【Shooto2021#06】18歳の主張。川名雄生に挑戦、西川大和─02─「皆さん、穴がバレないよう戦っている」
【写真】選択肢が多い故に不自由になることが多いMMAだが、西川は豊かな発想でここまで戦ってきた(C)MMAPLANET
20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、川名TENCHO雄生の持つ世界ライト級王座に挑む、西川大和のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
MMAが世界的に拡大していくなかで、国内の選手と比較しても、西川大和の存在と格闘技観は独特ともいえる。それは彼が生まれ育ち、格闘技を学んできた土壌によるところも大きい。
MMA、格闘技に正解はない。ただし、ファイターにとって正義は存在する。それは試合で勝つこと。西川にとって自身の正義を証明する舞台が近づいている。
<西川大和インタビューPart.01はコチラから>
――確かにライト級は、様々な国からファイターが集まる階級の1つです。そういった海外のMMAファイターについて研究することは多いのでしょうか。
「自分が戦っているライト級を中心に見たりはしますが、そこに偏ることはないです。何事に対しても思考回路を柔らかくしようと思っていますので、何か一辺倒に偏ることはないですね。もともと試合映像を見て技術を取り入れたりする、といったことは少ないんです」
――えっ、そうなのですか。
「はい。今のところ、そこまで考えてはいないです。今のところ、ではありますけど。今のMMAって、そこまで選手によって大きく異なっているところは少ないと思うんです。やっていることは、だいたい似ているんじゃないでしょうか」
――試合で見せる技術は同じでも、選手によってベースが違ったりはしますよね。
「その意味では、僕はMMAの試合を見ることは少ないかもしれません。どちらかというとボクシング、キックボクシング、柔術といったMMA以外の競技を見ています」
――すると、MMAで誰かの試合を参考にしたり……といったことはないのですか。
「MMAでは――TOP FCのフェザー級王者がUFCに出場しているじゃないですか」
――チェ・スンウですか。現在UFCで3連勝中ですね。
「彼はキックボクシングの技術が高いので、それを参考にさせていただいています。それよりも他の格闘スポーツを見ながら、どうすればMMAに生かせるだろう? そういう視点で試合映像を見ていることが多いです」
――他の格闘スポーツだと、どのような選手の試合を見ていますか。
「ジョルジオ・ペトロシアンや、シュートボクシングの海人選手、那須川天心選手と対戦している四朗選手の試合動画を見たりしています。ただ、それも特にこだわっているわけではないんですけど……。そうやって他の格闘スポーツを見て、自分に足りないところを埋めていきます」
――では、次の対戦相手である川名選手をはじめ、国内のMMA王者は気になる選手はいますか。
「もちろん試合を見ることはありますが、そこで対戦相手としてどうと考えることはないです。誰が対戦相手になっても、自分自身の技術を向上させていくことのほうが大切だと思うので」
――西川選手の格闘技観として、その点は一貫していますね。
「いろんな選手の試合を見て思うのが、皆さん、自分の穴がバレないように戦っているじゃないですか。でも、それでは穴が残っているままであって、ずっと自分の穴が怖いまま戦うことになる。それよりは、自分が怖いと思っている穴を埋めてしまうほうがいいと思うんです」
――その考え方は分かります。一方で、MMAはやることも多く、そのぶん埋めるべき穴も多いかもしれません。
「そうですね……僕の練習は、いろんな指導者がいないところでやっているから、可能なのかもしれないです」
――というと?
「他のジムだと、それぞれジムごとのスタイルがあると思うんですよね。そのスタイルを学んでいくと、どうしても穴ができてしまう。僕は、何かこうというスタイルで練習するのではなく、MMAとして自分にある穴を埋めている感じです。そして試合は、自分の今の実力を試す場だと考えています」
――それは、次の世界チャンピオンシップも同じですか。
「修斗のベルトに挑戦できることは、もちろん嬉しいです。でもそれ以上に、次も特別な試合というよりは、自分の実力を測る場ですね。何かの目標を持った時、その目標を達成するために必要なものを一つひとつ得ていくことが、向上心ではないかと思うんです」
――西川選手にとっての目標とは、UFCやONEなど海外大会で戦うことなのですよね。
「はい。かといって、修斗のチャンピオンシップが、海外に行くための測りだというわけではないです。自分自身のことを測る場ですね。だから、川名選手のことを舐めているとか、決してそんなことはないです」
――西川選手の場合、いろいろと発言が誤解されそうですね。
「よく『相手のことを舐めているのか?』って言われたりしますけど、僕はそんな偉そうなことを言える立場ではないですし。ただ常に、先にある未来を見据えて練習しているだけなんです」
――なるほど。
「練習でやってきたことが、試合で何パーセント出せるかは分かりません。でも自分が練習でやってきたことを試合で出す。どんどん試していって、穴があれば埋めていく。そうしていくことによって、目標としている未来に繋がっていくと信じています」
■視聴方法(予定)
9月20日(月・祝)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル