【DEEP101】DEEP初参戦、KINGレイナと対戦する東陽子─01─「教員になろうか、MMAをやろうか……」
【写真】MMAデビューからパンクラス以外で戦うのは、初めてとなる東陽子(C)MMAPLANET
20日(日)、東京都港区のニューピアホールにて開催されるDEEP101。そのセミファイナルで、これまでパンクラスで戦ってきた東陽子がDEEP初参戦、KINGレイナと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
幼少期から柔道を始め、全国大会での優勝経験もあり、警視庁の特練(術科特別訓練員)に入るなど輝かしい実績を誇る東が、なぜMMAを始めたのか。
インタビュー前編では、そんな柔道時代を振り返る。
――これまでパンクラスで7戦(5勝2敗)を経験し、今回がDEEP初参戦となる東陽子選手です。東選手は、幼少期から柔道をやっていたのですよね。
「柔道を始めたのは4歳の頃ですね。もともと父と兄が柔道をやっていて、それを見て私もやりたいと言ったらしいです。自分は覚えていないんですけど(笑)」
――覚えていないのですか(笑)。
「自分の中では、ずっと柔道場で寝ていた記憶しかないんですよね(笑)」
――柔道場で寝ていた?
「年長組の時には道場内の試合に出ていて、公式戦は小1の時の市民大会が初めてだったと思いますけど、そんなに強くなかったです。柔道場へは寝に行っていたぐらいですから」
――ハハハ、でもそれだけ柔道場が安心できる場所だったのでしょうね。そんな東選手が、ずっと柔道を続けようと思ったのは?
「中学校で実績を残すことができてから、ですね。私は子供の頃から身体が大きかったんです。柔道をやっている同学年の中では、市内で一番大きくて。『それなら柔道しかないだろう』と、中学では父に柔道部へ入部させられました」
――入部させられた(笑)。
「部活も最初は『仕方なく行っている』という気持ちのほうが大きかったです。でも全中(全国中学校体育大会)で勝つことができて、それで高校も柔道で進学することにしました」
――高校の時に、全国大会で優勝したのですよね。
「はい。高校1年の時に」
――1年生で全国制覇!
「もう中学校の時から父が付きっきりで練習を見てくれて、部活が終わった後も、大人の練習に連れて行ってくれていたり」
――そして東海大学日体大柔道部を経て、大学卒業後は警視庁の特練に入っていたのですよね?
「はい。もう朝から夜まで柔道づけでした。当時、警視庁の特練は、女性が入れる枠は一つあるかどうかで。おかげさまで強化選手にもなれたんです」
――それはもう柔道家として将来を嘱望されていたのでは?
「オリンピックに出たいとは思っていました。高校時代は、ほぼ負けなしでしたから。でも、高3の時に大きなケガをしてしまって、ちゃんと復帰することはできませんでした。講道館杯や全日本選手権に出ても、ベスト8とか」
――それでも講道館杯や全日本でベスト8に……。
「まぁ……(照)。それで警視庁の特練に入る時、実は柔道を辞めるつもりだったんです。教員になって、指導する側に回りたいなと思っていました。ただ、とある学校から『教員の枠が空くかもしれない』というお話を頂いていたんですけど、なかなか空かなくて。柔道も続けられる福岡県の会社を紹介してもらい、そこへ入社しました。その後、父の実家がある熊本県で教員になりました」
――兵庫県出身で、大学は関東。そして仕事で福岡から熊本へ。全国を回っていますね。
「教員になった後、結婚して子供も生まれました。でも、やり残したことがあるなと思って地元に戻ったんです」
――やり残したこと、それがMMAだったと。
「はい。実は大学生の時に、教員になろうかMMAをやろうか、と考えていました。中学生の頃にテレビでPRIDEとか見ながら、『こういうのをやれたらいいなぁ』と思っていたんです。大学の時、知り合いに格闘技の関係者がいて、その方に格闘技のジムを紹介してもらって、何度か練習に行ったこともありました。その後、警視庁に入ることが決まってMMAは諦めたんですけど……」
――でも、諦めきれなかった。
「最初は神戸のジムに通い始めたんですけど、プロデビュー戦に負けてしまいました(2017年12月、パンクラスでキム・ミョンボに一本負け)。その時、端貴代さんにご挨拶したら、端さんが所属しているAKZAの方から『良かったら練習においで』と言っていただいて」
――そこから関東に戻り、和術慧舟會AKZAに所属し、端貴代さんと練習するようになったのですね。
「私にとって、端さんの存在はすごく大きかったです。選手としての強さはもちろん、他に相談事があってもお姉さんのように答えてくれて」
――そして現在は、リバーサルジムMe,We所属となっています。
「2度目の敗戦(2019年10月、タチアネ・フォンテスに判定負け)、もっと同じ階級の女子選手と練習したいと思ったんです。負けて終わるのは嫌だし、海外の大きな大会も出たいので。もともとMe,Weには週に一度、練習に行かせていただいていました。しぃやん(杉山しずか)とか、階級は下だけど強い村田夏南子ちゃんもいたので」
――近い階級でいえば、同じ柔道出身の渡辺華奈選手がベラトールに出場していることは、意識しますか。
「華奈ですか? 私、柔道時代から華奈と練習したこともあるんですよ」
<この項、続く>