【FORCE18】高松で木村旬志と対戦、里見拓磨「ジムで一番強くなる。これからもZジムで強くなります」
【写真】際という接点の概念がないのが、生粋のMMAファイター (C)TAKUMI NAKAMURA
17日(日)に香川県高松市の高松シンボルタワー展示場で開催されるプロフェッショナル修斗公式戦FORCE 18にて、里見拓磨が木村旬志と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
7月の修斗後楽園大会で世界戦を戦った安芸柊斗と同世代、地元徳島のMMA Zジムで格闘技を始め、プロとしてのキャリアをスタートさせた里見。ジムでMMAをやることは「他の子が習い事をやるのと同じ感覚」だったといい、アマチュア修斗よりもキッズ修斗で試合経験を積んできた、まさに新時代のMMAファイターだ。同じ四国は香川で迎えるプロ5戦目に向けて意気込みを訊いた。
――FORCE 18=プロ修斗公式戦高松大会に出場が決まった里見選手です。今回がメディア初登場ということで、プロフィール的なことからお聞きしたいと思います。格闘技を始めるきっかけから教えてください。
「小さい頃はすごく泣き虫で、ヤンキーとかを見ただけで怖気づいてしまうような子供だったんです。そういう自分を変えたいと思ってZジムに入りました。それが小学2年生の時ですね」
――小学2年生でヤンキーに怯える環境…だったのですか。
「自分が住んでいる地域にヤンキーが多くて、通学路にいてガン飛ばしてくるんですよ(笑)。それが嫌すぎて泣きながら学校に行っていました」
――身を守るために始めた格闘技だったのですね(笑)。身体を動かすこと自体は好きだったのですか。
「運動神経は悪い方じゃなかったです。サッカーをやるか格闘技をやるかで迷っていて、最終的に格闘技を選びました」
――格闘技を始めてからヤンキーへの苦手意識は克服できたのですか。
「キャラ的に影が薄い方やったんですけど、少しずつ明るくなっていったと思います。ただ変わらずヤンキーは苦手で、わざと練習用のヒザ・サポーターをつけて登校したりしてました(笑)」
――それは周りに「アイツ格闘技やっているんじゃないか?」と思わせるために、ですか(笑)。
「そうです!実際に喧嘩する気はないんですけど、格闘技やっていそうなやつにはちょっかい出してこないだろうと思って、威嚇の意味を込めてやっていました(笑)」
――面白いエピソードをありがとうございます(笑)。そんな里見少年はジムの雰囲気にもすぐに馴染めたのですか。
「はい。偶然入会したジムなんですけど、最高のジムに入ることができて恵まれていたなと思います」
――つまり里見選手の格闘技のバックボーンはMMAになるわけですね。
「他の格闘技をやってMMAを始めたわけではないので、僕にとって格闘技=MMAですね。だからMMAの動きは子供の頃から染みついています」
――MMAはストライキング、テイクダウン、グラップリング…と色んな事を練習するなかで、最初に得意になった技はなんですか。
「ギロチンですかね。Zさん考案のZチョークという技があって、アマチュア時代はZチョークで無双していました(笑)」
――ところで小学2年からMMAを始め、初めて試合に出たのはいつ頃になるのでしょうか。
「小学4年生です。出始めた頃は試合が嫌いで、試合前になると試合が嫌すぎて吐きそうになっていたんです。でも試合が終わると独特の解放感があって、あれが気持ちいいんですよね。そうやってちょっとずつ試合に慣れていきました」
――里見選手は始めた格闘技がMMA、いわゆるキッズ時代から試合に出ているというキャリアを積んでいるのですね。
「自分としては特別なことをやっている感覚がなくて。うちのジムはキッズの頃からみんな仲が良くて、練習するのもそうなんですけど、ジムでみんなと話すのも楽しかったんです。それでジムに行っていた感じですね。他の子が習い事をやるのと同じ感覚だと思います、たまたま僕がやっているのがMMAだっただけで」
――当時好きだった選手や憧れていた選手はいますか。
「実は格闘技を見るようになったのが、つい最近で(笑)。それまではほとんど見たことがなかったんです。格闘技を見ることに興味がなかったというか」
――そうだったのですね。小さい頃からMMAをやっている=MMAの知識も豊富で詳しいものだと思っていました。
「僕の場合は全然そんな感じじゃないです。あくまで僕にとってMMAは自分がやるものだったんで」
――中学に進学する際、格闘技以外のことに興味を持つことはなかったですか。
「もう練習が生活の一部になっていたので、格闘技をやめるとか一切考えなかったです。中学時代は部活で剣道もやっていたんですけど、部活とジム通いを並行してました」
――ではプロになることも自然な流れですか。
「はい。特にプロになりたいと思っていたわけじゃなくて、まさに流れです。みんなでジムで練習して、先輩たちについていって、アマチュアで結果が出るようになって、気がついたらプロになっていた、みたいな」
――アマチュアではどのくらい試合経験を積んだのですか。
「キッズ修斗で50戦、アマチュア修斗を10戦くらいですね」
――アマチュアの戦績でもキッズ・ジュニア修斗の方が多いのですね。格闘技のスタートがMMAで、キッズ・ジュニア時代からMMAの試合に出てプロになる。まさに新しい時代のMMAファイターの形だと思うのですが、里見選手自身はそういったキャリアを積んできたことでどのようなプラスがあったと思いますか。
「どうですかね…なかなか言葉で説明するのが難しいんですけど、MMAの動きを身体が覚えていて、試合になったら自然に身体が動いてくれているとは思います」
