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【Road to ONE04】山北渓人戦へ。安芸柊斗の拘り─02─「徳島の子に見せていくべきモノがある」

【写真】安芸の「修斗」道は練習、試合だけでなく指導も含まれていた(C)MMAPLANET

22日(月)、東京都渋谷区TSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE04「Young Guns」で山北渓人と対戦する安芸柊斗インタビュー後編。

小学校入学前から修斗を始め、高校生でプロデビューした安芸は生まれ育った徳島で強くなることに拘っている。その拘りはフィニッシュを狙う姿勢にも相通じ、キッズから修斗を戦ってきたことで、安芸の感性は出来上がってきた。

<安芸柊斗インタビューPart.01はコチラから>


──修斗でなくて、違うスポーツをしたいという気持ちはなかったですか。

「めちゃくちゃありました。サッカーやバスケ、野球とか。小学年になる前ぐらいから始めて、小3のときに『辞めたい』と一度、言ったこともあったぐらいです」

──修斗じゃなくて、蹴人──徳島ヴォルティスに行きたいんやと(笑)。

「たまたま回りが野球をしている友達が多かったので、『野球がしたい』と父に伝えて。でも、『アカン。格闘技を辞めて、誇れるモノが自分にあるんか』って言われたんです」

──小学3年生に。いや、それは子ども扱いじゃない。立派な姿勢だと思います。

「あの言葉は今でも忘れていないです。言い返す言葉もなかったですし。そのまま修斗を続けて中学に進学してから、部活動でサッカーを始めました(笑)」

──一旦、修斗の練習は中断したのですか。

「いえ、練習も続けていました。それで部活動を引退してから、本気でプロになろうと思うようになったんです」

──子供の頃からMMAをしていて、練習相手は大人だったのですか。

「いえ、小2の時に今はプロになっている石原慎之介とか、大勝たくにいとか友達もジムに入って来ていて、一緒にやっていました。もうキッズからなので10年以上ですね」

──キッズからプロになるまで、一貫して練習仲間が同じだったというのは凄い話です。そうなると自然にプロになろうという空気になっていったのですか。

「中3の時に高松のFORCEにスタッフとして会場に行って、メインで青井人選手が戦った(2016年11月。前口緑一色に勝利)時に、高校生の時からプロやったと聞いたんです。それで『俺もなろう』って思いました」

──それをお父さんに伝えると、どういう反応でしたか。

「いや、それ言わなかったです。言うのは悔しいので」

──思い通りプロになったわけですが、プロの試合に出るというだけで暮らしていけるわけではありません。

「ハイ。高校を卒業して一度、就職をしました。本田君と戦った時とか、働いていた時です」

──働いていた時ということは……。

「辞めました。数週間単位の出張のある仕事だったので、これでは格闘技ができないと思ったので」

──辞めるべきは仕事であって、修斗ではなかったのですね。その時、格闘技を続けるデメリットも知り抜いているお父さんはどのような反応でしたか。

「『別にえぇんちゃう。やりたいことをやれば』と。格闘技の厳しさを知っていても、続けてほしいと思っていたと思います。父も仕事を辞めている人間なので」

──あぁ、では何も言えないと(笑)。親子、同じ選択をしたわけですね。

「ハイ、似とんなぁ。嫌やなぁとは思いましたけど。今はバイトを掛け持ちでしています」

──練習環境という面で、大阪や東京に出て選手生活を送りたいと思ったことはないですか。

「う~ん、出稽古ではゴンズ・ジムとか、長期ではrootsに行ったりしていたんですけど、徳島を出ていくことはせんでえぇかなというのはあります。やっぱり東京や関西と比較すると、練習の質とかは違うと思いますけど。

僕はこのままジムを父から継ぐことになると思います。その僕が東京に出て行って現役生活を送り、徳島に戻ったとしても、その間にジムには色々な子が入会していて、その空白を埋めることができるんかって思うんです。例え僕が有名なファイターになっていたとしても。

だから僕は徳島で指導と練習を続け、この間にジムには入ってきた子たちに『柊斗君みたいになりたい』と思ってもらえるようになる方が格好良いんと違うかなって。

実際に高校を卒業する時に、父からも『東京へ行って良いよ』と言ってもらいました。でも、『それは違う。徳島の子に見せていくべきモノがあるから』って話をしたんです。恩返しがしたいですし」

──地方都市、徳島でやってきた意地がありますか。

「ぜっんぜん、あります。ここで強くなった方が面白いじゃないですか」

──そういう気持ちで戦っているわけですね。そんな安芸選手にとっても、今回の大会はいって見れば誰が日本の将来を担えるのかを篩に掛ける品評会のような大会です。

「ABEMAの取材でも、『上の世代についてどう思うか』って聞かれて──ちょっと嫌らしいかなって思ったんですけど、上選手が持っているモノ、勝つための技術だったり、勝つための守りは凄いと思いますけど、そんな戦いをしても面白くないって答えさせてもらったんです。

僕は面白さの先に強さがあると思っています。KO、一本を狙う選手の方が勝つだけの選手より面白いんで。負けた時の保険じゃないですけど、内容も大切やと思います。でもガッチリ固めて勝って、『えっ?  そこで満足してるん?』って思われるのは嫌なんです」

──それは安芸選手が、本当に戦いたいMMAなのですよね。取材用のコメントではなくて。

「ハイ。そう思っています。キッズから同年代の仲間とはライバルとしてやってきて──口にはしないですけど、キッズの時って賞状よりもトロフィーとか盾が欲しくて競い合っていました。なら判定勝ちよりも、一本やKO勝ちやないですか。

だから子供の頃から一本やKOを狙って戦う習性が身についたのかなって。それはゴンズイ先生──北川(純)先生がキッズ修斗をしてくれていたから。そのおかげで、今の自分のスタイルがあるかなって思っています」

──安芸柊斗の習性として、どのような試合を山北選手を相手にしたいと思っていますか。

「判定勝ちで満足していたら、成長が止まってしまうので、KO勝ちか一本勝ちを狙いたいです。僕の持ち味は距離とカウンターです。これはアマの時から、立ち位置や距離は褒めてもらってきたので、自分にとっての強味はそこにしようと思ってやってきました。

パンチを貰わなかったから、負けることはないので。バチバチの試合も面白いですけど、バチバチになる前に綺麗に決めます。バチバチは技術的には面白くないので」

──面白いの観点が、そこにあるんですね。

「止まっている選手は面白くないです。動きが膠着している試合はスキップされてしまいますから。そんな風にスキップされない試合をしたいです。気持ちが入った試合をしたいと思います」

■視聴方法(予定)
2月22日(月)
午後4時15分~ ABEMA格闘チャンネル

■Road to ONE04 対戦カード

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹
(日本)
中村未来(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
長田拓也(日本)
葛西和希(日本)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
小川徹(日本)
山中憲次(日本)

<キックボクシング54キロ契約/3分3R>
有井渚海(日本)
平松侑(日本)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
吉野光(日本)
野瀬翔平(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
岩本達彦(日本)
中田大貴(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
安芸柊冬(日本)
山北渓人(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
風間敏臣(日本)
前田浩平(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
田上こゆる(日本)
リトル(日本)

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