お蔵入り厳禁!!【IRE05】10日のコンバット柔術イベントのガイドラインに――寒河江寿泰✖杉本孝─02─
【写真】会津藩御留流――御式内?! こんな間合い、格闘技にあるのか? グラップラー同士のコンバット柔術創世記に見られた史実(C)MMAPLANET
10日(日・祝)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオでIRE06 が開催される。そこで倉本一真とコンバット柔術で対戦することが発表された寒河江寿泰が昨年7月のIRE05 =コンバット柔術70キロ級Tで優勝した直後に準決勝で対戦した盟友・杉本孝とともにコンバット柔術の魅力と課題について語り合った対談後編。
お蔵入り厳禁――6日後の日本初といっても過言でないコンバット柔術ワンマッチ大会を前にして、ガイドブックとなる両者の話をお届けしたい。
<寒河江寿泰×杉本孝対談Part.01はコチラから>
――グラップリングとレスリングの違いは、立ち技が続くとグラップリングはアクションが少ない。コンバット柔術も同様でした。
杉本 ハイ。立ち膠着が起こるぐらいなら、どちらかが下になって極めを狙う。それがこの競技の本質だと思います。
寒河江 立ち技が60秒続いた結果がじゃんけんでサドルだと、勝っても……有利すぎるだろうと思います。
ここはヒザ立ちから仕切り直しとかでも良いので、違う形になってほしいですね。じゃんけんで有利・不利があそこまでハッキリしてしまうのは……やはり気になります。
杉本 それまで攻勢だった方をレフェリーが選び、下か上かを選択させて寝技で再開とか。
寒河江 ただ同時にサドルや50/50を普段からやっている選手なら、そこまで危ういポジションでもないんですけどね。
――MMAとグラップリングの接点ということを考えると、あまりにもグラップリング側が有利で。しかも、その決定がジャンケンだと博打的になってしまいます。
寒河江 MMAの選手は、そこの練習に時間を割いていないでしょうしね。
杉本 柔術家もやっていないですよ。
寒河江 今成柔術が優位になりますね(苦笑)。
――今大会の雰囲気としては掌底が見られると、笑い声が挙がっていたのは気になりました。
寒河江 危ないんですけどね。痛いし、笑いごとじゃないって。
杉本 それがパンチと掌底の差なのでしょうか。掌底は音がパーンっていう感じで出て。効いているのか効いていないのか分からないけど、音は凄い。そういう空気が笑いを誘っていたのかもしれないですね。
――それは杉本選手がお尻とか太ももをパチパチと叩くからですよ(笑)。
杉本 完全にヒールですね(笑)。でも、こればっかりは経験がないので、掌底の距離感も分かっていなかったので、やってみないとどうなるのか想像がつかなかったです。
寒河江 自分の手も痛いことが分かりました。
杉本 顔と腹は効くかもしれないですけど、足とかはダメージを与えることはできないですよね。ただ掌底を使って意識を散らすとか、そういうことができるのかと思ってトライしてみました。
――今回は今成柔術、もしくはトイカツ東中野周辺の選手の出場が多かったですが、本場のコンバット柔術ではロベルト・ヒメネスとういIBJJF柔術の猛者が優勝したりもしています。IBJJFルールで戦っている柔術家の出場は期待できるでしょうか。
寒河江 どうですかね……見ていると笑い声が起こっていましたが、やると怖いですからね。
杉本 やはり練習で掌底を試すのと、試合になると感覚が全く違っていました。痛いし、それだけ怖い。
寒河江 長野(将大)選手の掌底なんて、本当にやばいですよ。あとカルペ芦屋のタツノスケ選手の掌底も……村田(卓実)さんが相当に効かされていました。
杉本 タツノスケ選手は途中で打つのを止めてスタミナ・セーブをしたように見えましたけど、セコンドがいれば打たせ続けてTKO勝ちしていたかもしれないです。
寒河江 生田(誠)さんも、相当に長野選手の掌底で頭を揺れていましたし。
――生田選手は掌底を効かされて取った手段がデラヒーバだったのは、本当に素敵でした。
杉本 ニーシールドでなく、デラヒーバ!!
寒河江 そういうあたりもコンバット柔術が普及することで、Zガードを取るとかに変わってくるのでしょうね。近い距離のガードよりも、遠い距離を取るガードが増えるとか。
杉本 僕もクローズドに入れてしまうと思います。でも、そこから頭を引き寄せるとか柔術やグラップリングとは違う対処が必要になってきますね。
――そういう変化が起こる前が、また違った意味で醍醐味もありますし、コンバット柔術は誰もができるモノでない柔術として根付けば非常に面白そうです。
寒河江 マットでもやってみたいですね。ただ、広いから攻防が起こるかというのも実際のところは、それも試合が行われないと分からないでしょうね。
杉本 MMAの人はケージのほうが良いだろうし。マットとケージは絶対に違います。足関節にしても、ロールして逃げ続けることはできないですしね。
――今後もコンバット柔術に出場し続けたいという気になりましたか。
寒河江 顔を叩くのは得意じゃないとは、本当に思いました。スラップリングにグラップリングがあるのではなく、グラップリングをするためにスラッピングを使うぐらいでないと私は向いていないというのが正直なところです。
杉本 僕は知っている人間でも叩けるんだって分かりました(笑)。練習では一切叩けなかったのに、試合になると逆にできたので驚いています。掌底がないと取られるという心理状態が、叩くことを可能にしたんだと思います。だから初戦は叩いていないんですよね。倒せる……極めることができるという感覚で戦っていたので。
――それでも寒河江選手も決勝の村田選手との試合はかなり叩いていました。
寒河江 試合前に『殺しにいくからね』って卓実さんに言われ、これはいかないとやられると思って。でも10分を3試合はきついです(苦笑)。
杉本 柔術は止まることができますが、その態勢がコンバット柔術だと殴られるので体力も気持ちも休めるところがなくて……僕は2試合ですけど、しんどかったです。
寒河江 本場のコンバット柔術は優勝するまで4試合。こうやってトーナメントを戦って、あの過酷さが理解できました。尊敬します。
杉本 だからラバーなんでしょうね。完全に止まることできるので。
寒河江 それと今日のほうが本場より、掌底が多かったですよね。
杉本 柔術家、グラップラーよりもMMAの人とやってみたいです。コンバット柔術なら組み勝てるかとも思いますし。
寒河江 掌底をかい潜ってサブミッションにつなげるのが一番面白いので、次に出るときはそういう試合をしたいです。
杉本 ワンマッチでグラップラー×MMAファイター、レスラー×グラップラーとかの方が、グラップラー同士よりもコンバット柔術はもっと面白くなると思います。