日後に試合を控えていて(※取材は1月6日に行われた)、そのハードスケジュールで体を休めることができますか。
「インストラクターが僕の仕事で、試合に出ること……選手として生きているわけではないので、試合前なので自分の仕事を減らすことはないです。それでも道場の人は色々と気に掛けてくれていますし、今回の試合の前々日まで普通に仕事をして、日曜日はインストラクター仲間がKIT04に出場するので、計量後にセコンドに就きに行きます(笑)」
──いやはや……。
「タイトではあるのですが、それがキツイということはないです。僕にとって柔術の指導は楽しいことなので、精神的なストレスも本当になくて。だから試合に影響することもないですね」
──前日計量の68キロだと、柔術でライトフェザー級の石黒選手は減量が必要なのでしょうか。
「全然ないです。普段から66キロなので、減量もないですし何もストレスがない。道着抜きで62キロにしないといけないライトフェザー級の試合の時は、5キロほど落とす必要があるのですが、その時でも仕事に影響をすることはなく同じようにやっています」
──とはいえ、今回の試合は石黒選手にとって自分はヘレン・ケラー、三重苦マッチと呼んでいるんです。
「ヘレン・ケラー? どういうことですか」
──掌底、ヒールフック、そしてケージです。
「あぁ……なるほど(笑)」
──まず打撃を使った格闘技経験はありますか。
「1度もないです(笑)」
──それでも胸ぐらをつかんで取っ組み合いをしながら殴るという子供時代の喧嘩や、付き合っていた女性に頬を張られるとかあるかと思います。でも、グラウンドで掌底っていうのは経験するはずないですよね……。
「アハハハハ。今回の試合に関しては高橋Submission選手にルールを確認して、実際に練習もやってみました。打撃って練習しないと、目が追いつかなかったです。柔術は掴む競技なので、相手の動きをコントロールできるのに対し、打撃は腕が浮いているのでどこから飛んでくるか分からない。
あっ、打撃の1度もないと言いましたが、体験でキックをやったことがありました。元々はMMAをやりたくて12歳の時から柔術を始めて……。PRIDEやDREAMを見て、MMAで勝つことを目標にしていたので、その時に(笑)。でもすぐに柔術にどっぷりとハマったので、それ以来人を蹴ったり殴ったりしたことはなかったです。
ただ元々の気持ちがそこだったので、打撃有りをやってみたいという気持ちはどこかに残っていたんだと思います。その点、コンバット柔術はグラップリング主体で掌底があるというルールなので、今の僕でもやっても良いかと思ってオファーを受けたんです」
──MMAではないと。
「そうですね。MMAを近々に出たいという気持ちはないです。柔術のインストラクターとして生活を成り立たせているので、打撃とか他の分野の練習量を増やすことは難しいですし。コンバット柔術も十分に危ないとは思いますが(笑)、MMAより寝技が生きるルールで自分に勝機もあるので、楽しみです」
──柔術やグラップリングよりも、下になるとダメージを受ける危険性が増します。今成選手の上攻めもあまり想像できないのですが、コンバット柔術に出ることで試合スタイルを変えることはありますか。
「結構、掌底があることをチャンスに変えることができると思います。腕が伸びるし、その分態勢も崩れます。グラップリングはガンガン動く試合がある一方で、もの凄く膠着する試合も存在します。それって腕を引いて、アタックしてこない選手の試合ですよね。でもコンバットは掌底があって、手を伸ばすということはアグレッシブに攻めてくることなので。そういうアグレッシブな試合が得意なんです」
──しかし、ノーギでヒールもあります。
「ハイ。僕はこれまでノーギをやってこなくて、QUINTETの高橋選手との試合が初めてのノーギでした。でも、あのルールはヒールがない。実はこれまでもグラップリングの試合に何度かオファーを貰っていたのですが、ヒールがあるから断って来ていたんです。
でもグラップリングはヒールがないとダメだと感じるようになり、QUINTETが終わってからグラップリングの練習をする時はヒールをガンガン仕掛けてもらうように変わりました」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
1月10日(日)
午後7時00分~ABEMA格闘チャンネル
■対戦カード
<68キロ契約/7分1R>
今成正和(日本)
石黒翔也(日本)
<63キロ契約/7分1R>
倉本一真(日本)
寒河江寿泰(日本)
<65キロ契約/7分1R>
魚井フルスイング(日本)
村田卓見(日本)
<51.5キロ契約/7分1R>
杉内由紀(日本)
石黒遥希(日本)
<無差別級/7分1R>
ジェイク・ムラタ(日本)
清水俊一(日本)
<65キロ契約/7分1R>
福山祐平(日本)
大嶋聡承(日本)