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【ONE113】フェザー級王者マーチン・ウェンに挑戦、タン・リー─01─「ずっと研究してきた」

【写真】LFA暫定フェザー級王者だったタン・リーの挑戦は、ONE世界王者の強さを図るスケールとなる(C)MMAPLANET

30日(金・現地時間)にONE113「Inside the Matrix」がシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催される。

4階級の世界戦が組まれている同大会。その一つに日本で最も注目度が高いといっても過言でないのが、ONE世界フェザー級選手権試合=王者マーチン・ウェン✖タン・リーの顔合わせだ。

シンガポール入国後に宿泊ホテルで、大会ガイドラインに則した隔離状態になるファイターたちは、従来のイベントと違い現地入りも早い。多くのファイターが今週の木曜日か金曜日にシンガポールへ到着するというスケジュールのなか、米国を離れる直前のタン・リーに電話取材を行った。


──来週の金曜日にマーチン・ウェンの持つONE世界フェザー級王座に挑戦します。今の調子を教えてください。

「凄く良い調子だよ。明日、シンガポールに向けて米国を出るんだけど、キャンプは完璧だった。体重も問題なく、作戦もバッチリ立てることができている。何も文句のつけようがない状態さ」

──今年は全てのMMAファイターが新型コロナウィルスの影響を受けたかと思います。タンもロックダウンを経験していると思いますが、調整という部分で問題はなかったですか。

「ロックダウンや隔離政策の影響を僕自身はそれほど受けたとは思っていない。さっきも言ったけどトレーニング・キャンプは完璧だったし、逆にいつもよりも時間があってしっかりと調整できたと思っている。ゲームプランも最高なモノを用意することができたし、同時に僕の技術力も上がっている。体に切れもあるし、より強くなれている。

トレーニングに関しては父、兄弟、義理の兄弟としっかりと詰めたから本当に何も問題なかったんだ。少人数でトレーニングすることで、マーチン・ウェンとの試合だけに絞った、僕のための練習を続けることができたからね」

──それは3月や4月のロックダウンの頃もですか。ルイジアナ州は2月に恒例のマルディグラ(謝肉祭)のカーニバルがあり、150万に近い観光客が集まっていたことで米国でも最も早く感染拡大が広まった州ですが。

「そうだね。ロックダウン中は劇場、映画館、レストランと同様にジムも閉めないといけなくなった。父が創り、僕が指導しているムーンカレッジ・テコンドーはニューオリンズ郊外のマテリーにあるんだけど、自分のジムだからいつでも使うことができたんだ。

兄弟を中心に少人数で、ロックダウンの間もトレーニングは続けていたよ。ベルトを獲るために練習をストップすることはできなかったからね」

──米国では練習をしていると警察が回ってきて、解散させられるという話を聞いたことがありました。

「そういうことは全米で起こっていたよ。でも、僕らはラッキーだった。小さなジムで、行き来が自由にできた。ムーンカレッジ・テコンドーもニューオリンズに持っているMMAジムもクローズ状態だったから、ジム・メンバーへの指導という部分ではビジネスはできなくなっていたけど、マットスペースで自分の練習は続けることができたからね」

──ジムの再開と、堂々とトレーニングができるようになったのはいつからですか。

「指導を再開したのは9月になってからだよ。クラスもほぼレギュラースケジュールで行うようになった」

──MMAやマーシャルアーツはソーシャルディスタンスが取れないですし、色々と大変な状況が続けているのではないでしょうか。

「今、一般クラスでの指導はまだストライキングに限定されているんだ。そして、皆がしっかりと他の人との距離を取って練習している。それでもフットワークとミット打ちをしていると、生徒たちも成長できるからね」

──日本ではロックダウンはなかったのですが、政府や自治体の要請のという形でジムを閉める道場が4月と5月と多かったです。ただし、プロ選手は練習を続けることもありました。その練習をしていると周辺住民から非難の電話があったり、自粛警察と呼ばれた取り締まりを行う一般の人間がジムに手紙を送ってきたりしたんです。

「そういうことは僕のジムでは起こっていないよ。でも、日本でファイターがこの間に堂々と練習をしていたということが驚きだよ」

──なるほど、そういう風に感じられるのですね。ところタンはマーチン・ウェンへの挑戦はパンデミック前に決定していました。1人の対戦相手のことを考える時間が、半年以上もあるというのはキャリアでも初めてのことではないでしょうか。

「そうだね。最初は4月17日に組まれていた試合だからね。でも、僕の調子が良いようにこれだけの時間ができたことは、本当に良かったと思っている。マーチン対策は完璧になり、僕はより強くなれた。

確かにパンデミックが起こって、こういう状況になったのは特別なことだろう。でも、僕はONEで戦うことが決まってから、ずっとマーチンのことを研究してきた。もちろん、試合前に対戦相手のことを考えて練習していたけど、常にゴールはこの階級のベストガイと戦い、勝利してベルトを巻くことだったから。

マーチンがベルトを持っているのだから、彼がベストガイだ。つまり彼と戦うことをずっと想定してきていたんだ」

<この項、続く

■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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