――おそらく僕たちとはMMAという競技に対する考え方そのものが違うと思っていて、例えばMMAは打撃・レスリング・寝技に分かれていなくて、MMAはMMAという捉え方なのでしょうか。
「プロとアマはパウンドの有無で分かれるところはありますけど、それ以外で特に分かれているとは思っていないです」
――また里見選手にとってジムや練習仲間は大きな存在だと思います。一言でいうとどのような存在ですか。
「家族ですね。ライバルでもあるし、一緒に切磋琢磨している仲間でもあるし。僕の場合はライバルだと思っているところが強くて、この子より強くなろうと思わないと強くなれないと思うし、僕の目標は今でもZジムで一番強くなることです」
――里見選手が考える理想の選手像・ファイトスタイルはありますか。
「ベタですけどオールラウンダーになることです。すべての局面に対応して、すべての局面で相手の動きを潰せる選手。何をやっても相手に上回りたいです」
――先ほど最近格闘技の試合を見るようになったということですが、今好きな選手はいますか。
「う~ん……マニアックな選手を言った方がいいですか」
――そこは自然体で大丈夫ですよ。リアルに好きな選手を聞きたいです。
「かなりミーハーですけど、コナー(・マクレガー)さんです(笑)」
――それは……ずばりミーハーです(笑)。
「ですよね(笑)。でもコナーさんが好きです!」
――それでは次戦についても聞かせてください。今回の試合が決まった時の心境はいかがでしたか。
「僕は試合が好きなんでうれしかったですね。モチベーションが途切れないうちにどんどん試合はやりたいです」
――前戦は今年7月の修斗後楽園大会、根井博登選手に判定負けした一戦でした。あの試合を振り返ってもらえますか。
「あの試合は何もできないまま終わってしまって。攻める体力と技術が足りなかったかなと思います」
――それが出来なかった理由は何だったと思いますか。
「気持ちの部分ですね。後楽園ホールという場に呑まれたというか。僕はどちらかというとメンタルが弱い方なんで、後先のことを考えると自分から攻められないんですよね(苦笑)」
――もともとそういった性格なのでしょうか。
「どうなんだろう。やってやるぞって気持ちはいつもあるし。前回に関していえば冷静に試合することを目標にしていて、それが影響したかもしれないです。それまで自分はずっとフィーリングでやっていて、動物でいうなら『野性的なチーター』やったんです。でも、これからは『賢いエリートチーター』になりたくて冷静に戦おうと思ったら、逆に冷静になりすぎて熱くなれなかったです」
――対戦相手の木村旬志選手にはどのような印象がありますか。
「ストライカーでしっかり打撃に重みがあるので、いい試合ができると思います。相手のスタイルも含めて打撃を意識して練習しています」
――相手がストライカータイプであっても打撃の攻防にも応じる、と。
「もちろんトータル的に戦いますが、しっかり打撃の練習もしているので打撃の攻防もやりたいです。僕は打撃だけの試合も好きだし、打撃の攻防は見ていて楽しいじゃないですか。それこそ後先考えずにバチバチの殴り合いもやってみたい。前回はそういう野性味を出せなかったので、今回はかつての野性味を取り戻しつつ、冷静に頭を使って戦うところのバランスを考えながらやりたいです」
――ちなみにMMA以外で、打撃系で好きな選手もいるのですか。
「須藤元気さんですかね。トリッキーな人が好きなんで」
――須藤さんはMMAもやるし、全く打ち合わない…ですよね(笑)。
「あっ……そうでした(笑)」
――初めて里見選手を取材しましたが、かなり自然体な選手だと思います(笑)。でもマクレガーだったり、須藤さんだったり、個性がある選手が好きなようですね。
「はい。見ている人の印象に残る選手になりたいと思うし、試合で里見拓磨をどう表現するかを見てもらいたいです」
――これからの里見選手の夢や目標はありますか。
「ジム全体で強くなりたいです。僕も技術をたくさん身につけて強くなって、それをみんなに指導して。そうやってジムとして強くなって、Zジムという名前を轟かせたいです」
――例えばアマチュアの試合で対戦相手に「俺の相手はZジムか。強いな…」と思わせるようなジム・チームでいたいですか。
「そんな感じですね! ジムの名前で相手をビビらせるような“名門”と言われるジムになれたら最高ですね」
――最後に一つ、質問をさせてください。同門のCHAN-龍選手が7月に急逝しました。里見選手にとっても切磋琢磨してきた仲間だと思います。簡単には答えられない質問だと思いますが、一言コメントをいただけますか。
「(少し考えて)やっぱり……残念です。僕は龍ちゃんと仲が良かったし、さっき話したジムで一番強くなるという目標には龍ちゃんを倒すことも含まれてたんです。もうそれは出来ないけれど、僕はこれからもZジムで強くなります」
■視聴方法(予定)
9月17日(日)
午後3時~ Twit Casting LIVE
<ストロー級/5分2R>
石原愼之介(日本)
若山達也(日本)
<ストロー級/5分2R>
里見拓磨(日本)
木村旬志(日本)
<フライ級/5分2R>
堀川“55”滉介(日本)
亮我(日本)
<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
加マーク納(日本)
<バンタム級/5分2R>
波平ゴング(日本)
ダイキライトイヤー(日本)
<バンタム級/5分2R>
矢野武蔵(日本)
JAM(日本)
<新人王決定Tフェザー級準決勝/5分2R>
松浦真実也(日本)
宇藤彰貴(日本)
<ライト級/5分2R>
おえゆうた(日本)
轟轟(日本)