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【ONE113】オンラ・ンサンに挑戦、オランダの組技師=ライニア・デリダー「キックの街に住んでいる」

【写真】柔道ベースのデリダー。ONEのピーター・バウシュト、修斗のデュアン・ファンヘルフォート、アギー・サルダリ──オランダのグラスルーツからステップアップを果たしてきたファイターの強さは既に折り紙付きだ (C)MMAPLANET

30日(金・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」のメインでオンラ・ンサンの持つONEミドル級王座に挑戦するライニア・デリダー。

キックだけでない、もう一つのオランダ格闘技界の顔──柔道から柔術を経て、デリダーはMMAファイターとなった。と同時に彼はキックの街=ブレダで育ち、ンサンと打撃戦を戦うことにすら自信を持っている。


──オンラ・ンサンへの挑戦が近づいてきました。今の調子はどうですか。

「凄く良いよ。体もシェイプされているし、精神的にも充実している。シンガポールでは隔離措置で退屈しているけど問題ないよ」

──オランダでは感染者が再び増えているようですが、試合に向けての調整に支障はなかったですか。

「ジムではこの試合用に少人数のセッションを設けて練習してきた。コンタクトしてのトレーニングは禁じられているけど、これは僕の仕事だからね。プロとして、必要なトレーニングを積んできたよ。

また国境封鎖があるんじゃないかと思っているけど、その前に今回の試合機会を得られて凄く良かった」

──2月にレオナルド・アタイジを破ったライニアですが、負傷で挑戦権をヴィタリー・ビクダッシュに譲りました。しかしパンデミックが起こり、大会が中止されてタイトルショットの機会が回ってきた形です。

「大したケガじゃなかったけど、7週間後の試合だとリカバリーが間に合わなかった。でも代役が1年以上試合をしていなくて、過去3年で1勝しか挙げてない選手だったのはフェアじゃないなって思っていたよ。

そんなヤツが挑戦できて、なんで僕じゃないんだってね。でも、4月に挑戦しないと決めたのは僕だから。あそこで無理をしなかったことは、正解だったよ。COVID19により、挑戦権は僕の下に戻ってきたしね」

──世界戦のオファーを受けた時は、どのような練習状況だったのでしょうか。

「7週間前かな、オファーがあったのは。それが……息子が生まれて1週間後ぐらいだった(笑)」

──おお、そのようなタイミングで二重の喜びだったのでは。

「すぐに冷静になり、戦える状態にあると判断したよ。試合はなくても、練習は続けていたからね。そして7週間、十分に準備してきたんだ」

──ライニアはオランダ人選手では、珍しいグラップラーですね。もともとのバックグラウンドは?

「5歳から柔道をやっていた」

──オランダはキック王国だけでなく、人口比でいえば柔道の普及率は日本の倍だと聞いたことがあります。では柔道家からMMAに転向したのですね。

「いや、そうじゃないよ。僕が住むブレダはラモン・デッカーのホームで、Golden Gloryの本拠地だったキックの街だ。僕もMMAに必要なキックのトレーニングは当然のようにしきたし、ブラジリアン柔術で黒帯も持っている。

もちろん僕のベースは柔道だけど、柔術トーナメントにも出場していた。IBJJFのヨーロピアン・オープンでは3年連続で準優勝だったんだ。でも、あの柔術の一つアドバンテージを取ると、もう攻めないっていうスタイルに嫌気がさした。負けるとすれば僅かなポイント差、アドバンテージ、もしくはレフェリー判定でフラストレーションが溜まってしまってね(苦笑)」

──それにしても柔道と柔術のベースがあり、打撃に関しては最高のトレーニングができるので、オランダでの練習環境はベストですね。

「MMAファイターとして必要なトレーニングを十分に積むことができている。ゲガール・ムサシを代表としたグラップリングに優れたトーニング・パートナーもいるからね」

──もうオランダのMMAファイター=ストライカーという印象を持つこと自体が時代に即していないのかもしれないですね。

「ストライカーに負けじと、優れたグラップラーがオランダにはいるからね」

──なるほど、です。ところでオランダではONEチャンピオンシップは認知されている格闘技イベントなのでしょうか。

「まだ、そこまで大きな存在じゃない。でもオランダ人キックボクサーが活躍しているし、知名度は上がっている。僕がONEと契約した決め手は、他にない計量方法があったからなんだ。過度な減量は選手にとって良くない。それでいて、あれだけの大きなステージで試合ができるのだから、ONEに来て凄く良かったと思っている」

──そのステージで、いよいよ世界王座に挑戦します。オンラの印象は?

「偉大なファイターだよ。レガシーだ。ただし、僕が彼を止める。正しいゲームプランを実行して、ベルトを巻く。ほぼ彼の動きをコピーできるトレーニング・パートナーがジムにいて、しっかりとスパーをしてきた。

オンラと打撃で戦うことを恐れていない。彼の拳が届く距離は、僕のパンチが届く距離だし。そこからステップインして、テイクダウンもできる」

──オンラのコーチはオランダ人のヘンリー・フーフトというのが、また興味深いです。

「アハハハ。だからセコンドとは、ヘンリーに僕らの作戦が分かってしまうから、オランダ語で話すのは止めようって言っていたんだ(笑)」

──英語でも分かってしまうので、日本語で話しますか(笑)。

「アハハハハ。本当だね。とにかく、100パーセントの自信をもってケージに上がるよ。逆に100パーセントの自信がなければ、僕は試合場に向かわない。自分の能力を信じているし、待望の時がすぐにやってくるはずだ」

──金曜日の夜は何を見せたいですか。

「一つだけ。新チャンピオンが誕生するシーンを皆にお見せするよ」

■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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