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【ONE113】フェザー級王者マーチン・ウェンに挑戦、タン・リー─02─「異端? それがアドバンテージだ」

【写真】母は米国人。肉体的にも精神的にも東洋と西洋がハイブリットしている点に強いが感じられてしょうがない(C)MMAPLANET

30日(金・同)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」で、マーチン・ウェンの持つONE世界フェザー級王座に挑戦するタン・リー・インタビュー後編。

ウェンが最高の選手であり、最高のチームの所属していることを誰よりも理解した上でリーはベルトへ挑む。タン・リーといえばテコンドー・ベースのMMAファイター、MMAでも他に例の見ない動きをする。そのリーは、グラウンドになっても恐れない──50/50 ガードの使い手もある。

技術同様にマインドセットも多くの米国人ファイターと違う、マーシャル・アーチスト振りが感じられるリーは、チャンピオンの戦い方を熟知し蹴りで倒す道筋が見えているようであった。

<タン・リー・インタビューPart.01はコチラから>


──マーチン・ウェンのMMAファイターとして強さはどこにあると思いますか。

「彼はエクセレント・ファイターだよ。だからチャンピオンなんだ。経験豊かで、素晴らしいチームのバックアップがある。ヘンリー・フーフトは技術的な部分だけでなく、メンタルを創るという点においても最高のコーチだと思う。何よりマーチンは知性溢れるMMAファイターで、落ち着いて戦うことができて我慢強い。

MMAで勝つための正しさを全て身につけているといって良いだろう。そういう選手を相手にし、ゲームプランを実行して全ての局面で自分がやるべきことをやってベルトを手にするよ」

──マーチンはKOパワーの持ち主です。特に右のカウンターが素晴らしい。と同時に以前は、そのタイミングを待って自分から距離を詰めることはあまりなかったのですが、最近はその課題すら克服したように感じます。

「カウンターのKOパワーを持つというのは、まさに彼のことを言い当てているね。マーチンは自分の右が生きる距離を把握している。対戦相手がそれを許す大きな動きをすると、右を打ち込むんだ。

でも、その戦いを僕にするとどういうことになるか。僕はアウトサイドにいる相手への攻撃を苦にしないからね。マーチンが得意としている──相手を誘う動きこそ、僕にとっては都合の良い戦い方になるんだ。いくらでもアウトサイドで戦ってもらって構わない。それが僕のアドバンテージになるからね」

──テコンドー仕込みのキックが有効だということでしょうか。

「僕にとってテコンドーで培われた技術が、MMAファイターとしての全てだ。動きだけでなく、考え方もね。

ゲーム中に仕掛ける罠も皆は気付かない。僕は相手が正面にいても、動きを止めカウンターの蹴りを入れることができる。それが僕のテコンドーだよ」

──今回の試合はケージで行われます。

「リングとケージは違うよね。ケージにはコーナーがない。正直に言おう──ケージを背負って動くマーチンにプレッシャーを与え続け、蹴りを入れることは簡単じゃない。ただし、プレッシャーを掛けると彼は動くしかない。そこが僕がKOするポイントだ」

──今回の試合に向け、最高のキャンプを行えたといっていましたが、常にニューオリンズで練習してきたのでしょうか。

「さっきも言ったようにムーンカレッジ・テコンドー、ニューオリンズに持っているミッドシティMMAの練習がメインで、時折ワシントンDCにある50/50柔術でライアン・ホールともトレーニングしてきた。僕が彼のところに行くように、ライアンもニューオリンズに何度も来てくれたよ」

──つまりマーチンとの試合ではタンが50/50ガードからヒールフックを仕掛ける。そんなシーンも期待できてしまうわけですね(笑)。

「試合が寝技になれば、僕はそこを狙うことを約束するよ(笑)」

──凄く楽しみです。テコンドーキックとレッグロック、MMAにおいて最高に異端のコンビネーションですね。

「そこだよね。全然違う、他のファイターが戦っている普通のMMAじゃない。違いがあるっていうのは、僕にとってアドバンテージになる」

──ボクシング&レスリングで攻められた場合、テイクダウンの防御で疲弊することもありますが、ONEの裁定基準だと下になって極めというフィニッシュ直結の動きを見せると、北米基準とは違いより効果的なコンビネーションかと思えます。

「もちろん、基本はスタンドで戦いたいと思っている。だけど普段は打撃中心に戦っている選手が、僕との試合になるとグラップラーに転じるんだ。打撃を諦め、ケージを使ってテイクダウンを狙ってくる。でも、僕はグラウンドを恐れていない。寝技で仕留めることだってできるし、立ち上がって五分の状態に戻すという選択もある」

■「どちらかが眠って終了を迎えることになるだろう」

──今回の大会はONEの歴史で最も大切なショーになります。そこでタイトル戦を戦うことについて、どのような気持ちでいますか。

「素晴らしい機会を得ることができて、シンガポールという場所で今回のようなステージで戦えることに感謝しているよ。対戦相手もそのチームも最高で相手にとって不足はないしね。ONEチャンピオンシップにとっても、ファイターにとっても本当に大切な夜になる。だからこそ、落ち着いてゲームプランを実行するだけさ」

──大会前もこれまでとは過ごし方が違うかと思います。試合前の1週間をホテルの部屋から、ほぼ出られない──対面で人と会う機会も限れることが予想されます。

「そこに関しては、僕だけがその状況にあるわけじゃないから。マーチンも同じ状況だ。だから、大事とは捉えていないよ。食事が計量に適していない。トレーニングできる環境が満足でない。そういうところで、自分をしっかりと創り上げるために、これまでのキャリアが存在したと思っている。シリアスにならず、気楽にやるよ(笑)」

──素晴らしいです。今回はベトナミーズ・アメリカン✖ベトナミーズ・オーストラリアンの世界戦です。

「ベトナムの人々やファンにとって最高だ。このスポーツにとっても良いコトだし。僕がこの試合で世界王者になり、ベトナム大会でマーチンのチャレンジを受けるよ。最高のショーになるはずさ」

──どれだけの大事になるのか、楽しみです。では日本のファンに一言お願いします。

「いつもサポートありがとう。マーチンとは激しい戦いになり、どちらかが眠って終了を迎えることになるだろう。見逃さないでほしい」

■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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