【Shooto2021#03】内藤太尊戦へ、宇野薫─01─「頑張っていても、勝たないとダメ」
【写真】練習の撮影は「集中したい」ということでNGに。これも宇野薫らしさだ(C)MMAPLANET
16日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#03で、宇野薫が内藤太尊と戦う。
5月8日に46歳になった宇野にとって、2019年11月以来のMMAマッチになる。この歳になりコロナ時代を迎え、実戦から遠ざかっていた。それでも彼の姿は常に練習場にあり続ける。
嘘偽りなく書き記すなら、ここ数年は常に最後かもしれないという心境で試合をしているに違いない。それなのに……緊急事態宣言下でイベント自体がどうなるか分からない状況で、宇野薫が考えてきたとは「次」であり、「これから」だった。
──1年半ぶりのMMAですが、緊急事態宣言の延長とその内容が確定するまで、正直なところ大会があるのかどうも宙ぶらりんの状況だったと思います。
「緊急事態宣言が延長されると、大会自体がどうなるのかという心配はしていました。無観客になるのか、延期になるのか、中止になるのか。そのどれになっても、できることは練習だけなので、とにかく練習を続けてきました」
──そうなるしかないですよね。サステインもどういう風に事態が進むのか分からないので、なかなか決断もできなかったでしょうし。
「緊急事態宣言が延長されると、お客さんを入れて開催されるのは厳しいという風には僕も感じていましたし……。ただ、修斗はコロナ禍でも去年の5月の時点で、会場を変更して無観客で大会を行い、僕も解説として参加させてもらっていたので──どういう形でも、試合はあるんじゃないかと思っていました」
──とはいえ、このコロナ禍で20代や30代……特に独身の選手が練習仲間でも多いではないですか。そこで46歳、3人のお子さんの父親である宇野選手は、特にこの1年は色々と考えることがあったのではないでしょうか。
「そこはずっと考えていることです。感染するリスクというのは常にありますから、自分が感染源になってしまわないようにと。それはプロの練習仲間に対してもそうだし、UNO DOJOで練習している一般の会員さんについても、その恐れがあることに心配は続いています。
UNO DOJOはゴールドジムのなかで活動しているので、ゴールドジムの予防対策に則してやってきました。常にマスクをして練習をしていますし、感染リスクを避けて……フィットネス業界の決まりに従っている形ですね」
──予防対策に関しては、自分のなかで昨年4月にRoad to ONEを防護服着用で取材をして良かったと思えることがあります。あの時は、今からすると未知のウィルスに対して、もっと恐怖心があった。あの経験が今も生きているなと。宇野選手もあのイベントに青木選手のセコンドとして参加していましたが、そのようなことはないですか。
「あの時は……本当に怖かったですね。それ以前にセコンドに就いて良いモノなのかという問題もありました。それこそ家族もいますし、あそこで感染したらどうしようということは感じていました。
でも、青木君にとって大切な試合だし、サポートをしたかったです。
それだけにあの時の大会は、消毒とかも徹底していましたよね。試合が終われば、すぐに帰宅しましたし公共交通も使わない決まりでしたからね。5月の修斗の無観客大会も、密を避けるために厳戒態勢が敷かれていました」
──45歳をコロナ禍で過ごしたことになりますが、宇野選手としては試合に関してはどのような気持ちでいたのでしょうか。
「去年はあの状況だったので、後半にタイミングが合えばという風に考えていました。それでQUINTETは出たのですが、MMAに関しては無理して試合をする時期ではないですし、焦ることもなく自分のやるべきことをやって、その時が来るのを待っていました。
そのなかで青木君が常に試合をして、良いパフォーマンスを続けていた。その姿をサポートをしながら近くで見られたことは、凄く刺激になりました。そういうなかで段々とMMAの試合がしたいという風になってきました。
無観客になったとしても、それを経験することは自分のなかで凄く大切になってくる。だから、今回の試合に関しては結果として無事に試合が出来そうですけど、なくなったとしてもそれはそれでしょうがない──また次のため、今年中にデキるのかは分からないですけど、この経験は次に生きると思っていました」
──46歳になりましたが、次に生かせると思えるわけですね。
「僕は自分がやれるところまでやろうと思っていますし、続けたいと常に思っています。そのために日々の練習、トレーニングをやっています」
──数年前には自分が練習でできていることを試合に出したい、成長を確認したいと言われていました。この間も成長が感じられていますか。
「いやぁ、どうなんでしょうか……(笑)。そこは悩みどころです。回りの勢いの良さは、ここ1、2年は凄く感じています。若くて、強くて、上手い選手がどんどん出てきています。対して、自分には衰えてきている部分があると感じていて、そこはせめぎ合いです。
そういう気持ちでいながら、やれることをやる。自分が上手くなりたい、強くなりたいと思って指導してもらっていることを出したい……というのは変わらず持っています。
ただ試合は怖いですし、今回の試合も厳しい展開になることは必ずあります」
──グラップリング、柔術の試合に出ている宇野薫を見て……でも、やっぱり宇野薫はMMAの人だと。似合っているのはMMAだと個人的に腑に落ちた感がありました。
「ホントですか(笑)。ありがとうございます」
──纏っている空気感ですかね。
「グラップリングと柔術も難しく、だから面白いです。ただ怖さという部分で、打撃があるMMAがより怖いというのはあります。MMAは打撃があるなかで、恐怖心がある。その分、結果が出た時は嬉しいです」
──正直、いつまでやっとんのやというのは本当に思っています。どこまで自分のやりたいことを追求しているんだって。
「もう現役を続けることへの疑問は、高島さんに言われるようになって10年にはなりますよね(笑)。でもこないだ『俺はもう何も言わんから』って言われて。あぁ、もう言われないんだなって思ったんです(笑)。言ってくれる人がいなくなるなって。なんか、周囲はやはり僕には言いづらい空気はあるし」
──それは40歳過ぎて、ここまで頑張っている人に同業者は言えないですよ。ただし、記者としてはそういう風に宇野薫を書くことは、自分はできないなと思ってきました。
「……」
──年齢に関係なく、一定の基準でダメならダメだと。
「その通りだと思います。頑張っていても、勝たないとダメだし。自分もそこを気にして来ました。ある程度、一線でできているのか。そこが僕にとって一番のテーマで、今回の試合に関しても同じです」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
5月16日(日)
午後5時30分~ ABEMA格闘チャンネル
■ Shooto2021#03対戦カード
<フェザー級/5分3R>
内藤太尊(日本)
宇野薫(日本)
<ライト級/5分3R>
大尊伸光(日本)
西川大和(日本)
<フライ級/5分3R>
清水清隆(日本)
宇田悠斗(日本)
<バンタム級/5分3R>
加藤ケンジ(日本)
坂巻魁斗(日本)
<インフィニティリーグ2020バンタム級/5分2R>
石井逸人(日本)
野尻定由(日本)
<インフィニティリーグ2020バンタム級/5分2R>
小野島恒太(日本)
一條貴洋(日本)
<女子スーパーアトム級/5分2R>
杉本恵(日本)
檜山美樹子(日本)
<女子スーパーアトム級/5分2R>
中村未来(日本)
北野きゅう(日本)
<女子スーパーアトム級/5分2R>
小生由紀(日本)
澤田千優(日本)
<女子ストロー級/5分2R>
村山大介(日本)
柳仙香(日本)
<トライアルルール・フェザー級/3分2R>
宝珠山桃花(日本)
平沼ヤマト(日本)