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【ONE113】タン・リーの挑戦を受けるマーチン・ウェン─01─「豪州を離れるのは簡単じゃなかった」

【写真】サザンクロスが誇らしげな豪州国旗とONE世界フェザー級ベルト。そしてベトナムの血にマーチン・ウェンのアイデンティティが詰まっている(C)MMAPLANET

30日(金・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムでONE113「Inside the Matrix」が開催される。

4階級の世界戦が組まれた同大会、要注目なのがONE世界フェザー級チャンピオンのマーチン・ウェンが、タン・リーの挑戦を受ける一番だ。

MMAPLANETではタン・リー・インタビューに続き、フロリダを離れる直前のマーチン・ウェンに電話取材を行った。今回の試合に向け、フロリダのサンフォードMMAでこれまで通りファイト・キャンプを張ったチャンピオンだが、COVID19パンデミック後では、これまで通りのことを行うことが、これまで通りでなくなっていた。


──マーチン、お久しぶりです。

「ハイ。ブラザー、調子はどうだい?」

──色々と変化はありますが、家族で楽しくやっています。

「それが一番だよ」

──マーチンもご家族は変わりないですか。

「皆、健康でやっているよ。僕は9月にシドニーからフロリダにやってきて、しっかりと試合の準備をしてきた。過去最高のトレーニングができたよ」

──タン・リー戦がいよいよ来週に迫ってきましたね。

「最高に調子は良いよ。本当にこれまでのキャリアで最高なんだ。バチバチにやりあう準備はできているよ」

──ファイトキャンプのためにサンフォードMMAのあるフロリダに滞在しているマーチンですが、パンデミック後の豪州ニューサウスウェールズ州は、どのような状況だったのでしょうか。

「豪州はロックダウンが3カ月ほど続いた。そして感染予防に良い兆しが見られるようになり、ジムは再開したよ。でも柔術ジムですら、グラップリングは許されていない。プロトコルは街中の施設もジムも一緒で、ジムに入るまではマウスの着用が絶対で検温が必要になる。そして手指消毒だね。

それでも豪州の状況は良くなっているんだ。もともと僕とタン・リーは4月に試合をする予定だったから、その時までフロリダでキャンプを張っていて、試合がなくなり豪州に帰国した。あの頃はトレーニングができる状況ではなかったよ。ジムがオープンしてからも、ウェイトやそういう面での調整が続いた。

状況が良くなり対人トレーニングも良くなってきて、シドニーにいる間にもプレキャンプを行ったけど、どうしても強度の高いトレーニングをすることは難しい。だから8月の終わりに世界戦が決まり、9月の最初にはベスト・コーチ、ベスト・トレーニングパートナーのいるフロリダ入りした。フロリダでは7週間のキャンプで、試合中に起こる可能性のある全ての状況を想定して練習してきたんだ」

──ご家族は今もシドニーですか。

「いつもなら長いキャンプ期間中、1カ月ほどはファミリーもフロリダにバケーションを兼ねてやってくるんだけど、今回は状況が違うし、キャンプ自体が短いから僕1人でやってきたよ。正直にいえばコロナ予防を考えるとシドニーの方がフロリダより安全だしね。感染者数はフロリダの方が多い。

でも練習漬けで、最低限のことでした外出はしていない。その時もマスクは絶対につけているし、しっかりと感染予防対策はしてきた。

もちろん練習をしていると感染をする可能性があるよ。でもね、それは結果論だから。ここで最高の練習をせずにタン・リーと戦うことはできない。この間のチームの皆の意識も凄く変わってきて、皆が清潔に務めている。練習前だけでなくて、練習のあとでもね。

つまり僕は最高の準備ができたということだよ。この状況で何を選択するのか。自分の人生において、こういう予想もしないことが起こった。そこで僕は何をすべきなのか、フロリダにやってきてトレーニングをする。それが答だよ」

──実際、渡米するのも以前のような状況ではなかったと思いますが、それでもフロリダで練習することをファイターとして選択したということですよね。

「豪州を離れるのは簡単じゃなかった。渡米の理由を説明して、政府の承認を得るために審査が必要だったんだ。その許可が下りるのか、凄く心配だったよ。だってロックダウン中で、皆が窮屈な生活を強いられているんだよ。その状況で、練習をするために国外出ることが認められるのか──。

基本的に米国に住んでいる証明書がないと許可されないことが多い状況で、僕はONEとの契約書で米国に来るがことがでたんだ。戦ってファイトマネーで家族を養っている。僕が第一にすべきことはファミリーを守ることで、それが認められて出国がすることができたんだよ」

──そこまでして、サンフォードMMAでのトレーニングが必要だったということですね。

「それにね米国に来てから幸運だったのは、あの時点で多くの州では自主隔離が必要だったけど、フロリダ州は必要なかったこと。だから、こっちにきてすぐに練習に取り掛かることができたんだ」

<この項、続く

■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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