お蔵入り厳禁【Shooto2021#06】戻ってきたバケモノ=安藤達也「魂を込めてやらないと……」
【写真】安藤達也復活を陰で支えた川原波輝と (C)MMAPLANET
20日(月・祝)に開催されたShooto2021#06で、環太平洋バンタム級王者の安藤達也が石井逸人を肩固めで下しタイトル初防衛戦に成功した。
昨年11月、元DEEP王者で修斗初参戦の大塚隆史と対戦し、1Rに右足を痛めTKO負けを喫した安藤にとっては、この試合が復帰戦となる。
才能の塊も磨かなければ、どうなるのか。そんな反面教師として語られることが多かった安藤が、仲間の支えもありアスリート然としたフィジカルで戻ってきた。結果、精神の強化にも繋がり、バケモノらしさをケージに見せることとなった。
お蔵入り厳禁、同大会後に共同会見で安藤達也が話していたことを抜粋してお届けしたい。
──正直、試合前は安藤達也不利と見ていました。
「アハハハハ。予想を覆す男です」
──いや、それが計量の写真を見た時に「戻って来たな」という風に思いました。ここ数年、落ちていくばかりに見えていたフィジカルが、体つきをみてこれは違うと。仙人みたいだったのが、アスリートに戻ったと。
「そうっスね。ちゃんと目指すところを考えて、やっていかないと自分のキャリアを積めない。これまでボンヤリと目の前にある試合で、サイコロを振って6を出す──そんなことをしていました。喧嘩みたいなもんで。
それで勝てていたのは貯金があったからで。でも大塚戦でぐうの音の出ないような負け方をして。このままじゃ俺は終わっちゃう。魂を込めてやらないと何も伝わらないって思うようになって。そんな時に俺の前に川原波輝が、現れてくれたんです。
で、今回は米国に行って。波輝君や夜叉坊は試合前じゃないのに、僕のためにキャンプのスケジュールを遂行してくれました。自分の試合がないのにトップギアでやるってきついです。だけど俺を上げてくれた。しかも言葉じゃないんです。背中を見せてくれた。だから、俺はついていくだけ。必死にやるだけでした。本当に変わったと思います。だって、今日、見てくれましたよね? スタミナ、どうでしたか?」
──スタミナよりも、そこが戻ったせいか勝負を投げない。気持ちが戻ったと思いました。肩固めで勝つ前のなかなかダメージはあったように見えましたし。
「自分的にはもっとヤバいパンチを食らったことがあったので、体の芯まで痺れるような。だから田丸(匠)の時みたいに、相手が調子づいてきたらチャンスはある。そういう風に冷静でいることができて、焦るほど効いていなかったです」
──初回、勢いづいたところでバックを許し、RNCを仕掛けられました。腕一本でも相当に入っていたように見えたのですが。
でもセコンドの指示があるまで石井君が狙いに来ていなかったので、救われた部分はあります。指示があった瞬間から、力が入ってきたけど少し遅かったですね。俺も向うのセコンドの声が聞こえたんで、『あっ、首くる』って反応できましたから。ただ、ヤバかったです。腕を剥がして、冷静に行くしかないと思って我慢していました」
──今日の勝利でRoad to UFC以前のような安藤達也を見続けることができるでしょうか。
「あの時より、考えることを考えて、やるべきことをやっているから精神的にも今の方が強いです。そういう風に自分も戦うことができる。そこを踏まえて、高い水準でアスリートらしいライフスタイルを確立する。そうすることで、自分のキャリアを完結できる。それを悔いなくやる。そういう風に戦っていくと決意しました。
なんとなく、その時の波で喧嘩の強さで戦うんじゃなくて。それじゃ金を稼げないですしね」
──逆に大塚選手に負けて良かったかもしれないですね。
「そういうことッスね。気付かせてくれたので。チョット、ムカつきますけど。ハハハハハ。お灸をすえてもらいました」
──新たな決意で、今後に関しては?
「米国に行ってUFCを目指して頑張っている選手を見ました。自分がどこを目指しているのかを明確にしていて、それを踏まえて毎日、ハードな練習をしている。波輝君の言う『千日修行』っていう言葉が響いたんです。『格闘技ができる時間、少ないよ』と言われ、その通りだと思いました。
これから1週間ぐらいは休みますけど、上がりかかっているのでコレをキープしたいあら、すぐに練習に戻りたいと思います」
──あと一つ、試合後に長南さんと抱き合っていました。ただ右手を腰に回すだけでなく、左手も回した。アレは……グッときました。
「俺はデビューさせてもらって……色々あっても、感謝しています。起こってしまったことは、もう無いことにはできないです。
でもあの頃、練習をさせてもらって、愛情を注ぎこんでもらっていたのは事実だから。感謝しているので試合が終わったら、『ありがとうございます』という気持ちを伝えさせてもらうだけです」
──試合も良かったですが、あの場面も良かったです。
「ありがとうございます!!」