【Gladiator014】三重県・津在住、波乱万丈MMAファイター人生N.O.V「何もさせずに勝ちたいです」
【写真】1986年7月20日生まれ、35歳になるN.O.V 。ここから加速度を増して、活躍したい(C)MMAPLANET
27日(日)、大阪府豊中市の176boxでGLADIATOR014が開催され、Gladiator初陣のWARDOGストロー級王者N.O.Vが木村旬志と戦う
三重県、津市で活動するN.O.Vに初インタビューを試みた。
──WARDOGストロー級王者N.O.V選手、2月大会でGladiator初陣が決まっていましたが、負傷欠場となり4カ月を経て木村旬志戦を今度の日曜日に戦うことになりました。
「2月の試合は練習中にケガをして、それで欠場になりました。でも今回、試合をさせてしてもらうことになって凄く嬉しいです」
──あの大会終了後にNavE選手の取材を名張のジムでさせていただいた時に、一緒に練習していてケガをしてしまって申し訳なかったと何度も言っていました。
「いえ、それは練習中ですからしょうがないことです」
──その時にNavE選手からN.O.V選手が同じ三重県の津在住で、MMAの練習をしていると伺いました。それまで存じあげていなく申し訳なかったです。三重県在住の選手は今も相当に少ないです。N.O.V選手がMMAファイターを目指したのは、どういうきっかけだったのですか。
「僕はもともと久居高校でレスリングをやっていました」
──久居高校といえば吉田沙保里選手の母校ですよね。
「ハイ、そうなんです。当時、山本KID徳郁選手に憧れていて卒業後に上京し、白金高輪にあったKiller beeに入会して練習していました。山本篤さんや朴(光哲)さんによくしていただいいたのですが、2年ぐらいたった時にヒザの前十字靭帯を切り、半月板損傷というケガをしてしまったんです」
──それこそ選手生命を脅かす負傷ですね。
「ハイ、それで手術のために津に戻ってきました。その時、自分の実家は榊原温泉で旅館をしていのたすが、経営が傾いていて……兄は東京で仕事を持っていたので、自分はそのまま津に残ることを決めたんです。結局、旅館は畳むことになったのですが、父の体調のこととかもあり津から離れることはなかったです。
津には全くMMAの練習場所もなくて。それでも、続けたかったのでクシィで格闘技に興味のある子を呼び掛けて、久居駅の自衛隊の駐屯地の横にある芝生で練習していました(笑)」
──まさに青空MMAですね。
「ハイ、空手をやったり、テコンドーをやっている人が集まって、まぁMMAの真似っこですね(笑)。もう13年ぐらい前です。その後はレスリングの先輩がやっていた松阪レスリングクラブの一部を間借りして練習していました。ようやくまともな練習ができるようになった感じです。
でも僕、本当にバカだったので靭帯が切れる、半月板が潰れてヒザが抜けるってことが分かっていなくて、何度も練習中に激痛に見舞われていたんです。その頃ですね、NavE君がMMAを始めた直後で練習に来てくれて」
──名張&津コネクションが、松阪で生まれたと。試合や仕事はどのようにされていたのですか。
「MMAの試合は全くなくて、毎年ゴールデンウィークにSAWが大阪でトーナメントを開いていたので、そこに出たりして……グラップリングの試合にちょこちょこ出ていました」
──柔術の練習環境もなかったですか。
「バルボーザ柔術が確か鈴鹿にはありました。ただ、日系ブラジル人の人たちが集まっている感じで、日本人がぶらりと練習させてもらう雰囲気ではなかったです。
DEEPの名古屋大会とか出たいと思っている時に、また別の個所を練習中にケガをしてしまって……1年ぐらい練習もできなくなりました。その後も違う方の足のACLと半月板のケガをし、片方のヒザは再建手術をしました。そういうことがあって、ようやく練習できるようになりDEEPのアマチュア大会でMMAに出たんです。東京から戻って、もう6年とか経っていました」
──まさに苦節という言葉が当てはまりますね。
「MMAの試合は本当に出る機会がなかったです。でもグラップリングは名古屋とかのグラップリングツアーに出たりしていました。その間もNavE君は練習に来てくれていて、今パンクラスに出ている平岡将英選手も、僕らと一緒にやっていました」
──そうだったのですね。練習環境の方は、変わりはありましたか。
「ハイ。自分のチームを持っていたのですが、人も少ないし解散して……。でも知り合いのボディビルダーの方がエンジョイ・ジムというジムを出された時に、1階の半分を貸すから指導しないかと誘われて。今は場所をお借りする形で活動しています。エンジョイ・ジムには、ジムを開く前のNavE君もエクササイズを教えていたんです」
