【Shooto2021#02】平良達郎と戦う前田吉朗─02─「僕、暇なんです。格闘技以外に頑張れるものがない」
【写真】タイトルの前田の言葉。標準語でなく関西弁をイメージして読んでみてください。これぞ前田吉朗です (C)KAORI SUGAWARA
20日(土)、東京・文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#02で、令和のスーパーノヴァこと平良達郎と対戦する前田吉朗インタビュー後編。
いつの間にやら不惑を目前とした前田は、現代MMAを内包した喧嘩の強さを見せてきた。だからこそ、同階級とは思えない平良のフィジカルに対して平然としていることができる。
「どう戦いますか?」という問いに、「どうってことない」と答える──これぞ吉朗節だ。
Text by Shojiro Kameike
<前田吉朗インタビューPart.01はコチラから>
――「ナメんなよ」という気持ちがあると同時に、自分の現状やマッチメイクを客観的に捉えることができる。それが前田選手の強みですよね。
「まぁ、みんな考えることでしょうから。試合や興行について、僕の想いとは別のことがあるっていうのは理解しています」
――では、対戦相手となる平良選手の印象は? 前田選手の練習仲間であり、対戦したこともある清水清隆選手に平良選手が勝利したことは、キャリア的に考えてアップセットでもありました。
「まずサイズが違いますよね。少年(清水)が相手やから、余計にそう感じたのかもしれないですけど。少年がフライ級でも小さいほうなので」
――ただ、それを差し引いても平良選手のサイズは、フライ級としては規格外でしょう。
「確かに。まぁ少年との試合は、『こういう展開になるやろうな』と考えていたとおりの試合になっていました。(平良は)思ったよりも技術がありますよね。グラウンドコントロールとか。あと勢いもあるし」
――その平良選手に対して、どう戦いますか。
「どうってことないですよ。今までも僕はデカい相手と試合してきました。相手がどれだけデカくても、体重制限のある階級制の競技で戦うかぎり、同じやと思います。ただ試合相手をぶっ倒す。それだけ」
――年齢差はどう考えていますか? 平良選手は現在21歳。前田選手とは19歳差です。
「ビックリしますよね。僕、もう40歳ですよ(笑)」
――今年で40歳になり、次の平良戦が62戦目です。前田選手以上のキャリアを持つ選手も少なくなってきました。
「近藤(有己)さんと北岡(悟)さんがいるじゃないですか」
――その2人の試合は気になりますか。
「気になりますよ。勝てば嬉しいし、オォっとなる。負けたら寂しい気持ちにはなりますね」
――そんななかで、キャリアを重ねて試合への取り組み方に変化はありますか。
「少しずつ変わってきていると思いますよ。練習方法や取り組み方は。さすがに、若い時のように何でもガツガツやるわけにはいかないし」
――反対に、平良選手は今その過程でしょうね。
「ホンマもう何でもやって、成長している時期でしょう。少年との試合も、それまでの試合と違いましたもんね」
――清水戦について、そう評する人は多いです。明らかに強くなっていました。対して、自身のキャリアについては?
「いっぱい戦ってきましたね(笑)。それだけですよ。現役のファイターにとって大切なのは、今じゃないですか。まず次の試合をどう戦うか、それが大事」
――では今のMMAに対する考え方とは?
「うーん……ある種、戦い続けていたいんですよ。戦っている時は楽しいですから。でも、だからといって、ダラダラ続けるつもりはない。やっぱり目標は、ベルトを獲ることなので」
――プロデビューから19年、その間に「格闘技を辞めよう」と思ったことはなかったのですか。
「辞めようと考えたことはないけど、『面倒くさいなぁ』と思うことは、何回もありました。でも僕、暇なんです」
――……暇、というのは?
「格闘技以外に頑張れるものがないんです。他のことでも、やることはやりますよ。でも『これでいいかぁ』と思ってしまう。格闘技では妥協しない。やっぱり、格闘技しかないんですよ」
――修斗のベルトを獲得するためには、次は重要な一戦です。
「まずは勝つこと。勢いのある若い選手が、キャリアを持ったオッサンをどう料理するのか。僕は、それに対して何か変化をつけようとは思っていません。前田吉朗は前田吉朗のままで、相手をぶっ倒します」