──MMAを練習できる箱が、ようやくできたのですね。
「でも……全然、プロ志望の人は来なかったですね。だから一般会員さんに付き合ってもらったり、ダミー人形が練習パートナーです。それでも僕や格闘技をバックアップしてくださる建築関係の会社で仕事をさせてもらいながら、MMAを続けることができて恵まれていると思います。
試合前も都合をつけてくれて、休みをくれるので愛知で木部(亮)さんがされているSPLASHさん、滋賀の米原で潤鎮魂歌さんがやっているハーヴェストさんで出稽古をさせてもらったりしています。あとマッチョ・ザ・バタフライ選手が三重県出身なのでコブラ会に出稽古に誘ってくれますし、大阪にも練習に行きたいですね」
──練習環境としては、依然として厳しいモノがありますね。
「そうですね……今は朝倉未来選手効果で、若い子が興味を持ってくれているのですが、彼らへの指導と自分の練習という部分で難しいところはあります」
──WARDOGはMMAプロモーション・カーストの最下層であることは否定できないです。そのWARDOGの王者として、ZSTに出て、今回GLADIATORという舞台で戦います。
「WARDOGでベルトを持たしてもらって、他の団体で戦う。インディの選手が、規模の大きい大会の選手に勝つことに意義があると思います。DEEPやパンクラスからも試合の話は頂きましたけど、僕はインディMMAの代表として有名団体のチャンピオンに勝っていきたい。それがまずZSTやGLADIATORというつもりでいます。だからストロー級の王座が創られるぐらいまで、盛り上げていけるようにしたいです。
WARDOGの選手、こういうとアレですけど、他の団体に出て負けているじゃないですか。だから防衛もしないといけないのですが、僕はインディMMAの代表として、どんどん噛みついて他団体で勝っていきたいです。GRACHANはWARDOGとの合同興行に出た時に勝って、東京の大会でも声をかけてもらいました。
その話は流れたのですが、GRACHANでもDEEPでもパンクラスでも戦っていきたいですし、今はGLADIATORで櫻井代表がチャンスをくれたので、必ず結果を残したいと思っています」
──N.O.V選手のことをまだ知らないMMAPLANETの読者の皆さんに、どういう選手なのかアピールをお願いします。
「僕は殴り合う選手ではないです。でも、尊敬しているのがヌルマゴなんです(笑)。ストロー級ではフィジカルが強いですし、ポジションを取ってパウンドで勝っていきたいです。まぁ下になっても怖くないですけど、トップキープでヒジとエルボーを打ち込んでからバックチョークで勝っていきたいです。
──結果を残すという想いの裏で、三重でもっとMMAを盛んにしたいという想いもお持ちですか。
「もちろんです。三重県在住者として、三重でMMAを盛り上げていきたいです。名張にNavE君がいて、僕が津、伊勢に小川道的選手がいます。同じ三重でも、なかなか距離があって3人一緒になれることは少ないのですが、別々の街でも頑張ってMMAを盛り上げたいと思っています。
あと僕、以前に津でIMPACTっていう興行を開いたこともあるんです」
──あぁ、覚えています。では、またいつの日かIMPACTで三重✖他県の対抗戦が行われることを楽しみにしています。
「そうですね、NavE君、小川君、僕、尾鷲にも飲食店やりながら練習をしている選手もいます。それにマッチョ・ザ・バタフライ選手、あとパンクラスで活躍している山北(渓人)君も、三重県いなべ市出身ですし。三重県のファイターが集まるような機会ができれば良いですね」
──三重トップチームが実現する日を期待しています。そんな将来のためにも日曜日の木村選手との試合、何を魅せたいですか。
「圧倒します。何もさせずに勝ちたいです」
■GLADIATOR014対戦カード
<フェザー級/5分2R>
土井”聖帝”潤(日本)
中村公彦(日本)
<ライト級/5分2R>
天草ストロンガー四郎(日本)
DJマルコ(日本)
<フェザー級/5分2R>
上田祐樹(日本)
ゆうと(日本)
<バンタム級/5分2R>
井口翔太(日本)
丸山幹太(日本)
<フライ級/5分2R>
N.O.V(日本)
木村旬志(日本)
<ライト級/5分2R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
稲葉祥真(日本)
<バンタム級/5分2R>
坪内一将(日本)
道端正司(日本)
<ウェルター級/5分2R>
井上啓太(日本)
八木敬志(日本)
<フェザー級/5分2R>
延命そら(日本)
木村総一郎(日本)
<ライト級/5分2R>
宋鬼子(日本)
谷口軍曹(日本)